見出し画像

啓蟄 第8候・桃始笑(ももはじめてさく)3/11

桃の花が咲く 桃が笑う。

あんなにも明るいピンクを放つことがすなわち笑うことなのだ。

春空に透き通る桃色。

次々と笑い声が大気に満ちて晴れ晴れと遥かな空の春。 笑顔が弾ける春。

spring 発条 のように、発ル ハル。 何度来ても初めてのはる。

桃色は若々しい色。薄絹に染められた淡い赤が「紅」。「紅」は「べに」と読めば妖艶な感じがするが、旁の「工」は虹(にじ)とも通じ、音は光と通じる。

「虹」に「工」がつくように玉虫のように生まれたての、ということでもあるし、「光」と音が通じてといる事からも明るい色なのだろう。

画像1


笑う。

simileの語源を調べてみたら、同じラテン語から派生した語としてadmiration(賞賛)とかmarvelous(不思議な)とか、miracle(奇跡)、mirage(蜃気楼)、mirror(鏡)などと同根だという。

古事記の天岩戸神話では、隠れてしまった天照大御神を天鈿女が踊り、神々が笑和する笑い祭りで誘い出すシーンがあり、しかも鏡を使って暗いところから徐々に誘い出すというシーンが描かれているけれど、そうして起こったのがミラクルでマーベラスな太陽の復活だというのが面白い。蜃気楼の蜃は大はまぐりのことだともされるので、雛祭りのお節供ともどこかつながっている。

画像2

こちらは『詩経』桃夭 他について、角川ソフィア文庫ビギナーズクラシック『詩経・楚辞』の著者である牧角悦子さんの文章です。

「桃夭」は嫁ぎゆく若い娘を桃の花や、木になぞらえて若々しい華やかさや明るさを歌います。もうピカピカして眩しいくらいです。春は性も解放される聖なる季節です。

画像3

春の野に出かけて陽の気を浴び、喜びにまみれましょう。過去と未来の結節点が今。気を向ければ彼らの今と交わることが叶います。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?