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クリエイティブマーケターという仕事

数年前に個人用名刺をつくりたいな、と思ったのですが、その時自分の肩書きをどうしようか思い悩んだことがあります。

もちろん私は「コピーライター」が原点でもっとも愛着があるので、そこは名乗りたいなと。けれど、世間一般的にコピーライターというと「キャッチコピー書く人でしょ」というイメージ。事業会社の宣伝部、マーケティングの部署の人でも、実際に仕事をしたことがなければ「広告の言葉周り担当の人でしょ」という感じかと思います。でも実際そのカバー範囲はとても広いんです。

(詳しくはここに書きました。)

さらに、もともと広告会社でマス広告(テレビCM、新聞広告、雑誌など)をやっていた時は一生クリエイティブ職で食っていく、感満載だったのですが、その後デジタル領域(SNSプロモーションとか動画マーケティングとか)に携わるようになってから、「クリエイティブ職といっても、クリエイティブを作れるだけの専門職だと食べていけないな」と焦りを感じるようになりました。

クリエイティブがクリエイティブなことだけやっていると、そろそろきつそう

広告業界には「クリエイティブディレクター」という肩書きがあります。
立ち位置的には、こんな感じです。

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左上ですね。この図もかなりざっくりで、端折ってしまっている職種もあったりするのですが。

会社によって定義が違うことがあるかと思いますが、おそらく業界一般的には「クリエイティブディレクター」=「クリエイティブ(表現)が関わる全アウトプットの品質責任を負う人」といった感じかと思います。コピーライターやアートディレクターもいずれは「クリエイティブディレクター」を名乗るようになります。

私もすでに当時「クリエイティブディレクター/コピーライター」だったので、名刺もそれでいいか?とも思ったのですが、やっぱりちょっと違和感が。それは、私の中での定義は上と違って、どちらかというと「クリエイティブディレクター」=「マーケター」だったんです。

デジタル領域の広告って、マス広告よりもダイレクトに生活者の反応が返ってきます。今ではテレビCMなどマス広告の反応もSNSなどで語られていますが、それよりもダイレクト。企業が綺麗事を言ったり、都合の悪いことを隠そうものなら、あっという間にSNSで暴露されて炎上します。

つまり、デジタル広告では、マス広告の時よりももっと生活者の気持ちと向き合って、生活者になりきってコミュニケーションを設計していかないと、簡単にネガ反応になって返ってきてしまいます(ポジよりネガの方が広がりやすい)。

そうなると、クリエイティブ担当だとしても、生活者について必死で調べ、実際に会って会話をし、メッセージや表現を考えていかなければなりません。

さらに、個人の好みや価値観が多様化しているので、本当に捕まえたい生活者は誰なのか。どういう人なのか。市場を調査して、そもそもどういう人たちがいるのか全体像を把握するところからやらねばなりません。

ある程度大きな広告会社であれば、ここを外注したり、社内の「ストラテジックプランナー」が市場調査を担当して戦略を組み立てていくのですが、デジタルのスタートアップにいた私の会社にはそこまでリソースがありません。全て自分でやるしかない。

こうして、「市場調査」から「生活者のインサイト発掘」、「戦略」を考え、「コンセプト」を開発し、「クリエイティブ」を制作し、どこの媒体でコンタクトするかの「メディアプランニング」や「配信」、アウトプットした後の「調査設計」などやるうちに、これはもはやクリエイティブ職の領域超えてない?という業務幅に。

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(BRIEF以降、全部自分でやる。)

なので、自分で調査して、4Pでいうプロモーション領域のマーケティング戦略を考えたなら、あとはよろしくではだめで、マスやデジタル広告だけでなく、店舗の作り方、商品パッケージ、ブランドブックやイベントなど全てのコミュニケーションで軸がずれていないか判断できる必要があるなと。

さらに、実際にどういう反応が示されているのかを見定めながら、メッセージや表現のPDCAを回していくことも。(マス広告中心に携わっているCDは、作って終わり感が強いです。CM流した後気にするのは、CM好感度くらい。でもCM好感度はどれだけの量流したか、に左右されてしまう)

そんなこんなで、自分の中の「クリエイティブディレクター」=「少なくともプロモーション領域のマーケター」としてやっていけないと、厳しいのでは、という結論に。

しかし、現状の広告業界にはデジタルとマスを両方見れるクリエイティブディレクター自体少ないですし、マーケティングの視野でクリエイティブに落とし込んでいく人の肩書きがありませんでした。

(デジタルとマス両方みれる人少ない話は、以前ここにも書きました)

当時Facebookが「クリエイティブ・ストラテジスト」という肩書きのポジションを作っていたので、すごくイメージに近い!と思っていたのですが、業務の内容としては「Facebookというプラットフォームを使って、どういうクリエイティブアプローチができるか、戦略的に考える人」的な感じだっったので、これもまた微妙に違うなーと。

なので最初は「コピーライター/ストラテジックプランナー」とそれぞれの職種を並べて書いていたのですが、「この2つが並ぶって珍しいですね(違う職種を2つやっている人?)」とよく突っ込まれていました。

そして、海外に移住するタイミングで私の名刺を見た奥さんが、

「海外だと、ストラテジックプランナーって、何の戦略をプランニングする人か伝わらないよ」

っとツッコミをもらってしまい、新たに授けてもらった「コミュニケーションストラテジスト」を名乗ることにしました(長いけど・・・)。

まあ、肩書きなんて「伝わりやすさ」が大切だったりもするので、新しい肩書きを勝手に作ると「新しいけど何やっているわからない人」にもなってしまうのですが、まあそこは自己満足になってしまうのでしょうか。。

いつか海外でフリーの仕事をするとしたら、ひとまずこの肩書き(コピーライター/コミュニケーションストラテジスト)の反応をみてみたいなあ、と思っています。(やっぱり長い)

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