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[人工衛星Emmaのキセキ]第7話 まさかのトラブル!あわや打ち上げ延期の大ピンチ

こんにちは。
あいです。

前回の投稿で思わせぶりな引きで終わりましたが、今回は、やっと打ち上げ日も決まり、いよいよゴールが見えてきた!…というタイミングで起きた、あるトラブルについてお送りします。


Emmaのパネルにひびが!?

発端は2024年の3月下旬。
諸々の申請を進め、地上局の開設も実施し、どうにかファイナルコール(打ち上げ便の決定)も終え、あとは人工衛星をJAXAに引き渡して打ち上げを待つのみ、と思っていた時期のことでした。

人工衛星の側面には、電力供給用の太陽電池パネルがついているのですが、なんとそのパネルに、傷がついていることが判明したのです。

当然、傷がついたままでは人工衛星は打ち上げられません。
ファイナルコールで決まっている便に乗せるためには、早急に傷をなんとかする必要がありました。

ここに間に合わない場合、またしても打ち上げは延期となってしまいます。
2020年からすでに7回も延期を繰り返してきている中、「便まで決まったのに、また延期か……」という絶望感が広がらなかったかというと嘘になります。

なんとかするしかない!

一方で、何としても今回は予定通り進めたい!という思いもありました。

限られた時間の中、関係者および有識者と話し合いを重ね、4つの対応策が案出(あんしゅつ)されました。

  1. RTV(液状ゴム)でパネルを覆う

  2. カプトンテープ(高耐久な粘着テープ)をパネルに貼る

  3. 割れたパネルを交換する

  4. 割れたパネルを外した状態で打ち上げる

どの案も「これがベスト」というものは無く、それぞれ懸念点や、期限の問題などがあり、一長一短でした。

検討の結果、今回は2のカプトンテープを貼る案で行くことに決定。
そこから大急ぎでJAXAへの提出書類の作成を行い、SFCB(Structure and Fracture Control Board)議長の承認を取り、
どうにか、予定通りの便で打ち上げられることとなったのです。

引き渡しの日は4月で決まっていたので、間に合うかどうか、本当にギリギリの勝負でした。

よかった!

引き渡し当日までドタバタ

何とか間に合ってよかった……と思いきや、引き渡しの当日もなんやかんや想定外の出来事や小さなトラブルがいくつもあり、あわや引き渡せず持ち帰りのピンチとなる場面もありました。

結局、本来想定される時間の数倍をかけたものの、どうにか引き渡しも無事完了したときには、一同胸をなで下ろしたものです。

8回目の延期を回避できたのは本当によかったですし、今振り返っても、ここはひとつの正念場だったなと思います。(ひとつの、というのは、それまでにも何度も正念場があったからですが。。。(笑))

ともあれ、引き渡しも完了し、打ち上げの便も決まりました。
打ち上げの舞台は、アメリカ!

いよいよ次回は、打ち上げのときのお話です。

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