「みる・はいる・つくる」を深めるー2024年11月コミドク合宿 in 岐阜
こんにちは!コミドクフェローのこっきーです。
11/3日・4日の連休、コミドクメンバーで岐阜県の岐南町、美濃市へ合宿に行ってきました!
2日間を通じて医療法人かがやきの各拠点にお邪魔し、地域での実際の活動を見せていただいたり、町歩きを通じて、地域を見渡す視点も得ることができました。
私は4月からコミドクのフェローとして「みる・はいる・つくる」というステップを踏みながら地域での活動を模索しています。
現在「つくる」の過程に入りながら、ほっちのロッヂで"走る部"の活動を展開し始めているのですが、企画のコンセプトペーパーを作成している中で「理想のイメージは?」「期待する効果って??」といった問いがあり、現時点での思いを言語化しながらも描ききれていないところについてヒントを得られたらよいなあということを個人的な目標として設定していました。
"コミドク合宿"を通して、どんな学びがあったのか?
2日間のスケジュールを通して、ご紹介したいと思います。
希望する在宅生活を、安心して送れる支援とは?
まず始めに医療法人かがやき総合在宅クリニック"かがやきロッヂ"にチェックイン(ホームページはこちら)
コミドク のコーディネーターである密山さん(よーよーさん)より医療法人かがやきのことを説明していただきながら、施設全体を見学しました。
医療法人かがやきでは
「希望する在宅生活を、安心して送れるように支援します。」
という理念を掲げており、その文言の一つ一つを紐解きながら実践しているというよーよーさんの説明を聞きました。
シンプルなメッセージだからこそ、職員の心の真ん中にしっかりと残り、その理念の意味を噛み砕きながら実践していく土壌ができているんだろうなと想像を巡らせました。
また在宅医療が捉えている関わりの範疇の中には、お誕生日に花束を贈り皆でお祝いすることや、旅行に行きたい人がいたら旅を共にすること、うどんを食べたい人がいたらうどんを茹でることも含まれていること。
それを良しとする文化が、ほっちのロッヂの日々の実践と重なる部分だなと感じました。
もしかしたら一般的な訪問看護、訪問診療の枠からははみ出すことかもしれない。それでも目の前の人がそれを「希望」しているのであれば、やろう。そんな気概がとても心地よかったです。
そんな実践、物語をリーフレットとして形にして、入職する前のスタッフにも紹介しているそうです。だからこそ、このものがたりに共感できる人が集まることができているのだと思いました。
また、患者さんに配られている冊子には職員全員の顔写真と一言メッセージが広報誌に載っていて、ここが町の人たちに開かれているコミュニティであることのメッセージのように感じ、そのことが安心にも繋がっているのだろうなと思いました。
美濃でのまちあるき
まだまだ聞きたいことがありながらも、コミドク 一行は美濃市へ車で移動。
美濃には医療法人かがやきが2024年1月から展開しているサイト”かがやきベンチ”があり、よーよーさんが院長を務めています。
ここでは地元の方に案内してもらいながら町を歩き、フォトボイスを行いました。
フォトボイスとは、心が動いたものを写真に撮った上で、その一枚の写真に対して事実、解釈、アイデアを記載していくというものです。
(※コミドク の活動として軽井沢で行なったフォトボイスの様子はこちらのノート記事参照)
美しい"うだつ"の上がる町並みが広がる中で、
私が選んだ写真はこちら↓
町の景観を守るために市が住宅の改修に補助を出していますという解説を聞きながら歩いていたところで現れた、倒壊した家屋。
統一した景観や地域が持っている文化的な魅力を守ることは大切ですが、そこに違和感を感じていたり、違う価値観で町を捉えてみたい人がいたときに町やそこに住む人々はどのように呼応するのか。
整然と立ち並ぶ木造の家屋の合間に存在する"異質なもの"の前に行政指導のような看板が立てられているのをみて、
「ここに新しく入ってくる人の気持ちってどうなんだろう?」「生きづらさを感じている人はいないかな?」
と新たな問いも浮かんできました。
町を案内してくれたお二人に感謝です。
「楽しさ」からはじまるプロジェクト
その後はUDATSUBITOの橋元さんよりレクチャー。
https://udatsubito.wasita.co.jp/
かがやきベンチは長屋の一角にあり、その空間を同じくするシェアオフィスとのコラボレーションで運営されているUDATSUBITOの事業。
個人的には「楽しさ」を起点にプロジェクトを起こしていくというコンセプトに共感するところがありました。
現在ほっちのロッヂで行なっている走る部の活動をプロジェクトとしてみるときに期待する効果として「走ることの引き出しが広がること」を挙げました。
走ることが好きな理由はなんだっていいと思うのですが、走る部の活動に参加することが楽しみになったり、普段はあまり出会わない世代の人たちにここで出会うことを楽しいと感じたり。
それぞれが持っている走ることが好きな理由に+αとしての理由ができたら嬉しいなと思っていたところだったので、UDATSUBITO のプロジェクトはとても参考になりました。
個人がワクワクすることを出発点とし、そこに共鳴する人たちが集まる場作り。今後も壁にぶつかったときにはUDATSUBITOのことを思い出して、連携していけたらと思います。
古民家宿にチェックイン後は、美濃和紙あかりアート展を展開している夜の街へ。
人の数が減る時間帯ですが、手作りのあかりが点在していることで街全体が暖かい雰囲気に包まれていました。一つ一つの作品を皆で鑑賞して1日目は終了です。
喫茶店と、生活支援コーディネーター
2日目。
朝はもちろん走ります。
同じくコミドクフェローのふーちゃん(まちだ丘の上病院)と雄大な木曽川にかかる美濃橋の下ではたくさんの人がキャンプを楽しんでいたり、6時半からやっている喫茶店では朝早くからモーニングを楽しむ姿があったりと同じ町を普段と違う時間に過ごしてみるとたくさんの発見があることを再認識した朝でした。
我々もモーニングへ。人口2万人弱の美濃に喫茶店が30程度存在しているとのことでこの町においてモーニングは完全に文化になっている。
この町に住むよーよーさんは喫茶店のことを"第三層"と表現します。
生活支援コーディネーターのコーディネート機能が三層に分かれているという話で、第一層が市町村域全体、第二層が日常生活圏で第一層の機能のもとでそして第三層がサービス提供者として個々の生活支援を行う。
喫茶店の方やここを利用する方が生活支援を行っているとは思っていないはずですが、喫茶店の同じテーブルに座れるくらいの人数がここに毎朝集い語らっている。気づかぬうちにお互いがケアし、ケアされているのではないかと想像します。
常連さんのモーニングの回数券が、喫茶店の誰もが見える場所に掲示してありました。行きつけの喫茶店。
これをみた我々コミュニティードクターは、かかりつけとはどういうことを指すのかについての議論に火がつきます。
個別性の高い個人や家族の状況にアプローチできることが家庭医の強みであるとすると、私たち家庭医も第三層の生活支援コーディネイターのような役割を地域で担っているのかもしれないと感じました。
おわりに
1泊2日の合宿を終えてみると、皆でゆる〜く過ごしていく余白があったからこそ、地域の中で起きていること、町のつくりについて深掘りすることができたように思います。
今後の活動を継続していく上でも、たくさんのヒントとエネルギーを蓄えることができました。軽井沢の地に戻って、また楽しく活動していきます。
(文責:こっきー)