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小紅書に問題、ウェイボーからも新アプリ登場…中国人気SNSの動向 / 関連記事紹介

 中国はインターネット大国だ。中国インターネット情報センター(CNNIC)の発表によれば、2018年12月時点でネット利用者は8億2900万人おり、普及率は59.6%に達した。またスマホ利用者は8億1700万人で、インターネットのほとんどが手のひらの上で利用されていることとなる。

 若者の多くが情報源とするのもスマホだ。日本でもツイッターやインスタグラムから人気の商品が出て売れていくように、中国でも口コミやインフルエンサー(KOL)が影響力を持つ。そのプラットフォームの一つとなっているのが“中国のインスタ”と呼ばれる「小紅書」であるが、近ごろは様々な問題が起こっている。またこのタイミングで対抗勢力も現れた。今回は最新の動向について詳しい記事をピックアップした紹介する。

 小紅書はECとインスタグラムのようなSNSが合体したアプリだ。そこには一般ユーザーから販売者までが入り混じり、場合によっては純粋な口コミではなく、ステマと称されるような「広告でありながらAD(PR)タグのない投稿」もあり、問題となっている。

中国のSNS型ECアプリ「Xiaohongshu(小紅書)」、閲覧数やコメントを不正に増やそうとする販売者への取り締まりを強化 - THE BRIDGE / Technode

関連:xiaohongshuThe Growing Influence of Little Red Book - Jing Dialy
https://jingdaily.com/the-growing-influence-of-little-red-book/

 記事によると「このサイトとアプリでは以前、ブロガーに対して販促についてはすべてラベル貼りをしたうえで、5回の投稿で有料コンテンツを多くても1つに制限するよう要求していた。ラベルがない商用コンテンツは「検索結果で推奨されません」と同サイトの投稿に書かれている」といい、場合によっては投稿の削除なども行われていた。

 また昨年9月には収益増加を目指して、アプリ上で外部のECサイトへのリンクを挿入できないようにもしたという。

 しかし、中国は政府によるネット規制が厳しく、特にフェイク情報や、近年では偽物の販売、ネット上の過剰広告なども取り締まりが激しい。そのためこういった対策も表面上行うのでは意味をなさない。

 「2019年6月に小紅書(RED)は、MCNのプラットフォームへの加入資格をこれまでよりも厳格にすることを発表しました。これの影響で、これまで小紅書(RED)でコンテンツを発表していたKOLのうち1万人以上が削除され、約5,000人まで減ったと言われています。今後、小紅書(RED)で商品等の宣伝活動をするKOLもMCNへの加入が義務付けられ、なおかつ売り上げの一部をプラットフォーム側へ納める必要があります」

Chinese social e-commerce site Xiaohongshu pulled from major Android stores - Global Times China

 7月末には、ついにアプリストアから強制削除を受けた。記事では「上海に本拠を置く同社は、この状況について学び、関連部門と問題について積極的に対応している」と報じている。「業界関係者は、製品販売を促進するために偽造された「ユーザーの投稿」に関する問題が関連している可能性がある、と述べた。また4月には、中国の法律で禁じられているタバコに関する9万5000件の情報を掲載したことで、同社は非難された」と報じている。

関連:【速報】中国人気アプリ「小紅書(RED)」Androidから強制削除、当局指示で:アダルトコンテンツなどが原因か - 訪日ラボ
https://honichi.com/news/2019/07/31/redbannedinandroid/

 この後、危惧されていたように中国iOS版もストアからアプリは削除され、中国国外のストアからのみダウンロードできる状態となった。既にダウンロードしていたユーザーは引き続き使用ができるが、ユーザー数も伸び続け、ラグジュアリーブランドも参入し出した段階での痛すぎる問題となった。

関連:次世代SNS「RED(小紅書)」にラグジュアリーブランドが続々と参加 中国インフルエンサービジネス最新事情 - WWD JAPAN.com
https://www.wwdjapan.com/articles/900779

 これは小紅書だけに起こった例ではなく、昨年には人気動画アプリ「ビリビリ(Bilibili、哔哩哔哩)」もコンテンツ内容を理由にアプリストアから削除されていた。同社は3月に米NASDAQ市場に上場したばかりだった。また、この削除が行われたのも7月末の出来事だ。

関連:中国の「ビリビリ動画」、多数のアプリストアから削除 「低俗な内容」- AFPBB NEWS
https://www.afpbb.com/articles/-/3184426

 こういった隙も見逃さないのが中国市場の厳しさだろう。このタイミングで現れたのが、ウェイボー(WEIBO、微博)が 発表した新SNSアプリ「オアシス(OASIS、绿洲)」だ。

中国版ツイッターのウェイボーがインスタグラム的SNS「オアシス」をローンチ – WWD JAPAN.com
中国版Instagram?微博推片社交品“绿洲”正在内 - nbd.com

 「WWD JAPAN.com」は「ファッション、グルメ、旅行、美容など、ユーザーの好みに基づいたコンテンツを閲覧することができると同時に、豊富な種類のフィルターを使用した写真やムービーの編集、投稿も可能だ」と紹介。そのUI/UXは小紅書のそれと近く、ターゲット層も若者とほぼ同じ市場を取り合うこととなる。ウェイボーは若者への求心力が落ちているといわれて久しく、このアプリにも期待がかかっていた。

“中国版インスタ”三日天下が映す若者の価値観。Weiboの新サービス、パクリ発覚で退場 - Business Insider

 記事によると、このアプリにより「3日には株価が一時5%近く上昇した」ものの、「4日夕方、Weiboは「緑洲」をアップルストアから撤去し、サービスを停止した」という。これはアプリのロゴデザインに対し、盗用の疑惑が浮上したためで、取り込みたい若者層からバッシングを受けたためだ。そういった批判に対する対応の速さも中国企業らしい。

 今後のSNS・動画アプリの動きにも影響を及ぼす2つの事件は、今後どのように波及し、そしてこの2つのアプリはどう復活していくのか。注目が集まっている。


臼井杏奈 / AnnaUsui

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