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もうそこにはないのに

子供の頃は時間がありあまっていたせいか、出会いや別れに無頓着だった気がする。

母と仲良しだった近所のおばちゃんは、もう車に乗ることはない。そこの近くを通ると、ゆっくりゆっくり運転して出てきそうな気がする。

去年お花見の帰りに寄った、山奥のレストランは今年も行きたかったのに、一月に閉店していた。
ガッカリした。
ずっとあったのに、今年も行きたかったのに、もうそこへいっても入れない。
美味しいご飯を作ってくれたシェフも、素敵な笑顔で応対してくれた店員さんも、そこには存在してない。

何かもう当たり前なのに、不思議すぎて、自分の心を置き去りにした気分。

次の瞬間には自分は死んでるかもしれないのに、もう二度と会うことはないかもしれないのに。
当たり前と思ってたら、あっという間に消えていく人や物たち。

私の身体も存在してないのかもしれない。ただどこかで誰かが想像してるだけかもしれない。

どんどん現実が薄まっていく感じがしている。
そういえば欲もどんどんなくなってる。
明日には消えてたりして。

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