はじめて同性とキスした時のこと
たどり着いたフランスの片田舎の駅のホームは夏の日差しを反射して鏡のように白く、私は炒り豆になった気分で列車が吐き出す無数のバカンス客に紛れ迎えを待っていた。ホームステイ先のホストが迎えにきてくれる、と留学エージェントからの手紙には書いてあった。
夏期休暇に一ヶ月半の語学留学を決めたのは、友達のいない夏の過ごし方を知らなかったからだ。大学はつまらない。滑り止めで受かったこの学校なんかに私の話し相手になる人間はいない。一方でパリを選ばなかったのは、私なぞがあの華々しい街でや