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視線

先日、市内を移動するのに連節バスに乗り込んだときのことだ。

大きなキャリーケースを抱える人もチラホラ見かけたが人は疎らだった。


私は乗降口の正面にあるイス(横向き)に座ることにした。

ドアは透けていて外の景色がよく見えていた。

その時、これなら移動中も飽きることはないだろうと考えていた。

それがすべての始まりだった。


ドイツの哲学者フリードリヒ・ニーチェの言葉にこうある。

「深淵を覗く時、深淵もまたこちらを覗いている。」


外の景色が見えるという事は、外からもこちらが見える。


バスが走り出すと、隣のレーンを走っている車の運転手と目が合う。

停車しても合う。

バスの停留所でも待っている客と目が合う。

めっちゃ気まずい。


こういう時の流れはとても緩やかだ。

たしか、「時間と空間は立場によって変わるというのは、

相対性理論で説明できるって聞いたことあるな」と考えながら

スルースキルを発動した日の午後だった。



こしあん

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