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方丈な生き方|この世というのは心のあり様で苦しくもなり楽しくもなる

この世というのは心のあり様一つで苦しくもなり楽しくもなるものだ。精神が安心立命の境地になければ、どれだけ権力財力があり豪奢な家に住んでいても、やはり苦悩の生活をしなければならない。私は今こうして閑寂な山中にある方丈の庵で暮らしているが、精神は平安で余生を日々楽しんで生きている。

お久しぶりです、良仁です。この一か月間、いろんな緊急案件を抱えて東奔西走しながら社会で起きている問題と対峙しました。(笑)

冒頭の文は、日本三大エッセイの一つ方丈記の中で60歳を過ぎた鴨長明が辿り着いた心境を述べた一節です。彼が日野山に方丈の庵を構えたのが60歳ですから、平安末期の安元の大火(1177年)に始まる方丈記が書かれたのは鎌倉時代初期の1215年頃になります。

さて、グローバリストたちが勝手な新世界秩序(New World Order)とやらを無理矢理に押しつけて引っ搔き回して滅茶苦茶にした世界。世のため人のためと美辞麗句を並べた傲慢で利己的な権力者の支配欲。

長明さんは、こう言います。

権勢のある者は、現在持っている権力ではけっして満足せず、もっと強い権勢を望み、その為に散々と苦労をし、何の権勢も持たない身分の低い者たちは、人々の軽蔑の対象になって苦しまなければならない。

まさに不条理な現在社会を言い当てています。長明の時代から800年を経っても権力者の稚拙な人間脳は進化しなかったということです。(笑)

自分で不運の人生と語り、苦悩した鴨長明が、ようやく精神の平安を得た方丈庵での暮らし。長明さんと同じ生き辛さを感じている方々にとっては、2万文字の方丈記が生き辛い世の中でも楽しく生きるための人間の心のあり方を教示しています。(笑)

私にとって、方丈記は愛読書の一つで、たまに友人と語るように見ています。方丈記の最後に長明さんはこう言います。

私は余命幾何もなく死出の旅路に出ます。今更嘆く事も悲しむ事もない。仏は何事にも執着するなと言いますが、今こうして心静かに楽しく住んでいる方丈の庵を愛することも一つの執着心であり罪なのです。仏から見れば、私は価値のない楽しみを理由に無駄な時を過ごしました。私が浮世を逃れて日野山で暮らし始めた第一の目的は仏道に精進することでした。自分の暮らしは外見こそ聖人の様ですが心境は聖人に遠く及ばず俗人のように濁ったものです。

長明さん、あんたはどんな生き方を追い求めていたのですか?長明さんと同じ心の友である荘子はこう言います。

古(いにしえ)の真人(しんじん)は、生を説(よろこ)ぶことを知らず、死を悪(にく)むことを知らず。その出を訴(よろこ)ばず、その入も距(こば)まず。悠然として往き、悠然として来るのみ。

理想の人間は、生に執着するでもなく、死を忌避するでもない。この世に生を受けたからと喜ぶでもなく、この世を去るからと悲しむでもない。ただ無心に来て、無心に去ってゆく。

続けてこう言います。

逆境に不満を抱かず、栄達を喜ぶでもなく、万事をあるがままにまかせて、作為をほどこそうとしない。失敗を気に病まず、成功しても得意がらない。変転する外界の事象に自由に応じるが、けっして仲間をつくろうとしない。人に先んじようとはしないが、かといって意識的に下風に立とうとするわけでもない。常に独自性を失わないが、かたくなではない。顔色はいかにも晴れ晴れとして屈託がなさそうだが、動作は常に控えめである。世俗と交わってはいるが、それでいて世俗を高く超越している。

16世紀から始まり、スペイン、ポルトガル、オランダと続いた唯物論近代史に於ける金融資本権力集団の巨大化は、1756年に始まり1763年に終わる英仏7年戦争で勝利し世界の植民地を征服したイギリスで起きた産業革命によって加速しました。一次二次三次と続いた産業革命は遂に人間不要のIOT (Internet of Thing)、メタバースの第四次産業革命の途上です。

唯物論の意義は物質文明の進化によって全人類が、より幸福な暮らしを送れるようになるということですが、産業革命によって巨大化した金融資本権力集団によって、その意義は捻じ曲げられ、「99%の人間が、物を支配する1%の権力者集団に隷属して抑圧された生涯を永続する」という理論にすり替えられました。

スペイン、ポルトガル、オランダ、イギリス、アメリカと続いた唯物論近代史の覇者は、国家ではなくグローバリストと名乗る資本権力集団です。国家ではなくファミリーです。

グローバリストが250年間の悪知恵で築いた傲慢で不条理な格差社会が続くのか、それともナショナリストがグローバリストを退治して、今よりましな社会へ変化するのかはさて置いて、社会がどうであれ、自由で楽しい人生を送るにはどうすればいいのか?

長明さんや荘子さんと語り合えば、その知恵が湧いてくるのではないでしょうか。まだ一度も方丈記を読んだことがないという方は、この機会に動画をご覧ください。あなたも長明さんとお友達になるかもしれません。(笑)

シャボン朗読横丁さんの動画を貼らせていただきました。

エムケイコンサルティング 良仁