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風の記憶、時の雫

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note をはじめてみようと思う。 秋晴れの空を眺めていたら、風がやってきて、 そのときにふと思ったわけです。
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2018年3月の記事一覧

ほろほろ 桜の散る 木の下で

あの日 君は言ったよね わたしは さくらが嫌いって ぼくは その意味がわからず 何も答えられずにいた あれから さくらの咲く季節になると ぼくは その答えをずっと探してた あの日 ぼくは言ったよね ぼくは さくらが咲く頃に戻るって 君は 言ったね わたしは わからないな あれから いくつもの桜の季節が ぼくのまわりを通りすぎた だけどぼくには 記憶がかすむ あの日を つなぎ止めたくて わたしは さくらが嫌い の意味を どこかで 探している ほろほろ 桜の散る木の下で

春霖を明けて

3日間降り続いた雨も 今朝はほとんど止み、 午後には完全に上がった。 春霖が明けたのだ。 春に限らないけど、 これだけ雨がつづけば 空気中はかなりきれいになる。 浮遊していた花粉も落ちただろう。 まだ風は結構強いが、 それが低く広がっていた雨雲を ほぐし、散らして、消して 遠くに追いやってくれる。 その後には高い空に浮かぶ 白い真綿のような雲が ゆったりと流れていくのだ。 その様を見るのは気持ちいい。 山々は青さを取り戻し、 道端の草は緑を増して 生き生きと 一斉に深

雪の果(ゆきのはて)

立春の今日、西日本では雨がつづき 関東以北では雪が降っている。 「春霖」の候でも書いたが、 この時季の寒の戻りは体調によくない。 この雪は降りじまいの雪として 冬の終わりを告げるものだといえる。 なじみある言葉でいえば「名残り雪」、 あるいは「別れ雪」ともいえる。 その冬最期の雪という意味だ。 同じ意味で「雪の果て」という言葉がある。 「名残り雪」は哀感があり、 「雪の果て」はもう少し情感あふれる言葉 として心に響いてくる。 「別れ雪」といえば演歌っぽくなるし、 同じ事象

キャッチボール

うまく言い出せないこと うまく受けとれないこと 「ありがとう」と思うこと 「ありがとう」と伝えること 「ありがとう」を受けとること 「ありがとう」をキャッチボールすること うまく投げたい うまくキャッチしたい だれも最初はへたっぴ  でもだいじょうぶ 練習すれば だれでもうまくなる うまく投げるこつは あいての心臓に届くように投げること うまくキャッチするこつは それを正面で受けとること 両手でしっかりとつつむように 受けとること 心から心へ寄り添うように 投げかけ

花束

あなたに伝えたいことばを 花束にして届けたら あなたは微笑んでくれるだろうか そして あなたは お気に入りの花瓶に ことばの花束を生けてくれるだろうか わたしはずっと あなたの笑顔を待ち望んでいた ふさぎ込んでいるときも 感情が読み取れないときも ずっとあなたの笑顔を いまも待ち望んでいる あなたには笑顔が似合うのを 誰よりも知っているから 花束の中にひそませておいた 「好き」ということばを あなたは見つけてくれるだろうか