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風の記憶、時の雫

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note をはじめてみようと思う。 秋晴れの空を眺めていたら、風がやってきて、 そのときにふと思ったわけです。
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2020年1月の記事一覧

闇より出でる

きしむ雨戸が恐怖を連れてくる 台風のような宵に ひとりぼっちの不安が増幅される 太陽は今どの辺りを回っているのだ あと何時間で顔を見せてくれるのだ 雨戸の向こうで 何が起きているのかわからない 何者かが襲ってきて 誰かが闘っているのか 不気味さだけが閉じた戸を抜けてくる 異形のものは異界へ戻れ ここは人間の棲まう場所だぞ 不安は闇の中で膨れ上がる 恐怖は孤独の中で生まれる 願いだけでは恐怖は消せない 祈りだけでは不安は拭えない 絶望は闇の中からやってくる 希望は

立木よ

冬には何もかも枯れると思っていたら そうではなかった 冬にも咲く花もあるし 木立になっても 枯れてはいない木々が立っている 人間も枯れたように見えても ふつふつと 深く燃えるいのちを宿している さあ おまえはどうだ 聞かれてにやっと笑う 蓄えたいのちはあるか 問い続ける価値はあるか 聞かれて惑うくらいに 身に沁みていない冬が立っている さあ おまえはどうだ 聞かれる前に問いただす すました顔で手を広げふふんと笑う 聞くまでもあるまい然とした立ち並 空を指して今に見ればわ

努力が実る人はみんな素直な人だ

それはなぜか? 素直な人は余計なところに力が入らない。 つまり「力み」がないんだな。 スポーツ選手をみるとわかる。 一流のスポーツ選手は力みをなくし、 力を効果的に出すことができるから、 いい記録を出すことができる。 パフォーマンスを最大化する方法を身につけている。 努力や鍛錬も同じで、 余計な力みを少なくしていけば 身につくのも早い。 頭(脳)も同じだ。 余計や力みをなくすことで どんどん新しいことを覚え、繊細な感覚で、 ユニークな発想を生むことができる。 素直な

道程に花咲くときを

私には何もない、という人がいますが そんなことはないんですね。 人生が道程だとすると、 これまで歩いてきた道の周りには いろいろな風景があったでしょう。 孤独だったり、すれ違ったり、 ときには一緒に歩いた人がいるはず。 またその道すがら考えたことや悩んだことも。 道に迷ったことさえあると思います。 それらは全部自分の財産になっている。 何もないのではなくてたくさんあり過ぎて、 どれを拾いだそうか見えないだけなのです。 40歳頃を一つの区切りとすれば、 人生の道程もちょう

人生とは常に上り坂である

今の時代、サラリーマンの幻想とも言える 「島耕作」のような人生はない。 島耕作自体は日本が高度経済成長期の 古き良きサラリーマン時代の舞台から、 課長、部長、取締役、社長、会長、相談役と 出世街道を上り詰めた派閥を作らない一匹狼 として幻想的共感を呼び一定層の人気がある。 (私もなんだかんだ好きで読んでいる) だけども、もう一度言うが、 「島耕作」のような人生はない。 今の若い世代がそれを望むサラリーマン像を 仮に志向したとしてもなかなか難しいだろう。 私なんて、その才覚

迷うな

人は迷う生き物だ 欲張りだから迷う 不安だから迷う 未熟だから迷う 自信がないから迷う どんな迷いもその根本は 決心をしていないから 決心が根を下ろしていないから 決心したら迷わない 迷わず前へ進む 自分で出した答えなら それを信じて決心する 前を向き 一歩を踏み出す決心をする まずはそれからだ それでも道の途中で 迷うこともある 立ち止まることもある 人は迷いながら時を進める 時を戻すことはしない

日脚伸ぶ頃

ここ数日来の鬱陶しい天気にはまいる。 今季は暖冬だから例年の冷え込みはないが、 雨と曇天続きで日差しが恋しい。 まだ寒の内だが気温は2ヶ月ほど早く 3月下旬頃だという。 暦をみると今日(1月25日)から 七十二候の「水沢腹堅(さわみずこおりつめる)」 になる。文字通り、沢に流れる水さえも凍る 厳冬の時期だということだ。本来ならば、 尋常ではない寒さが日本列島を覆っている。 そんなことばかり書いていても 中途半端な気候を心身が滅入るので 少しでも春近しがないかと考えてみた。

マチノカオ

雪降る夜は  街が静か 音が止んで  雪が降る ときたま  うしろやよこから 何かの気配が  通り過ぎる 不気味な 余韻を残して そんな夜道は  迷い路 街角折れて  路地には 気をつけろ 怪しい扉が また開く かの気配は 扉の向こうから やってくる いざなう気配に 振り向くな 声をかけられても 気づかぬふりをしろ 黙って路地を 通り抜けろ 気づかれたら おしまいだ 静かな街は ふたつの顔を持つ

ありがとうポイント

ある朝、お母さんがハグしながら 「たけし、いつもありがとうね。」 といった。「うん」といおうとしたら、 「もうずいぶんありがとうポイントが貯まったね。」 とお母さんは続けていった。 ぼくは「えっ?」と思って聞いたんだ。 「ありがとうポイントってなに?」 「ありがとうポイントはね、お母さんが  こころからたけしに感謝したときに  つくポイントだよ。」 ぼくははじめて聞いたので、 わかったような、わからないような感じだった。 「ポイントがつくとなにかいいことがあるの?」 と聞い

もし言葉が

もし言葉を余しているなら 飲み込まないで はきだしてちまえ お腹に溜め込んでいても ちっとも満腹感は得られない もし言葉が足らないのなら 威張って言わず のみこんじゃえ 沈黙の波紋がひろがって 場が沈むだけで根も沈むもんだ 饒舌もつたなさも 成熟も未熟も 言葉に責任があるわけではない 遣うひとが背負っている やつあたりはやめにしろ もし言葉で満足したいのなら 薬膳のような言葉遣いを こころがけよ じんわり深く心と体に効いていく 気がつけば健康体になっている 傷つけるこ

降る星、君思ふ

星降る夜になに思ふ 星降る郷に君を思ひ 内なる宙(そら)に問いかける 遠き旅人に文を届けるように 君住む郷に星降るといふ 見上げる宙に君を見て 内なる心が問いかける 近き恋人に文を届けるように

青い月が泣く森

静かに眠る森の中で 目覚めた者がいる 音もなく注ぐ月の光のもとで 何かが動いた音 しんしんと深まる夜のしじま ひとの知らない世界の扉が開く 青い月が泣く森は 迷い込んだら抜け出せないと 村人には怖れられた 遠くでホォーホォーと 鳴く声だけが時おり響く ひとには姿が見えぬ 森は意思を持っている ひとが寝静まった頃に 意思が目覚める 生きているのだ 森は ひとより長く はるか昔よりここに生きている 目覚めた者は この森で生きている者たち ずっとひとと関わらず ひとの時間に

鏡の涙

「鏡よ鏡、世界で一番美しいのは誰だい?」 「そ、それは…女王様です。」 「ん? 鏡よ、いま返答に窮しただろう?」 「いえ、そんなことはございません、女王様」 いつもは「それは女王様です。」と即答するのに、 今日ばかりはそれができなかった。 鏡は嘘がつけない。鏡は汗をかいていた。 「それは白雪姫です。」と答えねばならなかったのに 嘘をついてしまったのだ。 生まれて初めての嘘だった。鏡は焦った。 鏡の宿命として嘘をつくことがどんなに恐ろしいことか 鏡の国から教えられていたからだ

人生のある一時

人生のある一時 世間的には青春と呼ばれる期間 何をしても若いと 何をしても青いと 言われ続けて やりきれない思いが抜けなかった あの少女も この若者も どこかで言われているのだろうか 正論をどこかに隠して 理不尽さに屈しているのだろうか やさしさを飲み込んで ボランティアに精を出しているのだろうか 彼女よりも 余裕のあるはずのオトナは 彼よりもずっと 影響力を及ぼせる立場のオトナは 武装した言葉を操りながら それを見ている 非難さえすることもある 人生のある一時 何をす