起業する際に考えるベクトルは「売上→自分の給料」ではなく、「自分の給料→売上」
「人は生計の道を講ずることにまず思案すべきである。一家を養い得てはじめて一郷と国家のためにつくす」
これは、司馬遼太郎の小説「坂の上の雲」の中に出てくる一節です。
日露戦争を勝利に導いた秋山兄弟の兄秋山好古が述べているセリフ。
以前NHKでドラマ化された時は秋山好古演じる阿部寛さんが、本木雅弘さん演じる弟の秋山真之と話すシーンで使われていました。
「これから起業して、事業を本格的に始めるにあたって何をしたらよいか」について考えるにあたって、私が最初に申し上げたいのは、まさに秋山好古の言葉です。
起業する方は「世の中をよくしたい」「人のためにもっと役立つ仕事をやりたい」「この素晴らしい商品を皆に使ってもらいたい」という高い理想を持っておられます。
しかし、・・・・・
現実問題として、人のため、国のため、世のために、長期にわたって貢献する場合、「まずは自分の生活基盤を確立する」ことがベースになります。
仮に、自分の生活基盤を確立するために毎月50万円が必要だとします。
この場合、5年間で必要となる金額は
50万円×12ヵ月×5年=3,000万円
です。
つまり、自分の給料分を除いて、5年間で最低3,000万円以上の利益を生む事業をやる必要があります。
多くの起業家は立上げ段階ではなかなか売上が上がらないので、自分の給料は低めに設定して、支出を抑えます。手元に貯えがあれば、3ヵ月や半年ぐらいは我慢できるかもしれません。
けれども、5年、10年という期間で考えた場合に、自分の生活基盤を支える水準より低い給料ではやっていけないことが分かります。
だから、「売上→自分の給料」というベクトルで考えるのではなく、「自分の給料→売上」というベクトルで考えることが必要です。
つまり、「まだ売上が少ないから給料は月20万円で我慢する」のではなく、「月50万円の給料を確保するには毎月いくらの売上が必要か」を常に考えて行動するということです。
「これから起業して、事業を本格的に始めるにあたって、何をしたらよいか」の最初のステップは、「自分の生活基盤を確保するために、いくら必要なのかを把握する」です。
ところで、「生計の道を講ずる」ことを最優先にした秋山好古。その生活ぶりはかなり質素だったようです。
けれども、そこは人それぞれ。高級マンションに住んで、外車を乗り回すことを生活基盤にするのは本人の自由。
要はその生活を維持できるよう「継続して稼げる事業かどうか」がポイントです。
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です。
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