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【イケてる企業のC.I.(コーポレートアイデンティティ)を切る!】◆第20回:株式会社 西部技研

福岡に、世界の"空気"を自在にコントロールできる「大学発ベンチャー」の先駆け企業があります。

第20回は、創業1962年(設立1965年)・福岡県 古賀市に本社を置く、「省エネ・環境関連機器」の製造・販売をおこなっている「株式会社 西部技研(セイブギケン)」です。

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B to B事業なので、あまり知られていませんが、「凄い技術」を持った世界を舞台に活動しているグローバル企業(海外売上70%)です。
従業員数300名 売上高は、グループ全体で、約150億円を上げ、主な商品に「ハニカム積層体」というコア技術を核とした「全熱交換器」という聞き慣れない機械があります。
これは、病院や、商業施設 食品工場・薬品工場・リチュウム電池工場など、様々な建築物のエアコンの汚れた空気をキレイにして「ー90℃のドライルーム」などを実現させ、熱を保ちながら、外気と入れ替え、余った熱を他の用途に再利用する「省エネ・環境」に優しい 今後 益々 需要が見込める商品です。
国内シェアは、No.1で なんと7割もあります。

*「ハニカム積層体」とは、ダンボールの板紙のようなものを何層にも重ねて作る構造体で、断面が「蜂の巣」に似ていることから、一般的に「ハニカム」と呼ばれている。
このハニカム積層体は、「空気抵抗が低く」「強度に優れ」「表面積が広い」という3つの特長を有している。
*「西部技研」は、あらゆる素材をこのハニカム状に加工でき、そのハニカムに、様々な機能剤を添着し、特別な機能を持たせることできる。
では、「西部技研」の「イケてるC.I.」の一部を紹介します。

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【経営理念】
「独創と融合」
個々の独自性と創造性を尊重し、それらをあらゆる次元で発展的に融合させる事により、新しい価値を継続的に生み出していく。

【経営目的】
我社は創意工夫をもって空気と水を科学し、アメニティー空間を創造する。
【一般事業主行動計画】
次の世代をになう子供たちが健やかに生まれ育つ環境を作るために、国、地方自治体、企業、国民が一体となって対策を進めていくことを目的とした「次世代育成支援対策法」が平成15年に制定されました。その法律に基づき、従業員101人以上の企業には、仕事と子育ての両立を図るための「一般事業主行動計画」の策定・公表が義務付けられましたので、当社の一般事業主行動計画公表いたします。
今後は女性のみならず従業員全員が仕事と子育ての両立ができるように支援して行きたいと思います。

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【成長の理由分析】

「西部技研さん」が、成長している理由は、なんと言っても、他社のマネではない"独自"の「技術力」と、それを支える「エンジニア集団」(理系集団)であることだと思います。
なんか、カッコイい企業だと思いますし、社員の方々は"誇り"を持って働かれているだろうなと想像しました。

また C.I.について、WEBサイトや関連記事を拝見して、言葉の整理余地はありますが、海外展開がメインの企業らしく「外国人社員」の方々を含めた社内の意識統一を図る為の「ダイバーシティ経営」を取り入れられいるC.I.(行動指針)の整備が、凄いと感じました。中小企業で、ここまでグローバルなC.I.をお持ちの企業は、中々 特に九州ではないと思います。
では、もう少し成長の理由を仮説ですが、分析してみます。大きく4つあります。

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■1.「カリスマ創業者のベンチャースピリッツと、そのDNA!」(コアテクノロジー)
*創業者の「故 隈 利實氏(現社長の父)」は、昭和30年代後半 「九州大学工学部」の教員をしながら、「独自の発想と技術で、真似でない製品を生み出し、社会に貢献したい」という思いを実現する為に、企業からの委託研究をする「私設研究所」を九大箱崎キャンパスの前の小さなな倉庫に立ち上げました。
その後 1965年に西部技研の前身となる「株式会社 西部技術研究所」を設立します。
1970年代に「ハニカム」の製造技術を確立させた後、省エネに対する社会機運を受けて、80年代に入ると吸湿性を持たせた「全熱交換器」「ハニカム吸着式除湿ローター」を次々と発表します。
その確かな品質と高い性能、環境保全への姿勢が、海外から認められ、高い評価を受けました。

今では、海外に…
〇1.スウェーデン→「セイブギケンDST社」
〇2.アメリカ→「SGアメリカ社」
〇3.中国→「SGチャイナ社」
に子会社を持ち、世界4極体制を確立しています。
各子会社との緊密な連携で、世界 約50ヶ国にその販売網を広げています。
また 「西部技研」が、特許を保有 又は 申請中のものを合わせると、約250件にも及びます。まさに日本の「モノづくり」の精神だと思います。


■2.「3代目 隅社長の経営方針を決めた米国出向!」(米国ニチメン担当との出会い)
*隅社長は、福岡大学を卒業後(私も同じ頃に福大を卒業しました)、1987年に新入社員として「西部技研」に入社し、工場勤務や営業勤務を経て、1990年に米国ニチメン社に業務研修の為に出向します。
これは、商社である「ニチメン」と共に、西部技研の商品を売る為の研修です。
良い経験ですね、羨ましい限りです。
隅社長は、アメリカ ニューヨークに拠点を置き、26歳からの2年半をアメリカで過ごしています。

この時の「ニチメン担当者」との出会いが、その後の人生に大きく影響しています。
その担当者のスケール感、モノの考え方なと、所謂「メンター」だったと思います。
このアメリカ生活の中で、「自分の会社での立場、立ち振る舞い」、「将来の話」「経営者目線」「企業のあるべき姿(C.I.)など、様々な教えを受けて自分なりの「経営の方向性」を掴まれたと思います。

帰国後、カリスマ創業者(父)が、1997年に癌で亡くなられ、会社の存続が危うくなった時に、創業者と二人三脚で歩まれて来た お母さまが2代目 社長として会社をまとめていかれました。

現社長は、3代目として 2002年に社長に就任し、父の死後、創業メンバーとの関係を会長(母)のサポートを受けながら、父の経営スタイル「ワンマン経営」から、自分が思う「チームワーク経営」へと、方向転換されています。
それが今の経営理念である「独創と融合」になったと思います。


■3.「独自技術を活かした海外展開と、業態変更!」(B to C事業へのシフトチェンジ)
*福岡県は2017年に、西部技研を「グリーンアジア国際戦略特区の指定法人」に指定しました。特区を活用して設備投資を実施する企業としては、60社目で 同特区による設備投資累計額は、1.720億円となっいます。
「西部技研」は、環境貢献性の高い空調機器製造を手掛け、欧米や中国などへ 販売網を広げるグローバルな地場老舗メーカーに成長しました。

また、本社隣地に取得していた約5.000㎡の敷地に、約7億円を投じて研究開発の新拠点「西部技研イノベーションセンター」を開設しています。この施設は「研究・開発機能」を集約し、様々な製品のシミュレーションが行える空間や、試験設備を備えています。そして、外部向けに「省エネドライルーム」をはじめとする技術を紹介、発信する拠点としても活用しています。
この拠点を通じ、さらなるCO2削減や、省エネ性能の高い空調機器の製造を目指しています。

また、海外の拠点をスウェーデン、アメリカ、中国に置き、中国には、50年の借地権を持った「巨大工場」も運用しています。

今後の事業展開としては…
創業者が、研究者で有ったことから「B to B事業」のメーカーが顧客でしたが、今後はエンドユーザーを見据えた「B to C 事業」へとシフトチェンジしょうとしています。


■4.「海外展開を見据えた外国人社員の働き方改革!」(ダイバーシティ経営)
*海外市場展開で売上の大幅拡大を図る為に「外国人社員の技術・スキル」を活かす組織風土への変換が急務となり、これに取り組まれます。
事業拡大に伴い本社にも、外国人社員が必要となり中国人、韓国人を中心に採用活動をスタートしましたが、新卒の外国人社員が定着し難い企業風土であったことで反省が生まれます。
そこで、ダイバーシティ経営を取り入れ、外国人社員も定着し、それぞれが、同じ方向性に沿って互いに貢献し協力し合う風土へ変容しています。考え方や文化が違う「外国人社員」と協力しながら、多様性や価値観の違いを受け入れチームとして力を発揮する社風が生まれました。

また、新卒で入社した「外国人社員」に戦力として育って貰う為には、「研修制度」や「適切な評価システム」、「働き易い職場環境」の整備が不可欠となり、全社的な改革に取り組みまれました。
経営計画の策定に並行して「ワークスタイル」の改革も推進しています。
「企業理念」と「経営の方向性」を明示化することから始め、創立50周年時には、10年後のビジョンを具体化した「新経営5ヶ年計画」を策定。その中で「100年企業」を目指すことを目標にされました。
以前より、「企業理念」に基づいた「行動規範」は設定されていましたが、難しい言葉が並んでいた為、社員から「分かり難い」との声が上がり、この経営計画の策定に合わせ、社員が理解し易い具体的な行動指針となる「新ワークスタイル八か条」が制定されました。

【新ワークスタイル八か条】
◆1.「自身が担当している仕事の客観的価値を知る。」
◆2.「時として残業もするが、まずは定時内の仕事の密度を上げる事に全力を尽くす。」
◆3.「自分だけでなく、周囲も定時で帰れるよう気を配る。」
◆4.「仕事のアウトプット(成果)の量と質を向上させる。」
◆5.「常に時間(スケジュール、期限、納期)を意識する。」
◆6.「自身の成果を上司や周囲にアピールする。」
◆7.「仕事とプライベートがリンクする部分を意識的に作る。」
◆8.「増えた余暇時間で自己啓発の為の勉強をする。」

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◎と言うことで…
「西部技研さん」が成長し続けている理由は、先にも述べましたが、グローバルな視野を持ち、唯一無二の「技術力」を兼ね備えている点だと思います。
そして、強みとしては、研究開発、製造に加え、販売、施工、メンテナンスまでを一貫して自社で、顧客サービスが出来ることです。

また 世界では、年間 数百万人が空気汚染で亡くなっています。中国での大気汚染による健康被害も深刻になっています。
日本が世界に誇れる省エネ・環境に優しい「エコ技術」は、世界から 益々 必要とされます。そのトップ技術を持っている「西部技研さん」の将来は、明るいとつくづく思います。

しかし、一つ言わせて頂くと、技術会社の為、一般生活者を対象とした商品を開発されるのであれば、今までの「商品名」では難しく、耳に残らないので、覚えられないと思います。
今後、世界で市場を獲得する為には、「クリエイティブ」の力が是非物で、必要になります。
世界企業が持っている力を「BTCモデル」と表現されます。
*BTC→Bussiness Technoloqy Creative
*BTCモデル企業→アップル・ダイソン・BMW・資生堂・ユニクロなど。

この「BTCモデル」を日本で提唱しているのが、Takram 代表で、デザインエンジニアである「田川 欣哉氏」です。
彼は、東京生の熊本育ちで、東京大学卒後、英国ロイヤル・カレッジ・オブ・アートでデザインを学び、客員教授もされています。

彼が唱える「デザインとは?」
ビジネスとテクノロジーを理解して、クリエイティブの力を加えること。BTCモデルを活かすタイミングは、「0の所と100所の2つあり⇒生まれる時と、広げる時」だと言われています。
また、デザインとエンジニアを結び付け、デザインエンジニアの領域を確立された方でもあります。

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最後に、C.I.について一言いわせて頂こうと思いましたが、創立50周年の時に徹底的に改革され、グローバルC.I.が完成した今 私ごときが何も言うことはありません。
「西部技研さん」にクリエイティブ力が加われば、隅社長が目指されいる「優良国際企業=エクセレント・グローバル・カンパニー」に成られると思います。

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