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EC事業を立ち上げる際に知っておくべきポイント〜カート選び篇〜

本記事の目的

ECサイトを立ち上げる際に考えるポイント、外部ツールの選び方・運営にあたって知っておくべきポイントを整理しています。

よって、これからEC事業の立ち上げに携わる方や、EC運営の実情に興味のある方の参考になれば幸いです。

そもそもECサイトを立ち上げるためのサービスには何があるか?

ECサイトを立ち上げる際、まず、どのプラットフォームでサイトを制作・運用するかを検討する必要があります。

ECサイトを開業する際のサービスは「パッケージソフト型」「モール型(ネットショップ出店ASPサービス)」「レンタルショッピングカート型(ASPサービス)」「専用システム構築型」の大きく分けて4つ。

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下記にそれぞれについて解説します。

パッケージソフト型

パッケージソフトとは、ECサイト構築に必要となる基本的な機能を予め備えたソフトを指します。レンタルサーバーなどを借り、インターネット上にネットショップを開設するために用います。

代表的なものには「ホームページ・ビルダー22」が挙げられます。

パッケージソフト型の特徴
パッケージソフトの特徴は、ECサイトの開業〜運営までに必要なシステムをパッケージ化されており、商品ページ等の自動生成機能や、受注管理機能が搭載されていることが一般的です。

パッケージソフト型のメリット・デメリット
メリットとしては、注文や商品のデータを手元のPCや専用のデータベースで管理しやすい、ベースとなるシステムを基に、自社の運用に合わせたカスタマイズがしやすいという点が挙げられます。

しかし、自由にカスタマイズできる反面、一定の専門知識は必要。

また、パッケージソフトによっては、必要な機能が足りない、更新によるシステムの改修費用がかかるといった可能性があります。

自動のバージョンアップが行われない分、最新の最適化対応が必要となったタイミングで、都度コストがかかります。初期費用を抑えたい方には中期的に見たら不向きかもしれません。

モール型

モール(ネットショップ出店ASP)とは、多数のネットショップを集めたインターネット上の市場のような形態のECサイトです。

代表的なものには「Amazon」「楽天市場」「Yahooショッピング」などが挙げられます。

https://www.rakuten.co.jp/

モール型の特徴
モールは、サイト内で取り扱っている商品点数が圧倒的に多く、それに比例してユーザー数自体も多くなります。

ECサイト開業から運営に必要な機能はほぼモールのプラットフォームに備わっているため、運営難易度といえるでしょう。

モール型のメリット・デメリット
メリットとしては、知名度が高いサービスへ出店すれば、その分集客しやすくなり、必要機能が予め搭載されているため、専門的な知識がなくても短期間で開業可能です。

しかし、売れる度に発生する手数料が他の形式よりも高いことが多く、レンタルショッピングカート型などと比較すると、利益率が低くなる可能性があります。

また、出店数が多いため、自分のショップと同ジャンルの出店をするライバル店も多く、値下げ競争などに巻き込まれる可能性があります。そして、モールの運営ルールが決まっているため、ショップデザインやプロモーションに制限があり、販促等の施策の幅が狭まってしまうでしょう。

レンタルショッピングカート型

レンタルショッピングカート(ASP)型とは、ECサイト運営のためのショッピングカートや受注管理システムを、ウェブブラウザ上で利用できるプラットフォームです。よって、お手元のPCにソフトを専用のソフトをインストールする必要がありません。

代表的なものには「Shopify」「BASE」「STORES」などが挙げられます。

レンタルショッピングカート型の特徴
モール型と同様に、サーバー・ショッピングカートや商品ページの自動生成、受注管理など、必要となる機能が全てパッケージ化されているため、開業までの難易度はかなり低めです。

現在、上記に記載したサービスの他に多数のレンタルショッピングカート型のサービスがリリースされているため、機能やサービスの違いをしっかりと理解した上で、自分に必要な機能が揃ったサービスを選択しましょう。

レンタルショッピングカート型のメリット・デメリット
メリットとしては、数多くのテンプレートから独自のデザインを自由に編集できるなど、自分の色を出しやすい点が挙げられます。モールで起こりうる価格競争などに巻き込まれる可能性も低く、サービス利用料・手数料も安いため、うまく集客すれば利益率は高くなるでしょう。

また、システム・セキュリティのために必要なアップデートも、サービス提供側で自動更新されるため、対策等を気にすることなく、常に最新の環境でECサイトを運営することができます。

デメリットとしては、まず一定の知名度がないと集客が難しくなる点が挙げられます。商品・ショップ・運営者に一定の認知度がある、もしくは広告運用やSNSなど一定の集客効果が期待できるチャネルがある場合は別ですが、何もなしに初めから一定の売上を立てるには工夫が必要でしょう。

そして、すでに何か基幹システムを入れている場合に関しては、サービス連携に別途開発費用が発生する、基本機能の中に希望する機能がない可能性があります。

専用システム構築型

専用システム構築は、主に法人向けに提供され、好みに応じてカスタマイズすることでネットショップが作成できるサービスです。

代表的なものとしては、「EC-CUBE」などが挙げられます。

専用システム構築型の特徴
専用システムでは、ゼロから自社の作りたいようにカスタマイズできるため、自由度が一番高い分、開設に関する多くを自社で用意する必要があることに加え、デザイン制作、サイト保守・セキュリティ担保、実際に売れた際の配送コストなど、とにかくコストがかかります。

専用システム構築型のメリット・デメリット
メリットとしては、ショップのデザインやUI・UXの細かな部分をコンセプト・運営方針に合わせたものにゼロからこだわって制作できます。

しかし、一般的に専用システムの構築にはおよそ数百万〜数千万の初期費用が必要といわれ、初期費用だけでなくシステムの保守・更新にも改修費用が発生します。売上の見立てが立ってない限り、なかなか選びにくいでしょう。

結局、どのサービスを用いて立ち上げるべきか?

各サービスそれぞれの特徴を理解した上で、自社にあったシステムを選んでいただければと思いますが、結論、これからECサイトを立ち上げる際にオススメしたいのは「レンタルショッピングカート(ASP)型」のサービスです。

初期費用・月額費用(手数料含む)が共に最も安い傾向にあり、立ち上げ〜運営はもちろんのこと、売上を上げるために必要となる機能が揃っているため、これまでECサイト運営の経験が自社にない、運営に関して人員を十分に割けない、ネット上でどれほど売れるものか見立てがない、といった方も安心して活用いただけると思います。

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ただ、既に実店舗で数億〜数十億の年商がある、ブランディングとしてフルカスタマイズのECサイトをリリースすべきであるなど、状況に応じてベストな選択肢は変わります。自社の状況に応じ、ぜひ最適なサービスをお選びください。

本記事のまとめ

ECサイト構築サービスのパターン
 - パッケージソフト型
 - モール型
 - レンタルショッピングカート(ASP)型
 - 専用システム構築型

パッケージソフト型の特徴
 - 独自カスタマイズはしやすい
 - 初期費用並びに保守コストもかかる
 - 広告・SNSなど集客施策を考える必要がある
 - 社内セキュリティなどでクラウドサービスを利用できない方にオススメ

モール型の特徴
 - 有名サービスに出店すれば集客は抜群
 - ほぼカスタマイズできないため、ブランドの世界観は示しにくい
 - 手数料が高く、利益率が低い
 - ブランド等に拘らず一定の売上を立てたい方にオススメ

レンタルショッピングカート(ASP)型の特徴
 - 無料から使えて基本的な機能は全て網羅
 - テンプレを選択するだけでカスタマイズ可能
 - 集客施策を考える必要がある(サービス事業者によっては各種フォローあり)
 - コストをかけずオリジナルのECサイトを立ち上げたい方にオススメ

専用システム構築型の特徴
 - 自社の思い通りに細かなカスタマイズが可能
 - 初期コスト・運営コストが最もかかる
 - 広告・SNSなど集客施策を考える必要がある
 - 既に大きく売れている商材がある方にオススメ

ECサイトの運営は上記のみならず、様々なパターンが存在します。

例えば、レンタルショッピングカート型のサービスを開設すると同時に、モール型の楽天・Amazonにも出品することも一般的なものです。

これには短期的な商品認知度が上がり、売上にヒットする可能性がある一方で、運営コストが嵩み、サイトごとでの見え感が変わることで、ショップとしてのブランディングが既存するといったリスクも存在します。

これが正解!という方法はない中で、自社で立ち上げようとしているECサイトは、どのようなコンセプトで成り立っていて、手がける商品はどのような特徴で、どんなターゲットに刺さるものなのかなど、自社・市場・顧客を一度俯瞰して捉え直してみることをオススメします。


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