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『天国と地獄』5話まで ~固定観念を揺さぶる装置としての「入れ替わり」

ところでみなさん、日曜劇場『天国と地獄』見てますか? 
綾瀬はるかと高橋一生が入れ替わり、しかも高橋一生は猟奇的犯罪者で綾瀬はそれを追う刑事‥‥という設定。荒唐無稽でミステリアス、しかもコメディタッチでもあり、守備範囲が広いのか狭いのかよくわからないドラマですが(笑)、「エミ的・当代三大脚本家」のひとり森下佳子さんのオリジナル脚本だけあって、めちゃくちゃふるってます!!

今作「天国と地獄」は、森下さんが昨年5月、いわゆる「新しいニューノーマル」下を描いた
『転・コウ・生』
の系譜に連なるものとして解釈しています。
NHKで一話完結で放送されたものです。役者がそれぞれ自分でカメラをセットして、リモート撮影したんだよね。

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こちらも入れ替わりモノ、主演は柴咲コウ。助演は高橋一生。
しかしこの二者だけではございませんで、
ムロツヨシ & かわいい猫ちゃんも含めた、四者が入れ替わるのです!

しかも1回じゃない! 
2回も3回も‥‥いや10回以上、エンドレスで入れ替わる!
つまり柴咲コウの中身がムロツヨシになったり高橋一生になったり猫になったりするのです!

なぜ、「転校生@小林聡美」の時代から使い古された入れ替わり劇を描くのか?
それは、固定観念を壊して再構築するため。
まさに、「ニューノーマル」を描くためなんですね。

「1作品において、入れ替わりは1回(1往復)だけ」
というのもまた、固定観念というわけです。

しかも、『転・コウ・生』は、
柴咲コウ(体)の中身(心)は高橋一生の状態で終わりました。
猫の体に、柴咲コウ。
高橋一生の体に、ムロツヨシ。
ムロツヨシの体に、猫。(笑)

「最後は、元に戻ってチャンチャン」
というのも固定観念。
「元に戻る=ハッピーエンド」
というのも固定観念。
新しい世界では、新しい展開や価値観を模索したり受け入れたりする必要があるのだという示唆だったと思います。


この「転・コウ・生」を踏まえて発展させた『天国と地獄』なので、
入れ替わりが1回だけというのは考えにくいし
「犯罪者と刑事」の設定も当然、意図的なもの。

男と女、
体と心の関係
何が正しくて何が罪なのか
何が愛で何が憎しみなのか

さまざまな展開と描写で
私たちの固定観念を揺さぶってきます。

直近の5話では、
高橋一生が演じる日高ハルトは、
今回が初めての入れ替わりじゃないのではないか? 
もともとは、日高ですらない別の体をもっていたのでは?
それは女だったのでは???
という可能性が出てきましたね!

もしも少女の頃に日高=男の体に入れ替わり、
そのまま20年ほど生きてきたならば、
その性自認はどうなっているのでしょうか?

日高(体は綾瀬はるか)は柄本佑演じる「陸」とセックスしたのですが、
それは一見、男女のセックスだけど、
実は男同士のセックスで、
だけど日高がもともと少女だったとしたら‥‥?😲🙄🙄
と、まさに翻弄されながら見ています。

まだ5話だから! 最新話はパラビでも見られるし!(回し者ではありません) 興味のある方、一緒に楽しもう~!

キレッキレのサディストだったり
猟奇的な犯罪者だったり
本気出してドレスアップしたりの綾瀬はるか(体ね)が
惚れ惚れするほどかっこよくて、
不思議と women empowerment なテイストもあります。
日高の中身がもともとは女の子だったのだとしたら、
日高と望月はシスターフッドなバディになるのかもしれない!

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