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料理の雑誌はどれくらい売れているのか

かつて『少年画報』は80万部達成 
『ベストセラー伝説』(本橋信宏著)を読んでいます。戦後、大部数を販売した雑誌、書籍がなぜ成功したかを丹念に取材して書かれた本です。このなかで、月刊『少年画報』が1959年(昭和34年)新年号で80万部を達成したという記述があります。これは戦前・戦後を通じて少年月刊誌の最大部数記録。当時、『少年画報』は90パーセント以上が売れた(返本されない)とのことですがら、70万部以上が実売されていたことになります。ものすごい数です。
 ずっと出版不況です。書籍、雑誌は一昔前に比べて売れていません。  
 そんな状況で、料理をテーマにした雑誌などがどれくらい売れているのかが知りたくなり調べてみました。雑誌の部数は、日本雑誌協会が印刷部数を公表しています。これは、

「印刷部数公表」は、雑誌協会加盟誌を「印刷証明付き」で年4回(以下の3ヶ月単位)公表するものです。(日本雑誌協会ホームページより)

というものです。現状、2019年1月~3月の平均データが最新です。
『きょうの料理』テキストは2誌で39万部
 料理関係の雑誌で部数が多いのは『きょうの料理』で270,600部。これはご存じの通りNHK番組「きょうの料理」のテキストです。「きょうの料理ビギナーズ」のテキスト『きょうの料理ビギナーズ』は120,000部で、2誌を合計すると約39万部となります。
 39万部という数字は多いのか。例えば、月刊の『文藝春秋』は397,833部で、「きょうの料理」2誌の合計とほぼ同じです。ざっとデータを見た限りですが、月刊誌では『文藝春秋』は部数が多い雑誌のひとつです。データ上は「きょうの料理」は健闘していると言えます。ただ、現在の雑誌は返本率が45パーセントほどあります。なので、39万部印刷されても、実際の販売は21万部ほどです。
意外と売れている料理雑誌
「きょうの料理」以外の雑誌はどうなのか。月刊ではなく季刊ですが『栗原はるみ haru_mi』が155,000部です。またこれもテレビ番組テキストですが、『上沼恵美子のおしゃべりクッキング』が83,767部。料理だけを扱っている雑誌ではありませんが、料理記事が多い『オレンジページ』は320,600部あります。
「印刷部数公表」には掲載されていませんが、「キューピー3分クッキング」テキストの『3分クッキング』は版元のKADOKAWAのAD MEDIAGUIDEによれば日本テレビ版113,000部、CBCテレビ版40,000部で合計約15万部です。
 例えば、女性誌月刊誌で歴史がある『LEE』は220,000部、『家庭画報』は105,975部ですから、料理関連雑誌の部数は少なくないことがわかります。
 雑誌が危機的状況にあるとも言われるいま、料理雑誌はどうなっていくのか。その行方が気になります。

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