VOICE 2020: 広い意味で命を守っていくために ~ かどたに まい さん
かどたにまいさん。産前産後家事サポート「てのひらのゆりかご」の代表で、ご自身も3児のお母さんです。聞き手のイノウエとは、党派性なし・子連れ歓迎の「市議会傍聴イベント」を共同主催する仲でもあります。
聞き手・編集: イノウエ エミ
(2020年5月上旬取材)
―――「てのひらのゆりかご」さんでは、緊急事態宣言が出る前に、営業の方針を出されましたね。手助けが必要な方のために営業を続けること、しかし当面のキャンセル料は一律無料とすることを始め、まいさんのまごころと細やかな目配りを感じた方針でした。
当然のことで、むしろもう少し早くお知らせできればよかったかなと思っているくらいです。
お客様に安心して休んでいただくためのサービスなのに、こちらが訪問することで不安を感じられるのであれば、意味がありませんから。配偶者の方が在宅ワークになって、サポートが必要なくなる場合もありますし、臨機応変な対応が必要だと思いました。
また、お客様の側が急に体調を悪くされた場合など、当日でも躊躇なくキャンセルしていただけることは、私たちサポーターの身を守ることにもつながります。お互いさまなんです。
―――産前産後の方を始め、困難を抱えた家庭が増えていると想像しています。
とても心配しています。今は保健師さんもなかなか訪問できないでしょうし、そもそも保健所はコロナの対応で忙殺されていますよね。
里帰り出産できなくなった方、頼りにしていたサポートが得られなくなった方などがたくさんいますし、今後も出るでしょう。
感染防止の取り組みはもちろん大事なのですが、産後うつや虐待も怖い。広い意味で命を守ることを考えていかなければ。今、国や行政の目配りがそこまで行き届いているかどうか。
もともと行政は声を上げた人にしかコンタクトできないというジレンマがあるんですよね。
困難な状況にある人は、自分の大変さをすごく小さいものだと思い込んでしまったり、わざわざより難しい道を選んでしまったりするもので。「黙っているから大丈夫でしょ」「なぜ助けを求めなかったの」では決してありません。
私たち民間のサービスにも頼ってほしいけど、今後ますます広く細やかな支援が必要です。
―――SNSでは、子どもの問題から政治まで、ふだんから様々なテーマをシェアしたり問題提起していますね。
コロナで社会は大きく変わるから、ひとりひとりが自分で考えることがますます大事になりますよね。
発信へのリアクション? んー、今までとあまり変わらないかも。人間、そうそうパッと変わることはできないのかな。
私は昔から、政治の話だってしないほうがおかしいと思っていて。気になることは黙っていられません(笑)
道路、学校、医療体制・・・私たちが普段当たり前に使っているサービスのほぼすべてに、政治や政策が関わっています。私にとっては、政治も美味しいランチも、同じくらい興味がある話題です。遠慮しないで、いろんな人と話しながら、知識を補ったり考えをまとめていけばいいと思っています。
でも、SNSで政治の話題を見ていると怖いなと思うのもわかる。やたらと口調がきつかったり、反対意見の人を口汚く罵ったり。「こんなことも知らないのか」みたいな書き方をされていると、おちおち質問もできませんよね。
意見を持ち寄って、何がベストなのか話し合っていくのが建設的なのに、とてもそういう雰囲気じゃない。
日本人はディスカッション力を高めていかないと厳しいなー、と思うこのごろです。
―――ステイホームな日々で、ご自身に変化はありましたか?
これまで、時間があれば、勉強会やイベントなどに参加していましたが、今は週末に予定が何もない。不謹慎かもしれませんが、正直なところ、解放感もあります。学ぶこと、人に会うことはとても大切だけれど、もしかしてこれまで無理していた部分もあったのかな? なんて。
―――よくわかります。そう思っている人、多いんじゃないかな。
こんな週末をしばらく繰り返すのも悪くない。もしかしたら、ヨーロッパのバカンスってこういう感じなのかもしれませんね。私が気づいていなかっただけかもしれないけれど、新しい価値観に触れた思いです。
(おわり)
(2019年7月、”せやろがいおじさん ” のライブ後のツーショット!)
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・子連れ傍聴、配慮に地域差(2020.1.15 西日本新聞記事)……まいさんと聞き手イノウエも取材を受けました。
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