[人工衛星Emmaのキセキ]第9話 打ち上げて終わりじゃない!宇宙へ飛び立ったEmmaの軌跡
こんにちは。あいです。
前回は、4年の月日を経て、ようやく私たちの人工衛星Emmaが打ち上げに成功したところまでをお送りしました。
何年もの試行錯誤の末にとうとう打ち上げることができ感無量でしたが、みなさまご賢察の通り、人工衛星というのは、打ち上がってからが本番です。
今回は、私たちのEmmaが、打ち上げの後、どうなっていったのかをお送りします。
「打ち上げ」はゴールではなくスタート
第3話にも書きましたが、人工衛星というものは打ち上げて終わりではなく、むしろそこからがスタートです。
打ち上がった人工衛星Emmaは、ISS(国際宇宙ステーション)で一定期間保管された後、宇宙空間に放出されます。
ISSから地球低軌道に投入され、地上との通信が確認できると、いよいよミッション開始となるわけです。
そういえばここまで言及していませんでしたが、Emmaが搭載されたファルコン9ロケットは、本来ISSへの物資補給を目的としており、そこに「相乗り」させてもらった形になります。
それはさておき、このISSからの放出が、打ち上げに続くEmmaの山場となります。
Emma、宇宙(そら)へ!
ISSからの人工衛星放出は、(ISSの日本実験棟「きぼう」の小型衛星放出機構によって行われます。
流れとしては、以下の通りです。
放出は日本時間8月29日の午後6時20分から行われ、
放出の様子はJAXAの公式YouTubeチャンネルでライブ配信されました。
私とコスモ女子メンバーは、放出するかどうかを管制官に伝える「Go/No Go Call」のために、当日はJAXAつくば宇宙センターへ。
管制官の方々とはガラス越しでリハ-サルを行ったのですが、JAXAで働く皆さんの実際の仕事の様子をこんな間近で見てやりとりをさせていただける経験はなかなか無いので、緊張しながらも新鮮でした。
<放出の様子>
JAXAに行けなかった他のコスモ女子メンバーは有志で配信を見ていたのですが、放出の瞬間、みんなの感動の声が次々にチャットに流れました。
出来るか?!Emmaとの交信
こうして無事宇宙に飛び立ち、文字通り軌道にのった私たちの人工衛星Emma。
そして、幸いにしてEmmaからの電波もすぐに受信することができました。
多くの方のご協力や、みんなの頑張りが実を結び、最初に受信できた時の喜びはひとしおでした。
当時はあまり実感がなかったのですが、一基目で打ち上げ、放出、受信まで成功するというのは実はなかなかすごいことだったようです。
日本上空を通過するタイミングで宇宙にいるEmmaからの声を受信し、聞いたときには、皆でまた感動しました。
ただ、そこから本番のミッションは、これまた難航したのでした。
何に苦戦したかというと「通信」の部分です。
地上局から、軌道を回るEmmaへの送信。これがどうにもうまくいかない。
先述のとおりモールス信号での音声受信はできたのですが、データ通信(パケット通信)ができない。
これまでの人脈も活用して、さまざまな有識者の方々に聞いたり、調べたりして試行錯誤したものの、なかなか活路が見出せず。
そうこうしているうちに、タイムリミットが迫ってきました。
さよなら、ありがとう!Emma再突入
タイムリミットとは何かというと、Emmaの大気圏再突入です。
人工衛星は、一度打ち上げたら、ずーっと地球の周りを飛び続けているわけではありません。
軌道を周りながら次第に高度を落としていき、最終的には大気圏に再突入して地球に帰っ(落ち)てきます。
もともとは1年半ほど軌道上を回る予定だったのですが、太陽の活動が活発で、当初の想定よりかなり早く大気圏に突入することが予想されていました。
実際、11月の下旬あたりから高度が下がってきており、「そのとき」が近いことを皆で感じていました。
そしてとうとう、12/9に大気圏に再突入したことを確認しました。
打ち上げから日数にして127日間。
こうして書くと長いようですが、体感としてはあっという間の出来事でした。