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#夏の読書感想文

新着の記事一覧

「アウグスト・エッシェンブルク」 ミルハウザー著

 年間読書人さんのレビューを読んでいたら気になったので、ミルハウザーの「イン・ザ・ペニー・アーケード」を読みました。タイトルの「アウグスト・エッシェンブルク」は「イン・ザ・ペニー・アーケード」の中にある中編小説で、作品の質や構成を考えれば著者の代表作と言っていいでしょう。  どういう小説か、簡単に説明します。主人公のエッシェンブルクはからくり人形師です。美しいからくり人形を作る事に、自分の人生を費やしています。彼は純粋な芸術家タイプの人間です。エッシェンブルクは子供の頃に、

「ユルいメンタルの育て方」を読んで(西脇俊二×吉濱ツトム)

2022年6月26日 本日 ちょっとだけ早い読書感想文を記述したいと思います。 文章を書くことを辞めていた時期が長かったので、稚拙な文章になってしまうことをお許しください。 また、ほんの少しのネタバレをしてしまうかもしれません。 そこら辺が許容出来ない人は私の読書感想文など読まない方がいいと思います。 さて、この本は自己肯定感のあり方について書かれている本であり、西脇先生と吉濱先生の対談形式の本になっています。 ズバリ結論を言うと、自己肯定感は低いままでも構わない。

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損なわれる美、失われる美

村上春樹著『ノルウェイの森』を読み返しながら感じたこと 私は美しいものが損なわれることが何より哀しい 美しいものが失われることが何より哀しい でも 損なわれているから美しいと感じるのかもしれない 失われるからこそ美しいのかもしれない 美しいものは損なわれないでほしいのに 損なわれていることに美を見出してしまう 惹かれてしまう  むしろ損なわれることを望んでしまう 自分の中のどうしようもないアンビバレンスに胸が苦しくなった

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少しずつ海外へ行ける扉が開いている今考える、「意義のある」旅ってなんだろう。

とある日に見かけた記事と、東浩紀さんの「弱いつながり」を読んで思ったことです。 "Meaningful Tourism"(意味のある旅行)とは何か?について書かれた記事です。 記事の内容つまり、観光客だけが満足するだけではなく、観光客を受け入れる地域であったり、主催する旅行会社含め、受け入れ先の企業も満足することが求められる時代になりました。 それは、短期的な視点でいえば満足度が高くなるとか、人との交流が盛んになることかもしれません。長期的に見ると、「関係人口」の話や移

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【読書感想文】 悪魔というファンタジーな存在を介して人生を見つめ直す 『世界から猫が消えたなら』

猫、可愛いですよね。 丸っこくて、もふもふで、マイペースで可愛いですよね。 私は猫を飼ったことはありませんが、この世界のすべての猫が、食べて、寝て、遊んで、一生のんびり幸せに暮らしてほしいと願っています。 そんな猫がもしこの世界からいなくなってしまったらどうなるのでしょう。 考えたくはありませんが、私は哀しみのあまり、泣きながら紙に下手な猫の絵を描き続けてしまうかもしれません。 もしくは、妄想の中でひたすら猫を撫で続けてしまうかもしれません。 いや、猫という存在そ

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ストア派とエピクロス派

積読の中からなんとなく抜きとった、セネカ著『生の短さについて』を読んだ。紀元前に書かれた文章、紀元前の人の思想にいまこの時代に生きる自分が触れられること、触れていることに不思議な感慨を抱きつつ、セネカの思考を辿った。

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中村文則さん『銃』読書感想文

この小説は人間の暗い部分をひきずりだして書いている作品ですね。もともと本屋でたまたま見つけて読んだ中村さんのエッセイ集『自由思考』を読み、その本が面白く、著作も読んでみようと思い、『銃』を読んでみました。この作品は中村さんのデビュー作だそうです。 感想というよりは、どういうテクニックを使って小説世界にひきずりこんでいるのかということを、著者のエッセイをもとに、考えてみたいと思います。ネタバレ含みます。 エッセイを読んで分かるのですが、中村さんはなんかこう、まっすぐな方だな

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100

江國香織さん『東京タワー』読書感想文

この本は、高校生のときにはじめて読んで、すごく憧れたのを覚えています。大人になって読むとまた違う感触がする本のひとつです。 自分が好きな箇所というよりは、文や構成の分析などを書いてみたいと思います。ネタバレ含みます。 まずタイトルの『東京タワー』は、東京タワーは見守ってくれるおじさんのようだ、という描写が出てくることに由来しているのだと思います。この作品は透と耕二というふたりの青年の、結婚している年上の女性との恋を交互に描いている作品で、そのふたつの恋を遠くから見守ってい

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遠野遥さん『改良』 読書感想文

図書館で遠野遥さんの『改良』を借りて読んだので、感想を描きたいと思います。ネタバレ含みます。 https://www.kawade.co.jp/np/isbn/9784309028460/ 容姿を気にする心理や、暴力などのシーンも出てきますが、この小説は差別について描いている小説という印象を受けました。 まず、遠野さんの語りの独特な良さがあって、何かというと、あらゆる可能性をいったん考えているということです。例えば、友達が所属しているバンド五里霧中ズのライブに誘われるシー

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「『怒る』以外の方法を知らないだけなんだ」

「キミは、『怒る』以外の方法を知らないだけなんだ」読了。 私は、母に似て感情的。 特に付き合った人を感情でコントロールしてしまいがちだ。人を選んで怒っている。 でも、怒りの裏には寂しさ・悲しみ・承認欲求など、上手く言葉にできない「本当の気持ち」が隠れている。 ◎怒る以外の方法 ・5秒クールダウン。本当に伝えたい事は何か考える。 ・戦えば自分も相手も傷つく。できるだけ戦わないことが1番の勝利。イライラしたらまず自分の機嫌を取る。 ・「自分の正しさ」を主張するのではなく、「な