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【コスモ女子勉強会】世界の天文教育の潮流~限界に挑戦し続ける人々~

2023年2月27日に、和歌山大学 教育学部 教授 富田 晃彦氏をお招きし、天文教育の世界の潮流をテーマに勉強会を開催しました。

富田氏は2022年8月に韓国・釜山にて開催された国際天文学連合総会(IAUGA/International Astronomical Union General Assembly)に参加されました。
国際天文学連合総会は、3年に1度、世界12カ国以上の天文学者が集まり、国際協力、研究、教育などの分野においての活動を発表するイベントです。

天文学は銀河などの発見や研究を通して歴史の発見やこれからの宇宙業界においても欠かせない分野であり、
天文学の普及、若手天文学者の育成、天文学を通じて世界の社会発展を推進する活動など、天文教育が世界的にもとても大切になってきます。

今回は世界の天文教育の潮流についてご紹介していきます。


天文教育の普及現状とは

▲カンボジアでの天文教育活動の様子(コスモ女子撮影)

まず、天文教育の普及状況についてお話いただきました。
教育がいまだ十分に行き届いていないアジア諸国への支援にも取り組まれており、その国の経済発展にも力を入れているそうです。
なかでも、カンボジアを訪れたヨーロッパの天文学研究者が現地の子どもたちと一緒に星を観察したり、現地の学校を訪問して文字の読み書きを教えたりしながら国の成長へもサポートしています。
また教員不足のラオスの学校では、日本人が国際協力として教員の育成も行なっていたそうです。

このように、教育が必要な国の子どもたちへの教育が行き届くと文字の読み書きができる人も増え、働く人が増えることによりその国の経済発展に貢献できます。そして、その国の宇宙や天文について知識を身に付けることが天文学の普及や保護にも繋がるんだと富田氏はおっしゃっていました。

天文学が一般ではない国や地域に足を運び一緒に学ぶ時間があることで、子どもたちが新たな将来への選択肢が増え国の発展にも期待が広がることも素敵なことだと感じました。


米国における天文教育への取り組み

▲天体を触って学ぶ様子(コスモ女子撮影)

アジア諸国での識字率向上と教育普及の取り組みの中で天文教育の裾野を広げていく活動のほかにも、どんな人でも天文学に触れ・学ぶことができるような仕組みをつくる試みがなされていることをご紹介いただきました。

アメリカでは視覚に障がいを持つ方が天文のことを、聴覚や触覚から学べるようなソフトウェアの開発がされており、画像データを音声化するソフトがIDATA(Innovators Developing Accessible Tools for Astronomy)より公開されています。

これは、光の明るさを音程で表現することによって、画像データをイメージできるようにプログラミングされています。
障がいを持っている方も健常者もトレーニングすればどんな天体であるかをイメージでき、様々な人に宇宙の魅力を届けることができる画期的なツールだと感じるとともに、より多くの人が宇宙のことを学べるような土壌ができてきていることを感じました。

▲障害を持つ方が無重力体験をする様子(コスモ女子撮影)

また、身体に障害を持つ方がサブオービタル飛行で20秒間の無重力体験のお話もしていただきました。
講義の中で見せていただいた写真の中にはファッションモデルのような恰好をした女性が無重力体験をしている様子もあり、どんな人でもさまざまな挑戦ができる場が生まれつつあることを実感しました。
コスモ女子も視覚、聴覚や身体に障害を持たない方とも一緒に宇宙のことを学べるような場を提供できるようになりたいと、新しい目標ができた時間になりました。


日本の天文教育

最後に、日本においての天文教育の現状と課題をお話いただきました。
日本は天文関係の教材や教師も充実しており、世界からみればかなりレベルが高いそうで、幼少期に課外授業で科学博物館、プラネタリウムや美術館に行き星座や天文分野に触れる機会が用意されています。

しかしながら、日本では「生涯学習」が課題とされているそうです。
大人になってから学ぶ時間や場所が極端に減ってしまい、触れることすらなくなっていく人が多いようで、日本の成人が学習に費やす時間はたったの13分(2022年の総務省統計より)であるというデータもあります。
実際に、日本での体験型の学習ができるような科学博物館やプラネタリウムなどは平日の17時ごろに閉館しており、仕事終わりが大体18時であるとすると体験型学習に触れること自体が少なくなってしまっています。

また、もう一つの課題として富田氏があげていたのが「言葉の壁」です。
英語をはじめとした外国語を話すことを難儀に感じているひとが多いのではないかと話されており、せっかく高度な天文知識を持っている日本人のアウトプットする場が限られていることはもったいないともお話されていました。

しかしながら、日本を飛び出して海外で活躍されている日本人女性もいらっしゃるそうです。言葉の壁も乗り越え他国でも頑張っている女性がいることを知り、語学を学んだり、翻訳ツールなどを活用していくことで「言葉の壁」を突破すれば、世界中で日本人が天文学という分野でもっと活躍できるのではないかと感じました。


さいごに

▲コスモ女子「Cマーク」で集合写真

今回は和歌山大学和歌山大学 教育学部 教授 富田 晃彦氏をお招きし、天文教育の世界の潮流についてお話しいただきました。

天文教育は世界でもさまざまな活動が行われており、国籍、年齢や身体の問題に関わらず世界中で学べるものだと知りました。
世界の天文天文教育の潮流を知ることで私たち日本での天文学に対する意識も高まっていくものだと感じました。

これからもコスモ女子は宇宙や天文に関して幅広く学べる場所やチャンスを提供し、どんな方でも宇宙を楽しめるよう活動していきます。


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