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「箔押しの金属版にダメージを加える」

こんにちは、現場の前田です。

こちらは私がおこなってみた箔押し実験です。
この実験をおこなったのは、PAPIER LABO. の江藤さまから依頼された加工をお手伝いをさせていただいたことがきっかけとなっています。

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江藤さまからご依頼頂いたのはデボス( 型押し )加工でした。

このデボス加工に使用した版、凸状になっている版のキワの部分をなだらかにされたいということで、なんと江藤さまはご自分の手で、ヤスリなどでゴリゴリと削られてできた版を、加工に使用したのです!


自分で版を加工してしまう
という江藤さまの影響を受けた私は 「 私もやってみたい…! 」 という思いがむくむくと湧き上がり、下の画像のような実験をやってみました。

今回の実験では、版の素材はマグネシウム版を使用しました。
彫刻刀やヤスリ、電動研磨機などを駆使して、版を削ったり、凹ませるなどして、版自体に手を加えて押してみたところ…

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↑ 鉄の棒をカナヅチで打ちつけボコボコに凹ませた版。
箔押しする時の圧を弱めにすると箔が所々抜け落ちて胞子のような表現に、強めにすると南部せんべいのような表現になりました。

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↑ 彫刻刀で模様のように削った版。
彫刻刀だとなかなか削りづらかったマグネシウム版。

彫刻刀で削るのには想像していたよりずっと力が必要で、とても時間がかかりました。こちらも箔押しの圧力にそれぞれ強弱をつけて押すことで表現が変わります。箔がかすれるぐらいの弱い圧にすると、まるで版画のようです。

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↑ 版の上にシールをランダムに重ねて貼ったもの。
あえてシワをつくりながら重ねて貼ってみました。

箔押しする際にシールに圧がかかり、さらにくしゃくしゃにシワが入った表現になりました。黒箔の中の白い部分は熱で溶けたシールの跡です。

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↑ 電動研磨機で表面を削った版。
削られた跡が木目のような表現に。

こちらは浅めにキズを入れているので、箔押しの際に圧を強めにかけると模様が目立たなくなってしまったので、模様を際立たせたい場合は深めのキズを入れた方がいいなと思いました。

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↑ 箔押し実験を Twitter に載せたところ、ご覧になった方から 「 ボルボックス( 緑藻の一種 )のようだ! 」 というお言葉をいただきました。

せっかくなので、黒の紙の上に緑のメタリック箔を押して、ボルボックス風に表現してみました。


今回の箔押し実験は、版の表面に様々な加工してみましたが、箔押しの際の圧の強弱によっても模様が変化して見えることを発見しました。

おそらく、箔を使用せずにデボス( 型押し )だけでも面白い表現として活用できるのではないかと思います。模様の大きさや模様を入れる深さによっても様々な見せ方ができると考えられます。

今回おこなった表面加工以外にもいろいろな表現の可能性を発見するために、今後も実験を続けていきたいと思います!


【 連絡先 】

有限会社コスモテック 現場リーダー 前田瑠璃
〒174-0041 東京都板橋区舟渡2-3-9
TEL:03-5916-8360 / FAX:03-5916-8362

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