占いはあたるもの? — 2.現代の占いスタイル
2. 現代の占い〜目的の変化
時代が進むにつれ、科学技術の発展によって、天候や災害などの予測は、気象学や地震学などの自然科学によって行われるようになりました。しかし、人間社会の複雑化や不確実性が増す中で、占いの役割も変化しています。現代では、社会全体の予測よりも、個人の未来や運命を見つめる占いが中心となっています。この変化は、個々のライフスタイルや内面的な問題に対する関心の高まりを反映しています。
現代の占いでは、個人に対するアプローチが主流となり、個々の人生の選択や方向性をサポートするための手法が多く用いられています。ただし、自然災害や疫病といった社会的な問題に対する占いの期待も依然として存在していますが、個人の運勢や未来の予測がより重視されるようになっています。
1. 現代の占いの役割
現代においては、天候などは科学技術による予測が行われており、すでに占いの範疇ではありません。そのため現代において医療や科学が当たり前になる前の時代において、信仰の中心であった宗教の立ち位置は崩れてしまっています。
博報堂生活総研の「生活定点」によると、宗教を信じない人が増えている一方で、占いやおみくじを信じる人の割合は微増していることがわかります。
しかし、「占い・おみくじ」を信じる人の割合は横ばいでありながらも微増しているとされています。2020年には占い市場が1兆円を超えたと言われ、特に電話やWeb会議ツールを使用した通話占いは数百億円規模に達しているとも言われています。
私はおよそ30年間、とある企業の顧問として占いを行い、その結果が企業活動に反映される様子を見てきました。その中で占いは、以下のようなアドバイザリーからの意見として企業活動に反映されていました。
リスク管理と準備
占いの結果を一つの弱点の顕在化としてみることで、リスク管理に活用します。災害や危機に対する備えを強化することで、事態が発生した際の影響を軽減していきます。
行動の見直し
占いの結果を基に、個人や組織が行動を見直すことが重要です。たとえば、健康や安全に関する警告があれば、それに応じた行動を取ることでリスクを低減させていきます。
また占いの結果が予測する未来に対して不安を感じる場合には、周囲の状況や社会変化を冷静に見つめることも経営者に求められていたものです。
2. 占いの当たり外れ
占いの結果として「災が起きる」と予測された場合、それが実際に「当たる」のかどうかを考えるためには、占いの結果にどのように対応するかが重要です。
雨が降ると聞いて傘を持つように、占いで悪い未来を予知された場合、その結果を変える行動をとることが重要です。
占いは未来の可能性を示唆するものであり、未来のリスクを予見するための手段として活用されることが多いです。しかし、その結果に基づいてどのような行動を取るかが、実際の結果に大きく影響します。
「今日は雨が降ります、あなたはずぶ濡れになるでしょう」という具体的な占いを受けたとき、そもそも占いを信じていない人からすると、傘を差したり出かけるのを止めるなどの回避行動を取った場合、「雨が降ったがずぶ濡れになっていない」状況が作られます。
今日は雨が降ります、あなたはずぶ濡れになるでしょう」という占いがあった場合、もし傘を持って対策を取れば、結果的に「占いが外れた」となります。占いの結果を「あたった」「はずれた」だけで判断するのは不適切です。
3. 未来予測と占い
このように未来を占う際に理解しておくべき重要なポイントは、未来が固定されたものでないということです。未来は、現在の行動や選択の積み重ねによって形作られるため、占いが示す未来も「最も起こる可能性が高い未来」に過ぎません。これらの占い手法は、あくまで可能性を示すものであり、絶対的な予測ではないのです。
占いの結果は、現在の状況や行動に基づく「可能性のシナリオ」を提供するものであり、その結果にどう対応するかが未来を変える鍵となります。占いを参考にすることで、自分の行動や選択を見直し、より良い未来を形作るための指針を得ることができるのです。未来を占うことは、予測を基にした計画や準備を進めるための一助として利用するのが最も効果的です。
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