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2019年紅白歌合戦

2019年の紅白。残念ながら前年の焼き直し色が濃かったかな。昨年、一昨年はスッと出てきた「今年の紅白、この一言」だけど、今回まっさきに出てくるのは「はるかカッター」だもん。でも、あれ思い出すだけでちょっと「がんばろ!」って気になれるから、綾瀬はるかはやっぱり偉大。スタイリングといい、指先までピンと伸びたポージングといい、顔の角度・表情といい、惚れ惚れしますね。本家より切れ味の良い(笑)カッターだったw

◆前半

●Foorin
よくよく考えると、「パプリカ」ってだけでも五輪ソングとして謎イメージなのに、さらに「花」を提示してくるのがすごい。
桜やチューリップとは全然ちがって、「パプリカの花」と聞いて思い浮かぶイメージに共通概念はさほどないでしょう。その未知感と多様性がこの歌の核です。
しかも、花が咲いたら種をまく! 種をまくの早すぎ! しかも空にまいたら落ちてくるだろうよ!という無理ゲー感もこの歌の核です。

…と書いてきましたが、実はこの歌の本当の核、それは「らるらりら」だと思ってたところ、このあと嵐が披露した、同じく米津玄師writingの『カイト』でそれが証明されました。

Foorinの中に『マッサン』で子エマちゃんを演じてた住田萌乃ちゃんがいるではないか~~! と気づいて激しく興奮した紅白の幕開け。

●郷ひろみ
ありがとう、郷。プロフェッショナルな姿、毎年楽しませてもらっています。

●aiko
aikoフォロワー世代です!!! 「花火」大好き! 客席のラグビーの皆さんが喜んでる様子がうれしかった。

●島津亜矢
そろそろ誰もかれもが「糸」をカバーするのやめませんかね? みゆきには他にも幾多の名曲があるし。

●ディズニーメドレー
「倫也を出さないならうちの菅田は出しません」と社長が言ったのかどうかわかりませんが、唐突な中村倫也の登場に戸惑いつつも喜ぶの巻。さすがの倫也氏も緊張のご様子だった。デュエット相手の木下さんが激ウマだった。

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●おしり
ホール・ニュー・ワールドとの高低差に耳がキーンとなる(懐)。これが紅白です。

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●キスマイ
祥平がローラースケートを履いて笑顔で歌ってる~~~~! 『グランメゾン東京』の録画をまだ7話までしか見ていない我が家がざわついた。

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●AKB
毎年同じネタってのもかわいそうな気がしてくる。金爆と同じ枠ってことではないですか。

●天童よしみ、山内惠介、坂本冬美
ごった煮なバックで盛り上がるのも紅白的とはいえ、2年に1ぺんくらいはもうちょっと長く歌わせたらどうなのかとも思う。

●LiSA
「鬼滅の刃」の歌らしい。なるほど~! 正統派。息子小3「ああ、きめつの歌ね」知ってるのね。

●King Gnu
紅白に出てくれるような人たちなんだ、とびっくりした。他にどういう曲があるんだろう?と知りたくなるような、いい歌だった。「白日」ってタイトルもいい。

●福山雅治
いいかげん、NHKホールに来たらどうかと毎年思ってた。ウッチャンが生放送で指摘してくれたのですっとしたわ。でも来年も来ないんだろうなw

●TWICE
かわいい。かわいい。好き。

◆後半

●リトグリ
うまい。ラグビー。

●ダパンプ
さすがにラグビーと絡ませるの無理くね?

●Official髭男dism
めっちゃ歌い上げるタイプの歌だった。「コンフィデンスマンJP」の主題歌とか「Tell Me Baby」とかの技巧的なイメージだったからびっくり。王道もやるんだ~! ていうか実は王道が本質なのかも。それくらい堂に入っててびっくり。発見だった。

●欅
うーん‥‥。この表現をどう見たらいいのか。すごいのだけどいつもモヤる。おっさんがビジネスで作ったファッション反抗を、少女が生身の肉体を酷使して倒れる寸前といった風情でやっている。聴衆もそのギリギリ感を求めている。こんなことを称賛し消費していいのだろうか。もちろん本人は主体的にやっているのだろう。しかし構造を考えると、批評が欠かせない表現ではないでしょうか。

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しかしそれは欅だけでなくアイドルの本質のひとつでもある。アイドルと共に生きてきた私(←誰だよ)にとって、平手ちゃんのパフォーマンスはコップの水を背中に入れられるような感がある。

●キンプリ
そろそろ誰か一人でも覚えたい。

●けん玉
「なぜ、ノンスタ石田が?!」という疑問に答えてくれないままギネス挑戦は進んでいった(今年は失敗)。来年もやるらしい。

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●YOSHIKISS
YOSHIKIは慎みのある人間なので紅白ではきちんと予定調和内で収めるのが常だが、それにしたってあまりに牧歌的なのでちょっとびっくり。うん、まあ、よかった。VTRでYOSHIKIのお父さんの写真が映ったのにはびっくり、しんみりした。

●AI美空ひばり
この企画の経緯を全然知らないのもあってか、ほとんど感想の持ちようがなかった。お年寄りの感想が聞きたい。(後日、チラ見したうちの母が感動してたことを知る(笑))

●関ジャニ
そこは『友よ』を歌ってよ~! 『俺の話は長い』は2019年ベスト3に入るドラマだったよ!!!

●乃木坂
ウッチャンとか日村とかが毎年絡んでくることに、そろそろファンは怒っていいんじゃないでしょうか。

◆おげんさんと星野源

まさかの「おげんさん」がLIVEで源本体が録画というww
高畑充希と渡辺直美がハグしながら歌う大みそかの祝祭感! 隆子は思春期でカウントダウンに行ってる設定w 
おげんさんをNHKホールのステージでやれたらいいのになあ。8時だよ全員集合的なセットでいいじゃんね。

昨年の紅白のおげんさんで「赤とか白とか関係なく混合チームでいけばいいんじゃない?」と発言した星野源。今年はピンクのダウンコートで英詞の『Same Thing』を歌った。

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この『Same Thing』について彼が語ったインタビューにすごくいいのがあったんだけど、それを読まなくても、英語の意味がわかんなくても、繰り返される「ファック ユー」で何となくわかるじゃんね‥‥って思ってたら、ファックユーがすべて「スクリュー ユー」に置換されてる!!
「おげんさんといっしょ」でもピー音みたいな処理がされてたので、大みそかにはなおさら問題あるのでしょうw

というわけで、「ファッキンさせてくれないならLIVEでは歌いません」と敢然と星野源が言い放った‥‥わけではないと思いますが(笑)どこかのビルの屋上で歌う録画映像だった。

『Fuck youって言いたかったんだ、ずっと思ってたんだよ』
『楽しいのも最悪なのも同じことなんだ』
『わびさび めちゃくちゃにしよう』

最高ですね。明らかに2018年『アイデア』の「生きてただ生きていて 踏まれ潰れた花のように にこやかに中指を」の延長線上にある。

怒りを排除しちゃだめなんだ、怒りを軽んじれば喜びもまた尊重されない。喜怒哀楽すべてなければ。
そういうメッセージだと思う。めちゃくちゃ共感する。最近ずっと思ってること。
「半分、青い」の「私には何もない!」「涼ちゃん、死んでくれ」と、津波で死んだユーコにめちゃくちゃ泣いたことを思い出したよ。

そうそう、「英詞の歌なんて自分には無理だ」という気持ちが変わったのは、『いだてん』の平沢役で長い英語のスピーチをするシーンがスタッフに好評だったから‥‥というエピソードも好きです。紅白、「いだてん」を超華麗にスルーしやがって…(ギリギリ←歯ぎしり)

●ビートたけし
誰だよ、たけしに歌わせる企画立てたの! ‥‥って思って引きポジで見てたら存外よかった。さすが。

●石川さゆり
来年は越えます。雪の町と火の山を忠実に交互。

●RADWINMPS
あれ? 「愛にできることはまだあるかい」の歌、歌わなかったよね?!

●Superfly
『スカーレット』主題歌。いい歌です。こんなに柔らかい歌唱をするようになったんだ、と毎朝感じてる。戸田ちゃんだけだったのが淋しい。富田靖子、桜庭ななみ、福田麻由子の川原家紅組で一緒に見てほしかった。

●菅田将暉
往年の本木雅弘@紅白ばりに尖ったパフォーマンスを期待していたおのれの不謹慎さに苦笑いしてしまうほどド直球でした‥‥。そうかそうか。菅田くんはこうしたかったのか。そこまでうまくなくても(ヲイ)ホールでナマで一生懸命な生歌唱、胸を打つところがありますね。あ、私、昔からの菅田ファンです!

●竹内まりや
うーん。小6の子が、「大切に育ててくれた親に感謝」とかなんとか正面きって言うのはどうなんだろね。いや確かに、小6の私にもそういう気持ちはあったと思う。しかし‥‥。言葉がテンプレ的に感じるから違和感なんだろう。あと、ホールで歌ってほしかった。

●いきものがかり
ほんとにいい歌だけど、ロンドン五輪を振り返りながらの歌唱という趣向がかなりいただけない感なのだが‥‥。

●ゆず
はいはい、栄光の架橋ね。ロンドン五輪からの流れで。はいはい。つらいわー。ピアノが松任谷正隆だった。

●NHK2020ソング嵐「カイト」
いくらナマじゃないとはいえ、米津玄師があんなにしゃべるとは…! 感動半分、フィクサー感あふれる演出に鼻白むの半分。

ワンフレーズめから米津節が全開だよね~。

「泣かないで」と言うのがお母さんで、「逃げていい」というのがお父さんです。2020なんで。ジェンダーギャップ121位はあんまりでしょ。ラル ラ リラ。

◆松任谷由実

歌にも企画にも何の前提知識もなしに見てて、思わず泣いてしまった。「ノーサイド」なんて詩情にあふれた歌なんだ! 

「何をゴールに決めて 何を犠牲にしたの
 歓声よりも長く 興奮よりも速く走ろうとしていた
 あなたを少しでもわかりたいから」

「人々がみんな立ち去っても私 ここにいるわ」

すごい。こんな平易な言葉で‥‥
ユーミンの詞の凄みにひれ伏す。

ワンチームだ、東京五輪だとさんざん煽ってきた「紅白スポーツ推しセクション」が、こんなフィナーレ。

輝かしい歓声と興奮の時間も過ぎていって、時代はすぐに新しいものを求める。
それはこれまで繰り返され、そして2020年の終わりにも約束された姿だ。
でも、みんなが立ち去ったあと、ユーミンは残ってくれる。
そんな人が、みんなにいることを願います。

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◆氷川きよし

紅白の歴史として語り継ぎたい名パフォーマンス。最初からきーちゃんで現れたのではなく、いかにも紅白・いかにもこれまでのきよし君らしい衣装とセットをぶち壊して誕生したのがまた鮮烈だった。繊細で美しくて猛々しい限界突破。いい喉だ~! 「全王様もおったまげ」って言語感覚すばらしいよねw 星野源も超歓喜。

年末、「氷川きよしの変貌について、実家の親とかマッチョな夫がdisる可能性があるご家庭では、一言でいいので自分の言葉で異を唱える準備をしておきましょう」と書きました。

我が家の場合、ともに70代の母も義母も
「あ、この人最近こうなのよね。綺麗に化粧して…えーと、ジェンダーとかいうんだっけ?」
「いいじゃない? 好きなように生きないとね」
って感じで、さほどの知識はないながらもあっさりした受け止めだったのが印象的。

夫は意表をつかれたらしく「うっわ!」と引き気味の声をあげていたが、「やっぱ歌うまいな~」と感嘆してた。もろにドラゴンボール世代なので、あのマンガの世界観あふれる歌を気に入ったようです(笑)

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●松田聖子
聖子、そのぴらぴらした、昭和の小学生女子が描く「お人形さん」みたいな服はなんだ!!! 

…っていうフェーズはとっくの昔に通り過ぎてます。きよしだって聖子だっておげんさんだって、好きな服を着て好きな歌を歌えばいい。歌がうまけりゃさらにすてき。そういうものです。聖子はさすがにキーを落としてるけど、2017より2018、そして2018より2019のほうが良い歌唱だったじゃんね? 林檎もパフュームも感に堪えない様子。

「時間の国のアリス」久しぶりに聞いた。そして「夏の扉」、かがやく名曲だ。
「夏は扉をあけて 裸の二人つつんでくれる」ってすごくいい歌詞だね~

◆MISIA

Twitter論壇で氷川きよしがほぼ例外なくポジティブに見られていた一方、割と賛否両論を呼んでいたのがMISIAのパフォーマンス。スクリーンに特大のレインボーフラッグが映し出され、両組の出演者たちも同じ小旗を振って応援。DJやダンサーも性的多様性を感じさせる面々。

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MISIAが長年、社会的な目線をもちながら音楽活動をしているのは知る人知るだけの話であり、司会の綾瀬はるかが「いろいろな愛のカタチ」について短い説明をしただけで、本人からのstatementがなかったこともあり、商業的な装置である紅白で雑な大衆性やファッションに回収されてしまうのではないかという疑念を持つ人もいるという。

私はそういう賛否も含めて、やってよかったパフォーマンスだったと思う。性的マイノリティのことなんて知らない人はまだまだ全然知らないし嫌悪感を持つ人だってたくさんいる。うっすら知っててでも誰とも話すことがなかったりする。それが本邦の実態。こういう番組でこういうパフォーマンスがあることで、身近な人と話す。そのきっかけになる。多様な感想と新しい知識を、いろんな人が持てたらいいなと思う。

…っていう以前に、セットは絢爛豪華で紅白的なセンスの悪さ(それも好きなんだけどさ私は)とは無縁! そして、この大がかりなステージの中心に立つMISIAの歌唱力!!! ゴージャスの一言。このしつらえで、「Into the light 私を見て」という歌詞は感動的だった。

◆嵐

うーむ、このMISIAのスペクタクルの後に口パクはいかにもつらいよね‥‥と思ったら、おっ、生歌じゃんね。と思ったら、『A・RA・SHI』のサクラップと大野くんだけだったようですw だから、もう踊らなくてもいいから、へたでいいから生で歌えとw じゃなけりゃ最低限、大トリは引き受けるなよと何度言えばわかるんだww

‥‥と思ったんだけど、初めて聞いた口パクの新曲『Turning Up』で思わぬ感動に襲われて、あれ?じんわり涙が。あれ?あれ?

こちらはカジュアルでカラフルな衣装の男女がたくさん出てきて、跳ねるようなポップで、そう、そして「Turning up with the J-pop!」っていうフレーズが繰り返されるんだよね。

なんか、口パクすら含めて、J-popが彼らの矜持なんだなって納得させられてしまった。光のあたるところで、J-popを担って発信してきた彼らが、最後の年にこんな明るい歌を見せてくれるんだなって。
久しぶりに嵐で感動したかも。

だからって、やっぱり白が優勝するんかい!!!!!と思わんでもないですw
もう飽きたよww

総じて、別の場所からの中継と録画が多すぎる印象。
生で歌って、ホールで歌ってよ~! なんか興ざめじゃんね~。そりゃこっちはお茶の間で見てるだけだけどさ~。気持ちはホールにいるから~w 

綾瀬はるかの最後のドレス良かったー、前も後ろもV、背中ぱっかーんと。大人の女性の美だわ~。背中ぱっかーんの画像が見つからない💦

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審査員。「去年(司会)に比べたら全然気楽」とコメントする広瀬すず。そんな正直なあなたが大好きです。ハセヒロ、キリッとしてる。田中圭、ほわっとしてる。いいよいいよ。

◆最後に。

ここまでオリンピックを推し、スヤさんこと綾瀬はるかを司会に立て、ビートたけしまで呼んでおきながら、公式には『いだてん』にちょっとも触れなかったことはのちのちまで忘れんけんな!

・綾瀬はるかが福山雅治に「自転車シーンを見て『脚、強いね』と言われた」
・ビートたけしの歌い終わりに綾瀬はるかが「『絶品』でした!」

これだけ。たったこれだけだったのよ~!
「わかる奴だけわかればいい」はかつて「あまちゃん」でクドカンが書いた名台詞とはいえ、100年残る名作、2010年代の日本が最後に打ち立てた金字塔に対して、あんまりな扱いじゃないですこと? 

●過去ログ


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