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大江戸リサイクル事情(著:石川英輔)

名前の通り、江戸時代における「リサイクル」の仕組みについての知恵がまとめられている。鎖国国家で他の国からの資源流入がほとんどなかった江戸時代において、全国では3300万人、江戸の町では当時世界最大の100万人の人口があった当時の日本。限られた資源を活用し尽くし、循環させていく仕組みは今の時代にこそ、学ぶところがたくさんある。

ポイントは「有機物」「太陽エネルギー」「循環の仕組み」だ。
植物を始めとした有機物主体でありとあらゆるものが作られているため、最後は肥料にすることができる。
太陽エネルギーは、太陽光パネルで電気を発生させるという意味ではもちろんなく、太陽の光と熱によって植物を育て、加工することが主体ということだ。植物を育てるというのは言わずもがなである。灯りに用いられた菜種油や和ろうそくの材料のハゼも植物である。つまり太陽光でエネルギーを得ていたのだ。また、水車の運用による加工といった水力も川の流れによって生み出される。その水の流れを生み出すのは太陽の熱によって蒸発した水が雨となって降ることであり、これも太陽エネルギーのおかげと言える。

そしてそれを支えるのが人による循環の仕組みだ。今のように公共のサービスが行き届いていなかった江戸時代においては、民間の人々がそれを担っていた。つまりビジネスとして循環する仕組みができあがっていたのだ。糞尿を買い取り、それを下肥として農作に用いることは言うに及ばず、木屑や紙屑拾い、ロウソクのロウを買って再利用する仕事など膨大なリサイクル業者が存在し、経済の仕組みとしてリサイクルを回していた。そしてもちろんこれら最終のリサイクルに至る前に、修理業者もたくさん存在していて、最後に買い取られて肥料になるという仕組みが出来上がっていた。

決して「江戸時代に戻ろう」というわけではないが、これらの知恵から今の社会に応用できるところはたくさんあるのではないだろうか。同じ日本という地で140年ほど前まで実現できていたことなのだから。

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