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2021年 ベストアルバム(新譜)

2021年の好きなアルバム:新譜編。

(好きなEPと、よく聴いた旧譜も投稿予定)




30位 Michael Seyer 『A Good Fool』

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Mac DeMarcoと何が違うの?と聞かれれば答えに窮するのだけれど、Frank Ocean以降のモダンR&Bを前提としたうえで、カリフォルニアの陽光が少しだけ降りかかっている、その屈託/屈折の無さと言えるかもしれない。つまり自信を感じる。




29位 Japanese Breakfast 『Jubilee』

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理想のインディポップ。「How’s it feel to be at the center of magic to linger in tones and words ?」といきなり一曲目で聴き手に問い掛ける時点で、彼女が本作にかなりの自信を持っていることがよく分かる。




28位 Sam Gendel & Sam Wilkes 『Music For Saxfone and Bass Guitar More Songs』

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この人は大量に音源を出しているからたまについていけなくなることもあるけど、本作はSam Wilkesのバランス能力のおかげか、割と彼の魅力を理解しやすいアルバムになっていると思う。とは言え、レビューにも書いたけど、このコンビ+盟友Daniel Agedで一発完璧な名盤を作ってほしい。こんなもんじゃ済まないはず。




27位 Mild High Club 『Going Going Gone』

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2010年代から続くチルアウトインディポップの大物。本作ではシティポップの雰囲気を取り入れ、若干鼻につくのがクセになる最高級のインディポップを展開している。こうでなくっちゃ。




26位 Alfa Mist 『Bring Back』

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やや実験的でラフになった印象。特にJamie Leemingのギターがメロウでかっこいいが、中盤のシティジャズ路線が彼にしてはやや想定の範囲内というか、これまでと変わらないように感じてしまった。それもこれも全ては完璧すぎる前作のせい。




25位 Pino Palladino And Blake Mills 『Notes With Attachments』

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音の鳴り方、録り方の新しさを感じる作品。変な精神性や主張を超えて、音の面白さとアンサンブルの楽しさを追求する。これぞジャズの醍醐味だと思う。




24位 Mansur Brown 『Heiwa』

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サイファイスペースサイケともいうべき独特の雰囲気を持つ作品。日常の中でこのアルバムにフィットする場面を探すのが大変だった。遂に見つけた場面は、明日も仕事なのになぜか眠れない午前1時、イヤホンで聴きながらベランダから夜景を眺めている時。恐ろしくハマる。




23位 Nicholas Krgovich 『This Spring: Songs by Veda Hille』

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Veda Hilleという人の曲のカバー集。彼女のことを知らなくても全然問題なく聴ける。音の質感はThe Blue Nileや中期Talk Talkに近いが、夜!というイメージの彼らとは違ってもう少し軽妙でフレンドリーなタッチがあり、そよ風の吹くリビングで朝からサラッと流したい。とにかく聴いていて心地良い。




22位 Men I Trust 『Untourable Album』

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究極のドリームポップ。サイケデリックで霧がかった雰囲気が前面に。不穏なのか安穏なのか、判別しづらい感情の隙間、そこにいること自体を楽しむ。




21位 Sam Gendel 『Inga 2016』

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日本限定でCDリリースされた企画盤。当時所属していたINGAの音源を中心に、2016年のSam Gendelを感じることができる。この当時の彼はサックスに飽きていたらしくギターが主になっているが、飄々かつ悠然としたあの雰囲気は既に構築されている。本当に好き。




20位 Nick Hakim & Roy Nathanson 『Small Things』

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サイケデリックだがどこか抜けの良いジャズ。ムーディ。ムーディなサックスを軸に、ムーディな歌とコーラスとシンセがぬわりと包む。良い意味での雰囲気系。Shabaka方面の暑いUKジャズとは真逆。ムーディ。




19位 Parquet Courts 『Sympathy For Life』

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雑然としたごった煮感がクセになってくる。バンコクの蒸し暑い路地に屯する怪しいファラン。ハシシを回し飲みしてそう。目眩がしてくる。




18位 FKJ 『Just Piano』

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セラピーピアノ。ただのマンションなのに積水ハウスの巨宅に住んでいるような気分になる。窓からのそよ風、カーテンの揺れ、バンコクのビル群を眺めながら聴く午後、至上の幸福と安穏に包まれる。




17位 Iceage 『Seek Shelter』

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レビューでは9/10点で最高傑作だと書いたけど、火照りすぎていた。今聴き直すと、評価が難しい。Shawn Everett特有のHi-Fiドンシャリミックスが今ひとつ合っていないと感じるのが原因かもしれない。もっとロウなミックスで聴きたかった。でもオーラが半端じゃない。曲の出来も良い。




16位 Damon Albarn 『The Nearer The Fountain, More Pure The Stream Flows』

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この人の曲なら無条件に美しいと感じる自分にとっては、本作もまた最高の出来。透き通るような音から滲み出る彼独特の渋美しいメロディに惚れる。彼のメロディはこういう作品でこそ光るような気がする。




15位 No Rome 『It's All Smiles』

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たった27分の間によくぞこれだけシネマティックでムーディでキャッチーで野心的なアルバムを作り上げたなと惚れ惚れする。もっと進化すると思う。




14位 Far Caspian 『Ways To Get Out』

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弱々しく、誰よりも強いインディギターロック。やっぱりこういう「孤独」が根底にあるポップミュージックが好きだ。そしてそれを表すのに、ギターという楽器はやっぱり効果的だ。ギターは叩きつけて壊すものではなく、孤独の友達だと思うから。




13位 Steven Wilson 『The Future Bites』

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シンセポップ、アートロック方面でも彼のポップセンスと世界観は健在であることを示した。1〜3のスタートのゾクゾクする感覚は何度聴いても鮮烈だし、アルバム通しての崇高で儚い雰囲気は名盤特有の独特の魅力がある。




12位 The War On Drugs 『I Don't Live Here Anymore』

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最も洗練された最新系のオヤジロック。と言えば語弊があるように聞こえるかもしれないが、実際に歌詞が悩めるオヤジ。音は洗練の極み。ギターも達人の域に入っている。




11位 Daniel Aged 『You Are Protected By Silent Love』

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安心して聴けるアンビエント。爽やかで淡く切なくリゾーティな雰囲気。スティールギターが悠久のランドスケープへ連れて行ってくれる。自信を持って言える。これは名盤。




10位 Wolf Alice 『Blue Weekend』

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めちゃくちゃ本格派バンドになったと思う。ブリティッシュフォークとシンセポップとEDMを混ぜてそのどれでもない場所に着地させるバンドなんて他にいない。その度胸と自信が凄い。一切言い訳しない。今年イチの本気。




9位 Still Woozy 『If This Isn't Nice, I Don't Know What Is』

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全曲がクライマックス。次から次へと一番良い曲が出てくる。本当に良い曲しかない。これがサウスロンドンならサックスやクラブ調のリズムなんかも入ってきて大人なムードになるんだろうけど、LAの彼は純粋にワクワクするインディポップを突き詰めていて好き。Glass Animalsの良かった頃を思い出す。感動的な出来。アルバムタイトルは本当にその通り。凄い。




8位 James Blake 『Friends That Break Your Heart』

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今年一番ボーカルメロディが美しいアルバム。温かみのある彼のメロディに包まれ、全てが報われた感覚、全てが収まるところに収まった感覚になる。起承転結の結に当たる。今後の彼の音が楽しみ。




7位 Easy Life 『Life's A Beach」

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優れたアイデアがあって、それを100%形にする実力があって、詩的センスがあって、何より楽しそうで、、、、これ以上何を望むか。Kasabianとかみたいにラッディズムを強める方向だけにはいかないでほしい。ラッドに媚び始め先鋭性を失うのがUKロックの悪しき伝統なので。




6位 Ulver 『Hexahedron - Live At Henie Onstad Kunstsenter』

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最新作『Flower Of Evil』の原型となったアンビエントインストライブ盤。このアメーバのような強烈なインストからどうやってあのシンセポップを生み出したのだろう。魅了されてしまう。現代最高のロックバンドによる、明らかな格の違いを見せつける横綱相撲作。




5位 Deafheaven 『Infinite Granite』

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ダークブルーの透明感に、ディレイと激情が溶け込んでいく。オルタナティブロックに引導を渡す危険な名作。本当に究極の完成度。人じゃない。




4位 Turnstile 『Glow On』

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爆発的なエネルギーと儚い揺らぎを併せ持つ。ロックの一つの究極の理想像に辿り着いてしまっている。今後どうするんだろう。




3位 John Mayer 『Sob Rock』

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今年一番聴いたアルバム。単なる音楽を超え、生活の一部であり、心を平静に保ってくれる精神安定剤のような存在。彼のアルバムはだいたいリアルタイムで聴いてきたけど、これが一番好き。「嫌い」って言う人がいたらムキになって反論したくなるほど好き。




2位 Floating Points, Pharoah Sanders & The London Symphony Orchestra 『Promise』

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心が震え、言葉にならない感情が昂ってくるような体験を与えてくれる音楽。滅多に出会えるものではない。ここまで静寂に意味と効果を持たせているアルバムは、それこそ『Spirit Of Eden』以来かもしれない。




1位 Puma Blue 『In Praise Of Shadows』

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これ以外にありえない。1月に本作がリリースされてから12月までに数々の名作がリリースされてきたが、このアルバムがダントツ全勝だった。胸を打つ。泣けてくる。間違いなく今一番好きなアーティスト。ここ3年でもベストかもしれない。



◾️所感

今年は地味だけど私の好みに合うアルバムがたくさんリリースされた良い一年だった。サブスク時代だと「聴いた」「聴いてない」の境目が非常に曖昧だけど、自分は「曲名を見れば頭の中で完全再生できるほど自分の中に落とし込めたかどうか」を「聴いた」の基準にしている。

来年は、まずTears For Fearsの新作が楽しみ。Tom Misch, Kamaal Williams, Yussef Dayes, Yellow Days, Cosmo Pykeといったところや、The 1975の新作が出るのかも気になるところ。Ulver, Deafheaven, Deftones, Steven Wilsonらのような、オルタナティブロックを硬派に更新していく人達の作品にも出会いたいところ。

あまり矢鱈とたくさんの新譜に手を出さず、一枚一枚をちゃんと大切に聴きたいと思う。(1年に500枚とか聴いてる人は、逆に何も聴いてないのと同じだと思う)


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