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「菱目糸入りクラフト紙への箔押し」

こんにちは、現場の前田です。

今回お手伝いさせていただいたのは、佐藤亜沙美さまがブックデザインされた書籍 『 建築情報学へ 』( 監修 建築情報学会 )の表紙加工です。

こちらは、藤原印刷 藤原章次さまよりお仕事のご依頼を頂きました。

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素材( 紙・箔色・図案 )選びも建築に結びついている
そんな雰囲気が本誌の佇まいから感じれるような気も


鉄鋼・建材などの包装、梱包に使用される紙

表紙には 『 菱目糸入りクラフト紙 』 という、鉄鋼・建材物の包装に使われる特殊なクラフト紙を使用しています。

動画は teshio paper( 柏原加工紙株式会社 ) HPより


クラフト紙の間に菱目状に糸を編み込んで貼り合わせた加工紙で、書籍の表紙として使用されるのは非常に珍しい紙ですが、この糸の菱目模様が美しく、糸の部分の凸凹とした盛り上がりが触れても楽しむことのできる紙なのです。

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コスモテックでは以前に書籍 『 デザインのひきだし32号 』 の表紙で別の種類の菱目糸入り紙にエンボス加工を施した経験がありましたが、箔押し加工をするのは今回が初めての経験でした。

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『 デザインのひきだし32号 』 では表1から表4にかけて
全面エンボス加工を施させて頂いたことも


書籍 『 建築情報学へ 』 の箔押しは、表1全面から背の部分にかけての大きな面積を消し銀24号箔で箔押し加工しています。

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箔押し加工は初めてとなる今回の紙ですが、特に難しかったポイントが2つありました。

その1 : 
印刷部分と箔押し位置は、かなりのシビアな見当合わせ( 位置合わせ )になっており、クルッとカールし( 丸まり )やすいこの紙は、箔押し機に手差しで一枚一枚加工するコスモテックにとっては難敵の紙!! 

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箔押し位置に注意をはらい、一枚一枚確認しながら慎重に加工しました。

その2
箔押し加工は平滑な紙の方が均一に箔をのせやすいのですが、今回のように菱目状に張り巡らされた糸による紙の凸凹と、その凸凹の位置がランダムに配置されているというのも、箔を均等にのせるための調整に難しさを感じました。


難しい紙・加工への挑戦でしたが、繊細なデザインによるマットシルバー箔の柔らかな光沢がナチュラルな茶色のクラフト紙と白黒2色の印刷にバチっと映えて美しい仕上がりとなりました。

印圧も強めに加工しているので、光の当たり具合によって箔押し部分が立体的に見える表紙となりました。

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是非皆さまにもお手に取って 『 菱目糸入りクラフト紙 』 という紙の質感も体感していただければ幸いです。

藤原印刷さま、この度は貴重な加工に挑戦する機会をいただきまして、ありがとうございました!

- Credit -
出版社 : millegraph
デザイン : 佐藤亜沙美
印刷所 : 藤原印刷株式会社
判型 : A5判・236頁

【 箔押し加工 】
有限会社コスモテック 現場リーダー 前田瑠璃
〒174-0041 東京都板橋区舟渡2-3-9
TEL:03-5916-8360 / FAX:03-5916-8362

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