見出し画像

友情・努力・勝利・スカイラブハリケーン

リモートワーク25日目。

週刊少年ジャンプで連載中の「僕のヒーローアカデミア」を読んでみた。中学2年生になる息子の本棚に、いかにも「これは僕の宝物ですのでヨロシク」という感じで、一番目立つ場所に整然と並べられていたから、ずっと気になっていたのだ。

なんだかRPGのパッケージような表紙でいかにも「少年用マンガ」という佇まいだったのでなかなか手が出なかったのだけど、休憩時間になんとなくページをめくってみたら、あっという間にハマってしまったのだった。

「主人公の少年が懸命に努力し、成長しながら仲間とともに悪い組織と戦う」という少年漫画の王道中の王道ストーリーなのだけど、敵と戦うためのツールが「足が早い」とか「声がでかい」とか、それぞれキャラクターの「個性」というのが面白い。細かい内容についてはぜひ実際に読んでみて欲しいのだけど、読みながら僕はずっと「ヒロアカ」単体のことじゃなく「やっぱりジャンプ最高!」と改めて思っていた。

僕が「少年」だった頃、少年ジャンプと言えば「Dr.スランプ」に「キン肉マン」「3年奇面組」に「ストップひばりくん!」と、どこから読んでも最高に面白い「両A面」的豪華マンガが満載された、最高のエンタテイメントマガジンだった(今もそうに違いないけど)。当時お小遣いが少なかった僕らは、週ごとに購入当番を決めて仲のいい友達の間で回し読みをしていたのだけど、読む順番を待つ間ずっとワクワクが止まらなくて、授業中想像したあらすじを「ジャポニカ学習帳」に書いてたりしてたっけ。

なかでも特に夢中になったのが「キャプテン翼」だった。翼の「ドライブシュート」はもちろん、ブラジル帰りのコーチ・ロベルト直伝の「クロスバーに当てたボールをオーバーヘッドキック」とか、若嶋津の「三角飛び」とか、当時のサッカー少年の心を捉えて離さない必殺技が満載で、頑張ったら自分たちもできるようになるんじゃないかとそればかり練習しては、いつもコーチに叱られていた。「ボールは友だち」という名フレーズが生まれ、僕たちは「トラックに轢かれてもサッカーボールが助けてくれる」という恐怖のストーリーだって「うんうん、なるほど。たしかにそうかも!」とごく自然に受け入れていたっけ。

画像1

僕が「ヒロアカ」を読んでみて驚いたのは、週刊少年ジャンプの「テーマ」が40年以上経った今もまったく変わっていないってことだった。ジャンプといえば「友情・努力・勝利」という三大原則を大切にしていることで有名だ。少年マンガを読まなくなってずいぶん経つけれど、ジャンプの発行部数が減ったというニュースをみたりするたびに、そういう「暑苦しさ」がもう今の時代に合わないんだろうと勝手に推測していたのだ。

「友情」 味方のために尽くす、チームワークを重視する。
「努力」 ひとつの目標に向かって努力する姿勢を大切にする。
「勝利」 最終的に勝利することを目標にする。

けれど、「ヒロアカ」の主人公「デク」は、僕が小さい頃に夢中になった翼そのものだった。目標に向かって自己研鑽し、友を信じて託し仲間をつくる、そして戦いに勝利する。読者はそのストーリーに自分を重ねて、いてもたってもいられないような気持ちになる。「きっと僕にもできる。明日も頑張ろう」って。

すっかり少年じゃなくなった僕だけど「ヒロアカ」を読んだら久しぶりにそんな気分になった。暑苦しさは、パワーだね。創刊の頃から「伝えたいこと」が、何ひとつブレていないジャンプは、やっぱりすごいエンタテイメントマガジンのままだった。

ちなみに達成できた必殺技は、石崎くんの「顔面ブロック」のみ。憧れの「スカイラブハリケーン」は無理だった。立花兄弟、すごすぎ。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?