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風の記憶、時の雫

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note をはじめてみようと思う。 秋晴れの空を眺めていたら、風がやってきて、 そのときにふと思ったわけです。
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2016年1月の記事一覧

プロローグ

まだ目覚めえぬ空気の中 かたわらの草葉の上で いくつもの朝露が光っている 小さな魚眼レンズのように 覗きこむと 世界といっしょに ぼくまで飲み込んだ 言葉を音にする間もないうちに 誰もが眠っているうちに 身体中の空気をすべて吐き出して 浄化運動を行うと ぼくはすっかり再生される 闇から解き放たれた 霧が去っていく向こうで 空へ駆け上っていく雲は 我も我もとわきたって 中途半端な光の中では 震感するほど爽やかだ ますます活性化していく動機 この時を待ちかねたように騒ぎだ

冬のコントラスト

道端に並んだ樹木の枝で 生まれたばかりの小さな芽が 空をじっと見つめている すべてを縛りつけるような冬空の下 ピリピリした静けさの中 じっと耐えている 精神までもまるくなりそうな 心まで厚着をしそうなぼくの横で 小さな生命がぼくをみている 表情を変えない空のどこに 春を感じているのだろう やさしい眼差しがぼくを射る 長く寒い季節を強く生きているから おまえたちの季節には あんなに美しく輝けるのか 自然でなくなった人間が 忘れてきたものを 無言で教えてくれる 小さな