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生存率5%以下の大病を経験した話⑩

働く人

病院に入院していると、時間はゆっくりと流れます。

今まで、大きな病気などしたことなかった私ですが、入院して本当に多くのことが見えてきました。一番びっくりしたことは、働く人の多い事です。

医師や看護師さんはもちろんの事、私の入院していた病院は、トイレなど水回りを掃除する人、シーツを変えに来てくれる人、床を掃除する人、カーテンや蛍光灯を交換してくれる人、分業がされているのだとものすごく関心しました。

薬剤師さんは薬を定期的に説明にきてくれるし、食事アドバイザーの先生は取り組む姿勢や、意外な塩分の多い食材を丁寧に教えてくれました。病院の口コミなんかが良く荒れてたりしますけど、私は何も文句をつけるところがありませんでした。

夜は足の痛みにもだえ苦しみながら、昼間はフラフラと寝ているのか起きているのか微妙な状態が続いています。このところの楽しみは、廊下に掲示してある食事メニューを見ることぐらいです。今日はゼリーが付いている!明日は選べるメニューの日だ!これぐらいしか楽しみはありません。現実の問題を考えるとどうしても良くない方向へ考えてしまうので、普段は考えないようにしています。

トイレも入浴も自分一人で出来るようになったころ、退院することが現実になりそうになってきました。家に帰れることは嬉しいのですが、家に帰ったとして、病院のように入浴しやすいお風呂ではないので、できない場合どうしたらいいのでしょう?子供や妻に介助してもらうのでしょうか?     トイレは一度腰掛けたら、立ち上がれるのでしょうか?         車いす併用しなければ動くこともできません・・・

死神さんはこちらが待っていると顔を見せてくれないものです。

請求書 

そんな時に入院費の請求書が届けられました。病院の会計係の方が持ってきてくれましたが、みなさんいくらぐらいかかると思いますか?

大動脈を人口血管に変えて(2本使いました)

手術時間は確か15時間

数日後に足のコンパーメント症候群の手術をして

ICUに2週間ほどいて(寝ていたベットは位置情報もわかる高額のもの)

正解は

1,500万円ほどでした。

私の命を救うためにこれ程のお金がかかったのです。          (税金使ってごめんなさい)

高額医療費ということで、30万ほどの支払いで済んだので良かったのですが、今の我が家の財政状況ではこの30万でも非常に厳しいです。

入浴の帰り、いつものようにメニューチェックをしているとある人に声をかけられました。胸にあるカードを示しながら

「よろずやです」

『萬屋?』

「よろず相談員です」

 『 ? 』

『保険はお金が払えないので無理です!』

「違いますよ、お困りごとはありませんか?」

こう言って若い女性の相談員の方が話しかけてきました。

この「よろずやさん」は患者さんの心配事や転院などいろいろなことに相談にのってくれる人でした。

私は家族などには決して言えないような不安を相談することにしました。

「よろずやさん」は時間をかけて親身になって相談にのってくれました。

「菱田さん、まずは「ない事」よりも、まずは「ある事」を見ましょう。」

こう言われました。

本当に「はっと」しました!

病気をして、思ったこと。

・自分の体が不自由になり自分の命が半年なのか1年なのか10年なのか。     ・仕事はできなくなり収入が絶たれて生活できないんじゃないか。      ・子どもの人生はダメになってしまうのではないだろうか。

こんな「ない事」を考えていました。

・お客さんは復活することを信じて手伝いしてくれています。

・妻は文字通り髪を振り乱して頑張っています。

・娘もこの状況でもあきらめずに、自分一人で頑張っています。

・息子は自分で弁当を用意して休まず野球に行っています。         (従姉が気を使ってキャッチボールをしようと誘っても絶対にしなかったよ うです。息子なりの願掛けだったのでしょうか?)

何よりも私にはまだ、命があります。

こんなにも私には多くの「ある事」がありました。

⑪へ続く

生存率5%以下の大病を経験した話①
生存率5%以下の大病を経験した話②
生存率5%以下の大病を経験した話③
生存率5%以下の大病を経験した話④
生存率5%以下の大病を経験した話⑤
生存率5%以下の大病を経験した話⑥
生存率5%以下の大病を経験した話⑦
生存率5%以下の大病を経験した話⑧
生存率5%以下の大病を経験した話⑨


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