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【イケてる企業のC.I.(コーポレートアイデンティティ)を切る!】◆第7回:株式会社 ひよ子

第7回は、創業120年菓子舗吉野堂こと、福岡を代表する老舗菓子メーカーで「九州生まれの東京土産ブランド」としても知られている「株式会社 ひよ子」です。

*全国的には、東京土産と思っている人の方が多いと思います。(一体どっちの土産なのという論争も起こっています)

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創業は、明治30年、初代 石坂直吉が福岡県飯塚市に菓子舗「吉野堂」を開設し、その後 昭和34年(1959年)に会社を設立しています。発祥の地 「筑豊飯塚」は、私の出身地で、菓子工場は 今も飯塚市楽市に在ります。現在 本社は、福岡市南区向町にあり、売上高はグループ全体で、約80億円(未公開)です。
*主な商品:名菓ひよ子、博多ひよ子サブレー、苺ひよ子、桜ひよ子、茶ひよ子など。
では、「ひよこ」の「イケてるC.I.」の一部を紹介します。

【ひよ子 企業理念】

◆1.『味は無限』
「お菓子は生きものであり、味は無限である。」
既成概念にとらわれない独創性と新しいものへの挑戦、そして美しいものにこだわり続けるお菓子づくりの精神が脈々と受け継がれています。

◆2.『商品は生命・真心』
「商品は私たちの生命であり、真心である。」
お客様のお手元に届くまで、変わらない美味しさと安心できる品質を。オートメーション化された今でも手づくりのひよ子に込めた想いを大切にしています。

◆3.『おつきあいのひろがり』
「私たちの願いは、ひよこのお菓子を通じて、おつきあいの輪を拡げ、明るい社会をつくることである。」
一つのお菓子をきっかけに人の和が生まれる。
ひよ子のお菓子が幸せなひとときをもたらし、おつきあいの輪が拡がることが何よりの願いであり喜びです。

【存続&成長の理由分析】

まず、C.I.が本当に素晴らしいです。他の福岡の菓子メーカーと比べても、ここまで整理された「理念」と「施策」が"言葉"に落ちている会社はありませまん。
女性社長ならではの繊細さを感じました。

では 「ひよ子」が存続し、成長している理由を仮説ですが3つ上げてみます。

●1つ目は…
「ひよ子」開発者の想いと、発祥地の土地柄。
*2代目の石坂茂社長が、万人に愛される新しい菓子を作ろうと考えていた時に、夢に「ひよこ」が現れ、当時立体的な形の菓子は、丸が四角しかなかった為「ひよこ」を型どった焼き菓子を試行錯誤して作り上げた点です。
また飯塚は、日本有数の炭坑地として知られた「筑豊炭田」で、長崎から続く長崎街道「シュガーロード」の中継地でもありました。そこでこの地には、有名な菓子メーカーが沢山ある事も知られています。
当時の筑豊では、"命"を賭けた重労働で疲労した炭鉱労働者からは「酒」か「甘い菓子」が大変好まれ、需要がかなりあったという点です。
*主な菓子メーカー:千鳥屋、ひよ子(吉野堂)、さかえ屋、亀屋延永、大石本家(成金饅頭)など。

●2つ目は…
創業家に受け継がれてきた「進取」の精神。
*「ひよ子」の売り上げは、平成5年をピークに下がりはじめ、平成21年には、4代目 石坂博史社長(現会長)の英断(進取)で、妻の淳子さんに、「女性の視点で会社を見直すことが必要だ」と会社のかじ取りを任せました。
「石坂淳子さん」は、創業家の嫁から新社長に就任し、経営責任者として母親の感性を生かした季(とき)ひよ子シリーズをはじめとしたヒット商品を出して売上を回復させた点です。

●3つ目は…
東京進出と、「ひよ子」ダブルブランド戦略。
*九州生まれの東京土産ブランド「ひよこ」誕生!(進取の産物、これは予想外の結果だった)
*そもそも「ひよ子」は、昭和39年(1964年)当時 福岡で人気のお菓子でしたが、東京オリンピック開催を期に、東京進出しました。
出店先は、東京駅や羽田空港などで販売した所、予想以上の反響で火が付きました。
東京進出は、商品を福岡から輸送した訳ではなく、東京に「東京ひよこ」を設立し、さらに東京近郊の埼玉に工場を設立し、十分な商品供給ができるだけの環境を作り上げた点です。
その結果、福岡を訪れる観光客より、東京を訪れる観光客は圧倒的に多く、「ひよこ」は東京から一気に東京土産として全国に広がって行きました。
今でこそ、東京土産の定番は「東京ばなな」ですが、少し前までは「ひよこ」でした。
しかし、この「ひよこ」は、飯塚生まれなのですが…

◎と言うことで…
「ひよ子」の成長は、創業家の石坂一族に、脈々と伝わる「進取」の精神が生み出した結果なのだと思います。

最後に、C.I.について一言いわせて頂くとしたら、現在のC.I.はかなりの完成度だと思いますが、「企業理念」「ブランドエッセンス」に紐付いた「WEBサイト」に記載がない社員さんの「とるべき行動」が示された「行動規範」や「評価制度」が気になる所です。機会があれば、見せて頂きたいと思います。
*また 今後起こる人口減少による需要や市場の縮小は、対策施策によっては「C.I.」の検討も考える必要があるかも知れません。

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