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「えっ!?表紙がティッシュ!!全面箔押し加工に挑む。」

こんにちは。現場の前田です。

今回、お手伝いせていただいたのは、「 デザインのひきだし 39 」の表紙への箔押し加工です。コスモテックが今まで「 デザインのひきだし 」の表紙加工に携わらせていただいたのは今回で6回目です。


○ 強者、現る!

「 デザインのひきだし 」の表紙といえば、青焼き、複写伝票、役割を終えたお札が漉き込まれた紙などなど… コスモテックが今まで加工した表紙はどれも 「 果たして押せるものだろうか… 」 と尻込みしてしまいそうな素材ばかり。

そんな強者素材の中、今回の表紙は、なんとティッシュペーパー素材!さらに全面箔押しという鬼のような仕様です。

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「 デザインのひきだし 39 」 の表紙への箔押し加工のお話を編集長の津田淳子さまより頂いた際、青木( コスモテック )は 「 このタイミングでいよいよ来たか、この変態素材!( イヤッホーゥ! ) 」 と思ったそうです。


青木は以前、今は亡き箔押しの匠 佐藤( コスモテック )と共にティッシュペーパーへの箔押しを経験しており、ふかふか・ぺらぺら素材であるティッシュペーパーへの加工の難しさを知ってました。

そして今回の加工に並々ならぬ強いこだわりがあったようです。

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ティッシュペーパーへの箔押しは、2019年12月発売された書籍 『 印刷・紙づくりを支えてきた 34人の名工の肖像 』 の箔押し職人 佐藤勇( 2019年11月逝去 )の話の中でも語られています。

○ 押したい衝動

佐藤と青木が挑戦した当時よりも箔押しの面積が大きく、機械に通す部数も非常に多いため、今回のティッシュペーパーへの加工は恐ろしくきびしい戦いになる、と唸る青木。

しかし、「 書籍の表紙がティッシュ × 箔押し 」 という誰も挑んだことのないであろう加工をどうしても自分たちの手でやってみたい衝動に駆られ、私も青木も 「 押してみたい! 」 という一心で挑ませていただきました。

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今回の「 デザインのひきだし 39 」の表紙の紙は、山一加工紙さまでつくられているワディングペーパーです。

ワディングペーパーとは、未晒クラフト紙に糊を塗り、その上にティッシュペーパーを重ね、ドットのような突起の付いたロールで圧をかけて圧着させている紙です。

校正時には、このティッシュの枚数が5枚ものと10枚もの、2パターンで実験しました。

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箔押しは、ロール状の箔を版と紙の間に通して、版で熱と圧をかけることによって箔を圧着させるという加工法ですが、ティッシュペーパーのように薄い紙は圧力の強さによっては、押した際に箔に紙がくっついてティッシュの層がはがれてしまいます。

校正では、5枚重ねの方は押した時に1番上の層のティッシュペーパーが箔に持って行かれて剥がれてしまう確率が高かったため、本番は10枚重ねの方で加工をおこなっています。

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○ シンプル、だけど実は最強に難しい素材

10枚重ねといえど、やはりティッシュペーパー。破れやすい… 。
私たちの日頃生活の一部として身近にあるティッシュペーパーですが、想像以上の強者素材!

いかに破れないように、尚且つ、この大きな面積できれいに箔をのせるにはどうすればよいか…

箔押しの匠 佐藤も今の自分のように知恵を絞りながら加工していたのだろうかと思いを馳せながら、考えては試しを繰り返し加工をおこないました。

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○ 一歩踏み出してみる勇気

試行錯誤の末、なんとかティッシュペーパー箔押し表紙を形にすることが出来ました!知識や経験を積んでいくと、出来る出来ないの判断を頭で思い込んでしまいがちですが、「 これは出来ないと思い込まず、とにかくやってみよう!と一歩踏み出してみる大切さ 」 を佐藤と青木から学び、共に今も考えています。

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「 デザインのひきだし 39 」 の表紙に挑戦させて下さいました、デザインのひきだし編集長 津田淳子さま、大変貴重な体験となりました。ありがとうございました。

※ 今回の「 デザインのひきだし 39 」 ティッシュペーパー箔押しを挑むにあたり、精度の高い素晴らしい版を製作して下さったツジカワ株式会社の皆様に心から感謝申し上げます。


【 箔押し加工 】

有限会社コスモテック 現場リーダー 前田瑠璃
〒174-0041 東京都板橋区舟渡2-3-9
TEL:03-5916-8360 / FAX:03-5916-8362

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