見出し画像

便座の温かみに母を想ふ



これはある種の物語です。



引越しの準備をしていて、
ふと便座につまみがあることに気がついた。


「切」になっている。


低から高まであるつまみを回してみた。

まさか。。



枯渇した大地に水が流れ新緑が芽生えるように。


便座に生が宿った。



あたたかい。。



頬を当ててみる。



そこから感じる体温は母親を想わせる。


今までは、便座が冷たくて

朝座ると25歳にもなって

JKさながらの「キャッ//」という

悲鳴をあげなければならなかった。

それが嫌で半年前にカバーを買ったのだった。



あと1週間でこの家を去るというのに。

何故気付かなかったんだ。


1時間途方に暮れた。


僕が喫煙者だったならタバコを7本は吸っただろう。




過ぎた時間を後悔するより
残された時間でどれだけおしりに
幸せを感じれるかを想おう。
土に根を下ろし風と共に生きよう。
種と共に冬を越え鳥と共に春を歌おう。

どんなに恐ろしい武器を持っても
たくさんのかわいそうなロボットを操っても
温かい便座から離れては生きられないのよ。

バキュン。

(引用:天空の城ラピュタ)



便座カバーを外し
おそるおそるおしりをつけてみる。

「く、くぅあああぁ」

おしりに電撃が走った。

いや、走ったのは愛だ。

おしりを通して愛が僕の身体を駆け巡った。



脳裏に走馬灯が走った。

胎内にいた時の記憶か。。




ああ。あたたかい。。





「すみません。よく聞き取れませんでした。」

僕のおしりとsiriが共鳴した。




8時間はたっただろうか。

僕は気絶していた。

お腹に違和感が走る。

便意だ。


便秘に悩まされていた僕に
彼女(便座)は言った。

「あなたは死なないわ、私が守るもの。」



出た。




出たというより産まれたという表現が
正しいかもしれない。



僕は生まれて初めて便を産みました。





ハッピーバースデイ。





こんにちは母乳を飲むかい?




すきぴ。



お食事中の方
大変申し訳ございませんでした。

ケータ




記事を読んで「しょーがねーなー。ケータにプリン奢ってやっか!」と思った方はサポート頂けると嬉しいです ٩( ᐛ )و 笑