見出し画像

【コンサル物語】コンサルティングの歴史を紐解く視点

コンサルティング会社や業界の歴史・成り立ちを追って行きたいと思いますが、グローバルで見たときに現在どういう会社が売上ランキング上位にいるのかご存じでしょうか?少し調べましたのでその結果をご紹介したいと思います。(少し調べ始めたところこれが非常に難しいと分かり後悔しましたが、何とか形になりました)

経営やIT分野でコンサルティングサービスを専門にしている純粋なコンサルティング会社は数字が拾いやすいのでしょうが、大手会計事務所のように一つの会社の中で会計、税務、コンサルティングといった事業を展開していてコンサルティング分野の明確な線引きが難しい会社(しかも規模が馬鹿でかいので無視できない)もあるので、あくまで参考値として見ていただければと思います。

まずこちらは会社全体でのランキング(2019年頃)です。1位のDeloitte(デロイト)や3位のPWCは会計事務所ですので主に監査・税務・コンサルティングが混在した売上です。コンサル売上の規模感としてはざっくり三分の一ぐらいで見てもいいと思います。それでも上位であることは変わりないですが・・

※https://www.rocketblocks.me/blog/top-consulting-firms.php を参考に作成


 次にこちらは企業全体の売上ではなく実際のコンサルティング事業売上(2022年)をサイト独自に測定した意欲的なものです。作成者のコメントにもありましたが100%の精度では不可能である点はご了承ください。

※Top 50 Consulting Firms By Revenue In 2022 を参考に作成


コンサル売上ランキングをまとめたサイトは他にもありますが、だいたいの傾向は同じだと思いますので上記2サイトから作成した内容をご紹介しました。(他に特徴的なランキングに気づいたら適宜修正するようにします)

このランキングを見ているとお気づきかもしれませんが、現在Big4と呼ばれている大手会計事務所(Deloitte・PWC・EY・KPMG)、または歴史的にBig4のコンサルティング部門から派生しBig4を源流にもつ会社がコンサルティング売上の上位で存在感を示しているのが分かります。ちなみに太字の会社がBig4もしくは源流がBig4となる会社です。コンサルティング会社を評価する基準は色々あると思いますが、売上規模では会計事務所のコンサルティング部門が圧倒的に強く、その存在を無視することはできないことが分かります。

歴史を遡り過去のランキングを追ってみると、1960年版のランキングが参考になりますのでご紹介したいと思います。アメリカのコンサルティングが19世紀末頃から始まっていると考えるのであれば、1960年という年代は歴史的にみてちょうど現在との中間地点にあたります。会計事務所と主要コンサルティング会社の売上です。

Big8会計事務所(1960年当時)のランキング
※会計事務所(監査+税務+コンサル)での売上順

この時代の会計事務所のコンサルティング売上だけを集計するのは難しく、会計事務所全体での売上ランキングとなりますが最もコンサルティングに力を入れていたアーサー・アンダーセンはこの時期、売上の10%〜20%をコンサル部門が上げていたと言われています。上の数字で言うと、4000万ドルの10〜20%ですので推定400万ドル〜800万ドルというところでしょうか。また、プライス・ウォーターハウスの場合は当時の売上の5%程度がコンサルティング売上だったと言われておりこちらは推定170万ドル~180万ドルとなります。

一方で1960年の主要なコンサルティングファームの売上は次の通りです。

会計事務所のコンサルティング部門とコンサルティングファームの売上を比較するとアーサー・アンダーセンの推定売上400〜800万ドルはコンサルティング業界全体でもトップ3に食い込む勢いがありました。

以上ご紹介した通りですが、現在と過去のランキングを見ると、コンサルティング業界における会計事務所の存在感の大きさを改めて認識できます。これはコンサルティングの歴史を紐解くうえで面白いテーマの一つになり得ます。そのため本稿コンサル物語は、アメリカでのBig4会計事務所におけるコンサルティングの成立ちと発展の歴史をメインテーマにして、コンサルティング全体の成立ちや歴史の概観を考えていくものにしたいと思っています。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?