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XR技術で子供たちにワクワクな宇宙の体験を。バーチャル宇宙飛行士体験などの教育コンテンツをつくる仕事。

石塚千彬(いしづか ちあき)
 
【プロフィール】 
明星大学理工学部天文学研究室を卒業後、茨城大学大学院地球環境科学コースへ入学し、2022年3月に理学修士を取得。太陽表面の磁場活動や、磁気嵐についてを専門に研究。
学生時代に天文アウトリーチ活動に携わっていたことがきっかけでamulapoの教育系イベントのスタッフとしてインターンを開始。2022年4月に入社。


【仕事について】宇宙をバーチャルで体験する教育イベントの企画・運営

ーお仕事内容について教えてください。

amulapo(アミュラポ)という会社で教育事業マネージャーを務めています。
アミュラポはXR、ロボット、AIなどのICT技術が強い会社なんですが、その技術を活用して小学校高学年から中学生を対象にしたイベントの企画・運営イベントを行っています。
XRを利用して、月面探査や無重力空間などの疑似体験やISS内の実験の疑似体験ができるコンテンツも人気があります。

オフラインイベントはまだ定期的な開催が難しい状況なのですが、主に自治体からの依頼を受けてコンテンツを提供させてもらっています。
”科学の力で世の中を盛り上げたい”という想いをもった若い研究者達が立ち上げた、2020年創業の宇宙ベンチャーです。

今はまだ誰しもが宇宙に簡単に行けるわけではありませんが、XRなどの映像技術を使えば宇宙の楽しさやおもしろさを体感することはできます。
例えば最近では、鳥取砂丘での未来の月面都市を体験できるアクティビティーや、小学生を対象としたバーチャル宇宙飛行士選抜試験を企画しました。
たくさんのメディアにも取り上げていただき話題となりました。

~鳥取砂丘での宇宙飛行士体験~「月面極地探査A」の詳細
~オンラインイベントも開催~「バーチャル宇宙飛行士選抜試験」の詳細

▲アミュラポHPより

ー1日のスケジュールは?

基本的には9時~18時まで出社して業務を行います。その日のタスクによっては在宅ワークに切り替えることもあります。
大抵は業務の初めに経理・総務の事務作業をします。
教育事業の担当ですが、バックオフィス業務も兼任しているんです。ベンチャーあるあるですね。

午前中は、イベントスペースの利用申請等、役所関係の処理などで外出することもあって、一段落する頃にはお昼になっていることが多いです。
午後からは教育事業の企画運営の業務やインターンの学生さんとのミーティングのスケジュールが入っていることが多いです。

元々、博士や修士といった若い研究者たちが集まってできた会社なので、学生インターンとして関わっている方も多いんです。
新しい会社なので、どの業務もノウハウを積み上げている段階にあり、時折時間を作ってノウハウを文字に起こしマニュアル化する作業もしています。
イベント開催の近くになるとそちらの準備などでかかりっきりになることもあります。

また、イベント関連でワンシーズンに1回くらいのペースで出張があって、1週間くらい鳥取に行ったりすることもあります。


ー仕事でやりがいを感じることは?

仕事を通じて、魅力的なひとにたくさん出会えることが楽しいですね。
普通の仕事では関わることのなかった方々ー例えば、月面探査など宇宙系の専門分野を極めた人や、一見、宇宙とは関わりがなさそうな、スポーツや観光などのお仕事をしている方とも出会いがあったり。
人見知りな性格なので、プライベートでは決して出会えないだろうなと思うんです。笑
新しい出会いとご縁に感謝ですし、そこから事業が広がっていく過程にもすごくやりがいを感じています。
 
あとは、やっぱり子供たちがワクワクしている姿を見るときは、やりがいを感じます。
XRで宇宙を見たり、無重力を体験したり・・・
子供たちはイベントで新しい経験をすることが多いと思うんですが、本当にいい顔をしていて楽しそうなんです。
自分たちが1つ1つこだわって作り上げた活動が、子どもたちに素敵な体験として届いているなと体感したときは、毎回すごく嬉しいです。

▲イベントの様子

ー大変だと感じるところは?

アミュラポはまだまだ創業期の会社なので、1人がこなす仕事の範囲が広く、教わる時間が少ないことは大変だなと感じます。
ベンチャー企業で新卒から働くとはそういうことなのだと思いますが、1つ1つ自分で調べて失敗しながら少しずつ学んでいくしかありません。
その分、早くから責任ある仕事に関わることができ、経験をたくさん積めるのは恵まれているなと感じます。


【きっかけ】プラネラリウムで星の世界に感動した

ー宇宙を好きになったきっかけは?

最初のきっかけは小学生のときに観たプラネタリウムです。
そのプラネタリウムは一般的な星の解説ではなくて、「星の王子様」のアニメーションプラネタリウムだったんです。
子供ながらに宇宙とか星の世界ってなんかすごく素敵だな、ロマンチックだなと感じて、その日から宇宙を好きになりました。


ーアミュラポに就職したきっかけは?

大学院のゼミの先生が代表の田中と知り合いで、紹介していただいたのがきっかけです。
もともとは科学館の学芸員などの仕事に就きたいと思っていたので、教育コンテンツの企画をしているアミュラポの事業内容に興味があり、最初はイベントのアルバイトスタッフとして入りました。

イベントでは企画・運営などをさせていただいたんですが、回を重ねるごとに担当できる分野が増えてきて、すごく楽しかったんです。
そのまま2年半くらいインターンをして、新卒で就職し、いまに至る感じです。

▲子供向けのイベントの様子

ー休日の過ごし方やリフレッシュ方について教えてください。

スイーツなど、好きなものを食べるのがリフレッシュですかね。最近は硬めのプリンが好きです(笑)
あとは、イラストを描くのも好きです。
中学の美術で習ったクロッキーという画法が特に好きです。集中できるので、リフレッシュになります。


【これから】宇宙が好きな人がもっと宇宙業界で仕事をできるように

ー今後、仕事を通じて実現したいことは?

私は運良く宇宙関係の企業でお仕事をしていますが、宇宙への興味も知識もあるのに、就職先がなくて仕方なく宇宙業界から離れてしまうひとをたくさん見てきました。
それが本当に残念で。
アミュラポを成長させることは、宇宙市場の拡張にも繋がっていると思うので、宇宙が好きな人が働く場所が増えてくれたら嬉しいです。
あと、わたしたちのイベントをきっかけに宇宙飛行士になったという人が、イベントに参加した子供たちの中から現れたら、それはとっても素敵なことだと思いますね。

▲アミュラポ 教育事業マネージャー石塚さんの写真

ー宇宙業界を目指す方にメッセージをお願いします。

宇宙というと、研究や開発のような専門分野を持った方しか仕事がないと思われている方が多いと思うのですが、実際はそんなことはありません。
むしろ、事務系やマーケティングなどの経験がある人は、これからの宇宙業界にとってすごく必要な人材だと思います。

学生さんでも、文系だからといって諦める必要なんて全然ないですし、既にお仕事をされている方でも、宇宙をビジネスの場にしてもらえたらもっと盛り上がると思うんです。
いろんな経験のある方が宇宙業界に入ることで、宇宙業界自体のさらなる加速に繋がると思います。

私自身、開発の専門技術やビジネススキルは持ち合わせていないのですが、宇宙に関わりたいという気持ちを持って、いろんなチャレンジをしてみたら、気付いたら自分が活躍できる宇宙の仕事にたどり着いていました。宇宙業界に限らずですが、やりたい気持ちがあったら何か発信やアウトプットをして、ぜひ道を切り開いていって欲しいなと思います。


ーありがとうございました。


UchuBizで「コスモ女子 宇宙のお仕事図鑑」の連載が2023年12月から始まりました!

石塚千彬さんの最新の記事はこちらからご覧ください。

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〇宇宙のお仕事図鑑とは?

このプロジェクトのきっかけは、「宇宙関係の仕事につきたかったけど、宇宙飛行士や天文学者しか知らなかった。」という声がコスモ女子のメンバーからたくさんあがったことでした。
宇宙のお仕事図鑑では、宇宙関連のお仕事をされている方々に取材をした記事を発信していきます。
文系の職種も理系の職種も(文理で区分する必要もないかもしれません)、大きな組織の中でのお仕事から、宇宙ベンチャーや個人でのお仕事まで、「宇宙のお仕事」をこのnoteで発信していきます。

〇コスモ女子とは?

「コスモ女子」は、宇宙業界で活躍したい女性中心のコミュニティです。

宇宙に関する知識を身につける「宇宙の基礎講座」や、宇宙に詳しくなくても楽しめる交流会などのイベントを毎月開催!

コスモ女子から発足した、コスモ女子アマチュア無線クラブが人工衛星を2024年に打ち上げる予定です。

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