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クライアントの内面にある「真善美」を発掘するのがコーチングだとも言える

クライアントにミッションステートメントを作ってもらうと、例外なく善意に満ちた文章になることに小さな驚きを感じます。

恣意的な誘導は決してしません。それなのに、一定の手順を踏む(好みに任せて文をつむいでいくだけですが)と、決まって輝きを放つ言葉が出てくるのです。このとき、人間のどこか深くに息づく「真善美的な資質」を目の当たりにすることになります。

ところが現実は、様々な制約でもって素晴らしい資質の発露を邪魔したり、妥協強いたりします。例えば企業は何かと量的成長にフォーカスしがちな資本主義社会を基盤にしていますから、金銭的成功を前にして個々人の「真善美的な資質」は劣後しがちです。それが、なんとも言えない息苦しさの原因になってしまっている方が散見されます。

それでも、個々人の深くに根付いている「真善美的な資質」は本人に安易な妥協を許さず、内側から突き上げるように本人に今とは違った何かを求めてくる。企業人の多くの苦悩の原因がこの点にあるように思います。

そうした資質を人生の中で開花させることは、万人にとっての課題かもしれません。とても不器用な人は、「真善美的な資質」をストレートに現実に投げ入れて、現実との摩擦により苦しむかもしれません。あまりにも器用な人は、「真善美的な資質」をたくさんの風呂敷に包んで見えないように隠し、現実に過剰適応し、内面の葛藤に苦しむかもしれません。

コーチングを通じて得られるのは、自身の内面にフラストレーションという形で頭を出そうとしてくる自分の「真善美的な資質」を、現実社会の中で現出させていく方法を見出すことだと言えます。その意味で、コーチングはいまの日本社会が広く抱えている精神的な課題の鍵を握るアプローチの一つではないかと思っています。

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