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タロットカード Ⅱ.女教皇 カードを理解する為の基本説明と文例


タイトル: 「女教皇の静なる物語」

プロローグ:予言の夜
月明かりが薄く差し込む聖なる森の奥深く、18歳のハイプリは、これから彼女を待ち受ける運命の夜に、心を静めようとしていた。村の長老たちから、彼女が選ばれし「女教皇」となる予言が告げられて以来、ハイプリの心は常に葛藤に満ちていた。

挿し絵 運命の夜に心を静めようとしているハイプリ

「本当に、私はこの運命を受け入れるべきなのか…?」彼女は月に向かって呟く。突然、風が強まり、森の奥から謎めいた声が彼女を呼び寄せる。「真実を知りたいなら、聖域の泉へ来るがよい…」
ハイプリは恐怖を感じつつも、その声に引き寄せられるように、聖域へと足を進めることを決意する。

第一章:迷宮への誘い
聖域にたどり着いたハイプリは、謎めいた石の迷宮に囲まれる。古代の文字が刻まれた石壁には、数々の試練が待ち受けていることを示す絵が描かれていた。迷宮の入口で、彼女を出迎えたのは一人の謎めいた女性だった。

挿し絵 迷宮の入り口に立つハイプリ

「私は、あなたを導くもの。だが、真実は自らの力で掴み取らねばならない…」その女性は柔らかな声で語りかけたが、その眼差しは鋭く、何かを試しているかのようだった。
ハイプリは迷宮に足を踏み入れ、進むたびに様々な幻影に遭遇する。過去の自分、自らの不安、そして未来の可能性が目の前に現れ、彼女を惑わせる。
「冷静さを保ちなさい…」内なる声が囁くが、彼女の心は不安と恐怖に揺さぶられる。迷宮の中で、ハイプリは自らの弱さと向き合い、進むべき道を見失いそうになる。

第二章:暗闇の鏡
迷宮の最深部、ハイプリは一面の鏡の部屋に辿り着く。鏡に映るのは、彼女自身の姿。しかし、その姿は徐々に歪み、異なる存在へと変わっていく。冷たい笑みを浮かべたその姿は、彼女の内なる恐怖を象徴していた。

挿し絵 恐怖の姿を映しだした鏡

「私には、女教皇の資格などない…」その影が囁く。ハイプリは恐怖に怯え、逃げ出そうとするが、扉は閉ざされ、逃げ場はない。
「信じるべきは、あなた自身の力…」再び内なる声が響き渡る。ハイプリは深呼吸をし、恐怖に打ち勝とうとする。そして、静かに鏡に向かい、自らの真実を見つめる。
鏡に映った影が次第に消え去り、代わりに彼女の真の姿が浮かび上がる。その姿は、強さと神秘を兼ね備えた女教皇そのものであった。

第三章:試練の泉
迷宮を抜けたハイプリは、ついに聖なる泉の前に立つ。泉の水面には、星空が映し出され、まるで無限の宇宙が広がっているかのようだった。泉の傍らには、再びあの謎の女性が立っていた。
「これが最後の試練。あなたの内なる力を解き放ちなさい。」女性は微笑みながら、ハイプリに泉に手を浸すよう促した。
ハイプリは不安を感じつつも、静かに手を泉に浸した。その瞬間、強烈な光が彼女を包み込み、彼女の内に潜んでいたすべての力が解放される感覚に襲われる。

挿し絵 泉に手を浸し、発せられた光に驚くハイプリ

光の中で、彼女はすべてを見通す女教皇としての洞察力を得た。内なる声が一層力強く響き渡り、彼女の心は完全に静寂に満たされた。

エピローグ:夜明けの儀式
夜が明けると、ハイプリは新たな女教皇として聖域を後にする。彼女の心には、これまで感じたことのない確信が満ちていた。試練を通じて得た力と知恵が、これからの彼女の道を照らしていくのだった。
「私は、私自身の力を信じる。」ハイプリは誓いを立て、朝日に向かって進み出す。これから始まる彼女の旅には、数々の困難が待ち受けているだろう。しかし、彼女はそれを受け入れる準備ができていた。

挿し絵 自分の力を信じて歩き出したハイプリ

エピローグの後:新たなる伝説
こうしてハイプリは、真の女教皇としての道を歩み始めた。彼女の物語は、村の人々の間で語り継がれ、やがて伝説となっていく。そしてその伝説は、新たな女教皇を目指す者たちへの指針となるだろう。
ハイプリの静かなる物語は、これからも続いていく。


基本情報

大アルカナの2つ目のカードとして、「静けさや冷静さ」を表す。

女教皇のカードは、内面の洞察や直感に耳を傾けることの重要性を示唆しており、外の世界よりも内面の探求に焦点を当てることの重要性を強調しています。

基本的な象徴と色と位置

女教皇のカードも、左右や上下による意味の違いよりは、背景の水色や女教皇が来ている衣の青さから冷静さを示して示すや、「トーラー(知恵の書)」を持つことで、知恵があることを示したり、BとJの柱の間に座ることで、神秘性を高めている。ウェイトは、女教皇をシュキナー(栄光に同居する者)※1であるとしている。

  • 背景が青色・・・精神的な深さや内面の探求を象徴する。青色は神秘性や直感、知恵を示します。

  • 珠のある王冠・・・神聖な知識や直感の高いレベルを示す。珠は精神的な権威や理解を象徴します。

  • 青色の薄く透き通った衣・・・ 精神的な透明性や、神秘的な知識に対するオープンさを示します。

  • 黒色の柱にB、灰色の柱にJと書かれている・・・ 神秘的な対立とバランスを示し、物質界と精神界、顕在意識と潜在意識の相互作用を象徴します。

  • シュロの樹とザクロの刺繍が入った布が背後・・・ 知識や生命の力、神秘的な知識の源を象徴します。シュロの樹は生命の樹を、ザクロは生命の繁栄と神聖さを示します。

  • トーラーと書かれた巻き紙・・・ 大いなる法則や神秘的な知識、言葉の深い意味を象徴します。隠された知識とそれを解釈する能力を示します。

  • 足元に三日月・・・ 直感や潜在意識、神秘的な変化を示します。月のサイクルと神秘的な知識の象徴です。

※ ウェイトによる解説の引用はすべて以下を使用
Arthur Edward Waite(1857年 - 1942年)の"The Pictorial Key to the Tarot"(タロット図解)、[1911]


カードの主たる意味

 「冷静なる洞察」

受動的ながら冷静さを持つ女性のイメージ

カードの正位置と逆位置の時の読み解きワード。

正位置
受動的。 内なる声。 冷静さ。 分別がある。 女性の神秘性。 深遠なる洞察力。 潜在能力の発揮。

逆位置
陰(見えない)の部分。 厳しさ・冷淡さ。 融通が利かない。 矛盾・葛藤。 不安。 情緒不安定。

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