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なぜクックパッドは“Disrupt”を志向するのか──Japan CEO 福崎康平の観点

クックパッド公式note

2022年、クックパッドは「Cookpad Disrupt Target」を定めました。これは私たちが長期的に取り組み、慣習や事業構造に大きな変化を起こす、つまり“Disrupt(=破壊的イノベーション)”することを検討している「食にまつわる6つの市場領域」です。

また、それを実現するための人材を求める取り組みとして、クックパッドでは「Disruptor採用」もスタート。採用されたDisruptorたちは事業拡大をより迅速に実現させるため、Japan CEOである福崎康平と密に連携しながら、高難度の事業ミッションに挑んでいきます。

Disruptor採用 特設サイト
https://disruptor.cookpad.jp/

今回は福崎に、クックパッドが“Disrupt”を志向する理由を改めて尋ねました。

クックパッドはプラットフォームである、というプライド

──まずは、Cookpad Disrupt Targetとして打ち出された背景から教えてください。

Cookpad Disrupt Targetを発表したのは、「クックパッド」や「クックパッドマート」を拡張し新たな市場領域へ展開するすることで、“次の柱”となる事業を生み出すのが目的です。

Cookpad Disrupt Target。6つの市場を挙げている

会社としては「クックパッドはプラットフォームである」という観点を常に大事にしています。プラットフォームとしてたくさんの人を巻き込み、多様な価値を生み出し、様々なマーケットに影響を与えていく。これは自分たちのプライドとも呼べるかもしれません。

こういったプラットフォームサービスは、基本的に特定ユーザーのためと言うよりは、「さまざまな人に使ってほしい」という設計思想を持っています。もし、クックパッドを「時短簡単便利お料理ドットコム」という名前に変えたとしたら、そこに価値を感じる一部の方には継続して利用していただけたとしても、自分たちが大事にしている「多様な価値が生まれる場」にはなりづらいでしょう。

世界は「2つの考え方」に分かれている

──今回は6つの領域をターゲットに定められています。選定の理由はあるのでしょうか?

国内でNo.1のレシピサービスになったことで、クックパッドはビジネスとしてもう“アガり”だと言われることがあります。でも、自分たちはまったくそうは思っていなくて、クックパッドのミッションである「毎日の料理を楽しみにする」を実現するためには、まだまだやるべきことも、やりたいことも、たくさんあるんです。

月間利用者数約5,700万人、掲載レシピ数約369万品(2022年3月末時点)の日本最大のレシピサービス「クックパッド」

今回、Cookpad Disrupt Targetとして食品小売市場、食品物流市場、食のCtoC市場、食の開業・承継支援市場、食の金融市場、持続可能な食品市場という6つの領域を掲げました。ただ、これらはクックパッド社内で今後取り組む議論が当然に起きている市場領域を挙げたに過ぎません。7つ目に“One more thing”として「まだ見ぬ市場」を据えているのも、そういった理由からです。もちろんあれはAppleのパロディですが(笑)。

──挑む相手がとても巨大なものもあります。食品小売市場なら約48兆円規模で、中には営業収益が単独で10兆円に迫る企業さえある。それでも協調や協業ではなく“Disrupt”を志向するのはなぜでしょうか。

今、世の中の流れは「2つの考え方」に分かれていると捉えています。

一つは「人間社会に自然を合わせる」という考え方。人間の存在が中心であり、行動の効率化を最優先として、自然を人間社会に取り込んでいく。いわゆる近代産業はこの考えのもとに作られていったのだと思います。

もう一つは「自然の生態系に人間社会を合わせる」という考え方。地球環境を犠牲にし続けることに危機感を覚え、人間社会を自然に合わせたほうが、持続的かつ生活は楽になるのではないか、という観点です。近年はこちらがより広まってきているように感じます。

食品市場に当てはめてみると、前者は「大規模生産/大規模流通」や「大量生産/大量消費」といったように、誰もが同じものを食べたほうが効率的で、生産したものを安価に年中安定して供給できるという考え方です。

後者の考え方は、たとえば春なら山菜がたくさん採れるわけですから、それを食べればよいということです。ただ、現状自分で山菜を採って天ぷらにして食べられる人は環境やスキルなどの理由から少ないですし、長野や山梨といった産地に近い場所ではとても安く購入できますが、都心部のスーパーでは高価になってしまうという課題があります。

つまり、都市生活では生産に伴う環境負荷がとても高い食材でも、流通がコントロールされていれば安価に届く。一方で、自然に生えるような山菜はとても高価である。この状況は、一種の「歪み」だと思うんです。

──クックパッドが図る“Disrupt”には、その歪みを正す意味合いもあると。

最近では産地直送の市場も増えてはきましたが、まだまだ既存の食品小売や流通の規模は数十兆円規模で圧倒的に大きい。ただ、食に限らず様々な業界で持続可能な状況にするために適切なバランスが検討されて、これから「2つの考え方」が共存していくんだと見ています。そしてクックパッドは、料理の生態系を愛しているからこそ、自然と寄り添いながら、多様な食を楽しむスタイルも大切にしていきたいと思うんです。

人間は地球から生まれる余剰物を食べて生きています。今はそれを得るために環境を犠牲にしている状態で、毎月の生活費が赤字で、借金が積み上がっていっているようなものです。この状況を解決しなくては持続可能な社会は実現しません。

今、そういった食生活はいくつかのキーワードと共に広がってきていますが、まだ正解がなにかは分かっていません。この動きが既存の食品小売や流通にどういう変化を起こしていくのかは分かりませんが、中長期的なトレンドで既存の仕組みを壊していけるのがインターネットや、テクノロジーの強みだと思うんです。

「食」は情報格差が少ない事業ドメインである

──大型商業施設による功罪は、日本のあちこちでも聞かれます。

元々は地域ごとに「商店街という生態系」に紐付いた経済やコミュニティが出来上がっていたわけですが、彼らが大型商業施設に敵わなかったのは「わかりやすさ」だと思うんです。どうしたって人はわかりやすい方、利便性が高い方を利用する。

しかし、わかりやすくしようとするがあまり、そこにあるはずの豊かな選択肢が失われてしまうのも事実です。この集中が一定以上になると「大量生産/大量消費」の流れと結びつき、気づけば画一的なものを提供しがちになってしまう。

しかし、根本的に「食」は生活の中での体験機会が多く、買い手と売り手の情報格差が少ないジャンルだと考えています。だからこそ、買い手がより主体的に情報を使いこなしていって欲しいですし、「食」に関して高いリテラシーを持つ人々と連携しながらその状況を作り出していきたいと思っています。

「雑食な人」が増えるほど可能性が広がる

──今のアプローチは、まさにユーザーが自身で良い食材を利便性高く買える、というクックパッドマートの拡大が、その自信を後押ししているのではないかと感じます。

今のクックパッドマートの状況は、レシピサービスのクックパッドが立ち上がった頃に似ているかもしれません。当時はレシピを投稿する方たちの強いコミュニティができて、面白い方がたくさん使ってくれるようになったことで、サービスがどんどん成長していきました。クックパッドマートも同様で、今は本当に面白い、創造的に食を楽しんでいる方たちが使ってくれていると感じています。

自分は世の中に「雑食な人」をもっと増やしたいんです。人間は基本的に「一度食べたことのあるもの」を選びますから、いろいろなものを美味しく食べた経験がある人が増えることで、世の中の食べるものの選択肢は増えていきます。

選択肢を豊富に持っていれば、仮に牛肉が高騰しても「それなら今夜はお手頃な豚肉にしよう」「そもそも肉は高いから魚にしたほうがいいかも」「食べたことない魚に挑戦してみよう」といったように、市場や、個々人の状況に合わせて食べたいものを選べるはずなんです。

1,000店を超える事業者が出店する生鮮食品EC「クックパッドマート」

たとえば、クックパッドマートで「牛一頭をみんなで食べよう!」という販売企画があるんですが、普段一般の方は買わない部位も販売するところなど、まさに雑食な感じがして気に入っています(笑)。クックパッドマートには雑食なユーザーが増えてきていて、運営から「これ食べてみない?」と提案すると「食べる!」と試してくれるユーザーさんがたくさんいて、とても嬉しいです。

他にも魚は現在約3万6千種いるといわれていますが、人間が日常的に食べているのはわずかな種で、それ以外は「未利用魚」と呼ばれています。ただし、この中には美味しく食べられる魚もたくさんある。そういった魚の消費を促すアクションは徐々に増えてきていますが、これも雑食な人が世の中に増えるほど、可能性が広がります。

マーケットの変化は「15年のスパン」で考える

──今回の“Disrupt”について、どれくらいのタイムスパンを見ていますか

大きく物事が変わるには、おおよそ15年程度かかると考えています。

たとえば、自分はEV(電気自動車)のテスラに乗っているんですが、テスラは2003年に設立され、2008年に最初のモデルを発売し、そこから現在まで15年近く経っています。この間に、EVが次の自動車産業における一大マーケットになる潮流が生まれて、それに伴いテスラは存在感を増してきました。

最初のEVをリリースし、ポジションを取って発信していくまで5年かかり、代表的な製品が出て評価され始めるまでに10年かかり、マーケットが変わるまで15年かかりました。それでも、テスラは相当速く業界に変化を起こせた事例だと思います。

料理で言えば、今から15年前の2007年は「夫婦共働き」が増え始めたタイミングで、さらに15年前の1992年はまだ専業主婦が多く、パートタイマーが現れ始めた頃。1977年は夫婦のうち男性が主な働き手となる片働き世帯が主流で、女性全体でも就業者は50%を切っていました。

──クックパッドの“Disrupt”も15年スパンの法則で取り組んでいくと。

2年や3年で世の中が簡単に変わることなんてないんです。本当は5年、10年、15年かかって、やっとひとつ何かが変わる。真に「時代を作る」とは、そういうことだと思います。

大学生の頃に「こういうサービスを作ったらうまくいくだろうな」と妄想していたものがありました。その3年後にはまだ世に出ていませんでしたが、10年後になると、ほとんどが実現している。遡ってどれかをやり続けていたら、うまくいったはずのものも結構あるんです(笑)。

だから、10年後や15年後に一定のポジションを取るためには、それだけの期間続ける覚悟が必要です。クックパッドならば、その環境が用意できると考えています。マーケットが見える前から取り組み続けていれば、テスラのような位置に入れるかもしれない。それが“Disrupt”の本質だと思うんです。

(文・長谷川賢人)

クックパッドでは、新しい市場を開拓するJapan CEO直下プロジェクトリーダーを募集しています。

私たちが持つプラットフォームサービス、ユーザーコミュニティ、その他のアセットを活用し、新たな市場領域の開拓を先導する、Japan CEO直下のプロジェクトリーダー『Disruptor』を募集します。

ご興味をお持ちの方は、以下のDisruptor採用特設サイトよりカジュアル面談あるいはエントリーをお申し込みください。

Disruptor採用 特設サイト
https://disruptor.cookpad.jp/

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