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参加したワーケーション・プログラムをふり返る-2〜無償モニター

2回ほど無料モニターとしても参加した。いうまでもなく、無料なのは当然誰かが何かの見返りを求めて参加者の代わりにお金を出しているからであり、その目的に応じたお金以外の「対価」を支払う必要がある。また、それぞれ目的によりその内容やツアーの特徴も異なる。

伊東ワーケーション

仕事で行った大分に続いて2つ目のワーケーション。知り合いがSNSでシェアしていて知り、申し込んだ。

募集期間がかなり短いことに加え、ワーケーション内で実施される平日日中の講座への参加が必須という条件のためか、普通に空きがあった。自治体予算を3末までに執行しなければならない大人の事情もあったと思料する。

概要

伊豆高原までの往復交通費は自己負担だが、宿は無料、交通はMaaSでタクシーが使い放題、出前館のデリバリーも何千円分かクーポンがもらえた。アクティビティは、ビジネス系の講座に1つ出ることくらい。文字通りワーケーションとして、リゾート地で仕事をするのみ。アンケートは事後にあったと思う。

宿と仕事環境

泊まるところはいくつかの候補から選べ、私はこじんまりとしたペンションにした。今やこういうところでも無料の無線Wi-Fiがあり、もはや宿の必須の設備なのだろう。仕事をするのは部屋や食堂の椅子と机である。

移動はMaaS(タクシー乗り放題)

伊豆高原は別荘地のためか、それ以降に行った他の地域と異なり、お店が特定エリアにまとまっておらず、宿からはコンビニすら徒歩10分以上かかる。その問題をちゃんと把握していたのだろう、MaaSでタクシーが乗り放題だった。

乗る側は、専用アプリで、登録された場所から出発地と目的地を選ぶ。限られたエリアだから、選択肢は限られ、必要なところは網羅されている。時間指定は30分後からだったと思うが、参加者が多いわけではないから、10分ちょっともすれば着いたとの通知がくる。これで温泉や美術館など色々回れた。全18回のワーケーションの中で、これが最も使いやすい移動の仕組みではあった。

システム提供は、大手の通信会社と自動車会社の合弁の会社で、MaaSの実証実験の目的もあったようだ。すでに都心でサービス提供しているアプリに、伊豆高原エリアを加えて使えるようにしていた。現地のタクシーを何代か貸し切り、タブレットの配車システムで車を呼び出す仕組みのようだ。

ただ、限られた期間、エリア、人数だから成り立った側面もあり、実際にいろいろな場所でバラバラの時期にさまざまなニーズで人が来たらそう簡単にもいかないだろうし、タクシー会社も事業者も収益を上げられる値付けが、利用者に受け入れられるか、また難しい問題だろう、と余計な心配もした。

食事はデリバリー

朝食は宿で出されるものの、昼も夜も自分で何とかするしかない。飲食店はおろかコンビニすら徒歩圏にない。そんな問題を解決するために、出前館のアプリでデリバリーを頼めるのだが、指定のお店で使えるクーポンも提供されていた。デリバリーにすると大したものでなくても1,000円以上かかってしまうが、たしか1食1,000円以上の補助があり、自己負担は数百円で済んだと思う。泊まっていたペンションの玄関で受け取り、食堂や部屋で食べることができる。

なお、クーポンは実店舗でも使え、ランチはお店で食べることもあった。

アクティビティは講座のみ

参加するには、どういうわけか、プログラム内で提供される英語とかキャリアプランといた講座への参加が必須であった。そもそも講座を選ぶことでモニターに申し込む。講座ごとに定員があるので、空いているものを選ぶしかない。2日のものもあったが、さすがにそんなに時間もないので、午前の2時間で終わるものにした。

偶然にも知り合いが別日程で講師をしていたが、別の先用で行けない日だったので選べなかったものの、ちょうど私が帰る日と彼が来る日が重なっていたので、駅で一緒にランチをした。

交流はほとんどなし

宿は分散していて、私が泊まったのは数部屋しかない夫婦経営のペンションであった。同じプログラムの参加者と思しき人はいたが、講座が一緒なわけでもないので、特に話すこともなかった。ペンションのオーナー夫妻は私と出身地が私と近く、地元ネタで盛り上がったが。

講座で参加者の自己紹介を聞いていると、講師の知り合いで、頼まれて来ましたという、単なる暇な人が少なからずいた。それだけ急に人を集めたのだろう。

ワーケーションの企画・運営は、現地に移住、起業した人の会社が受託していた。講座の時に、その人や、MaaSの運営会社(大手通信と自動車の合弁)の人と話したくらいで、あとは淡々と仕事をしていた。

ワーケーションのあるべき姿の一つとも言える。帰りはついでに現地の旅館でもう1泊した。東京に帰る日に、熱海に移住した友人と飲む約束をしていたが、彼の急な仕事でキャンセルになり、それを近々仕切り直そうという話が、次の小田原・熱海でのワーケーションにつながった。巡り合わせとは不思議なものだ。

https://ito-workation.jp/news/workation_monitor_tour2022/

ちばワーケーション(南房総)

こちらは千葉県の事業で、旅行会社が企画・運営していた。私が入居するコワーキングのオーナーが、入居者のFacebookグループにシェアしているのを見て、スケジュールに問題がなかったので申し込んだ。その直後、上記伊東のモニターをシェアしていたワーケーションの関係者もシェアしていた。前の週には北房総のツアーもあり、応募の記載内容に基づき選考とのことだったので、どちらでもいいし、どちらも都合つけられたので両方申し込んだところ、南房総の方に割り当てられた。

概要

2泊3日のツアーで、東京駅集合・解散、全行程貸切バスで移動、宿も食事もアクティビティも、全てガチガチに組まれており、自由度はない。事前の説明会の参加(オンライン可)と、事後のアンケート回答、写真UPなどが必須である。まあ、予算補助によりタダで行くのだから当然だろう。

伊東の方が、ワーケーションそのものや、MaaSなどの各種実証実験を体験し、意見をもらう場であったのに対し、こちらは企業のワーケーション担当者に、現地での様々な施設や取組みを紹介する、マッチング目的のショーケース的な印象。

皆が同じことをするので、ある意味問題が発生しない

そんなわけで、移動、宿、食事については特に問題もなく、仕事はそもそもほとんどさせてもらえなかったので(それでも何個か打ち合わせや登壇はしたけれど)、良いかどうかは別として、ある意味問題にならなかった。

提供側が「ワーケーション」の内容や価値を絞れていないことによる雑多さ

朝から夜の結構な時間まで用が詰まっている上、数が多く一つ一つの時間が短く、常に押せ押せで相当慌しい。スケジュールが詰め込まれていて、仕事をする時間が限られていた。その割に、団扇づくりや棚田のライトアップ見学のような、学校の遠足的アクティビティもあり、ツッコミどころも満載。誰がこうしたかはしらないが、旅行会社などアテンドの人々はそれを自覚し恐縮していた。

自治体も旅行会社も、ワーケーションとはどんなものか、誰がどんな価値価値が何か、といったことに確固たるイメージを持っていない感じで、加えて、恐らく様々なオトナの事情もあり、ごった煮の詰め込みになったと勝手に推測している。

こう書くとあまり良くないようにも聞こえるが、個人的には、色々な気づきやご縁もあり、これはこれでまた楽しくもあった。

ショーケース的なモニターツアーもあり得る

色々なものを見られてよかったのは、現地での研修で使えそうな施設やプログラムを短時間で見繕えることだ。これは、大したツテもなく行くだけの自主ワーケーションとは別の価値だと言える。

地域側にいる人の分類は別の稿で書こうと思うが、大企業のことも理解してコラボできそうな人も何人かいて、これも、こういう機会でないとまとめて会えなかった気がする。

密な同じ時間を長く共にする「同じ釜のメシ」効果

意外だったのが、案外他の参加者と仲良くなったことである。一日中色々なアクティビティに連れ回されている内に自然に話すし、場所が変わる度に自然とシャッフルされるからだ。夜は軽い飲み会もあるし、泊まりなので朝も一緒だ。心のガードが下がって、自然と色々な話をする。

来ている人も、企業の意思決定者を選んでおり、大手企業の部課長クラスも何人かいて、交流を目的としたウェーイというノリとは違うし、何よりその後のコラボにつながりそうであった。


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