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『鎌倉殿の13人』 3話「挙兵は慎重に」メモ(後)

・もとよりコメディが下手な歌舞伎役者なんていないに等しいんだけど、本作の愛之助のコメディセンスには恐れ入る。

三浦義村(山本耕史)「この日照りで不作になるだろう(ざっくり)」
宗時(愛之助)「‥‥平家のせいだ」
めっちゃ笑ったw

・歌舞伎のみなさんをはじめ、宮沢りえ、山本耕史、小池栄子、もちろん小栗旬も含め、発声と滑舌がよく、小気味いいセリフ回しで聞かせる役者がそろう中、馴染みきっている中川大志くんを見よ!! まさか彼が23才だとは、知らない人は誰も思うまい。ほれぼれするほどうまいよね!

・以仁王と源頼政が討伐されたとわかったあと、「挙兵しなくてよかった~」と明らかに顔に出てるのに、政子が「挙兵しなくてよかったです」と言うと「ひどいこと言うな!!!(意訳)」と怒鳴りつけ、そのくせくるりと背を向けて「よかったぁ」とこっそりほほ笑む頼朝。まじひどいww よりによって念仏を唱えながら舌ペロしてるたちの悪さw 何が信心だよw 多分コイツまともな死に方できないな‥‥

・ナレのまさみが言うとおり、古典を読んでると「夢枕に立つ」は頻出なんだけど、確かにしゃっちが(方言)高尚ではなく、こんな卑近な夢枕もあったんだろうなと思わせるw 頼朝「揺らさないで~」くっそ笑ったw

・文覚を蔑む様子といい、「大泉洋ってこんなに顔芸が達者だったのか」と驚いてますw 出てゆく文覚の背中に「二度と来るな!」と追い打ちかけるのも爆笑w 頼朝、まったく高貴じゃないやんけw

・文覚、亀ちゃん(猿之助)が舞台で見せる動きがてんこ盛りで、亀ちゃんファンにはたまらなかったわ~。

・文覚はあんなにみすぼらしく怪しげなのに、袋叩きにされるのを見ると、あわてて助けに入る宗時。疫病神かもしれない頼朝について「一度かくまったからには放り出すわけにはいかない」と言う時政。任侠の世界と紙一重な坂東、ちょっと頭が弱いくらいの北条の人たち。でも、人としてまっとうな感性を持ってるんだよね。

・時政に「源頼政とはどんな人物だ」と尋ねることができる頼朝。時政の答えを容れて判断・行動できる頼朝。

・義時「勝てると思うか」 義村(山本耕史)「兵をどれだけ集められるかに尽きる。波に乗れば味方は増えるから、緒戦が大事」 この整然としたロジック(聞きようによっては説明ゼリフ)をスッキリと聴かせる山本耕史、マジうまいし、脚本もすばらしい。

・義時のホームベースが米蔵で、酒を飲むより米を数えるほうが好きで、どの田にどれだけの種籾を貸したかまで自分で把握してるという描写がもう本当に最高!(←実務史オタク) 「サラメシ」か「孤独のグルメ」で義時の一日の仕事に密着してください! 

・で、実務家の義時だから、「国衙で札を見て米の収穫高から土地の人口を推測→人口から兵の数を割り出す」ことを思いついたんだよね! なぜ人口から兵の数が割り出せるかというと、たいてい、「人口(大人の男子)〇人につき1人」のような人数割で兵を徴発するから。

・緒戦の勝利に必要とされる兵の数が「300」というのがいいよね。この小競り合い感、しみじみする。

・「平家を憎む民の声」「兵力」「大義名分」の三つがそろって初めて立つ決心がついた頼朝。思いあぐねる頼朝を政子は「意気地なし」と糾弾したけど、多くの将兵の命を預かる重さ、また己の命の重さもわかっている慎重な大将だともいえる。

・後白河法皇からの密勅は本物ということでOK? しかし頼朝は、神聖な法王に向かってではなく、胡散臭い僧侶がもってきた、どこの馬の骨とも知れぬ髑髏に向かって誓うのである。大義名分 < 民の声 ということですね。

・八重について考えてる。八重は頼朝の前妻というだけでなく、この物語の中では「義時の初恋の人」として設定されている。しかもガッキーだ。源氏と北条家、そして義時にとってどういう存在なのか?

・八重は異口同音に「父上のおおせに従います」と繰り返している。彼女は自分がおかれた「伊東の娘」という体制に従うスタンス。ただし、唯々諾々とではなくて、一貫して感じられるのは怒りと悲しみ。内に秘めた激しさ。

・史実の八重の後半生には諸説あるけど、この物語では最後は「抵抗」を示し、それは義時に大きな影響を及ぼすんじゃないかと思う。

・この先、頼朝(と義時≒源氏)は平家体制の転覆に邁進し、それらは紆余曲折あるとはいえ基本的に成功していく。少なくとも、ある時点までは。八重はきっと、その輝かしい道のりの起点におかれた小石のような存在になるのかなと。義時をつまずかせ、小さくても消えない傷を負わせる小石‥‥

・同じく三谷さんが書いた「真田丸」では、生涯を共にした腐れ縁・きり(長澤まさみ)とは別に、竹内結子演じる淀殿こと茶々が、ある意味主人公信繁のファム・ファタールだった。信繁と茶々が大坂城で濃い時間を過ごすのは彼らの人生の最期だった。この「鎌倉殿の13人」では、ファム・ファタール八重は主人公義時の人生の激動期の最初に登場するということなんだろうと思う。楔を打ち込むかのように。

・読み返して、自分でも若干引きましたが、このまま上げますw


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