タロットカード Ⅰ.魔術師 カードを理解する為の基本説明と文例
タイトル: 「魔術師の創なる物語」
17歳の魔術師エリオットは、その若さに似合わぬほどの才能を持ち、人々の困り事を解決する日々を送っていた。彼の魔術は驚くべきもので、アイディアに富み、手際も良い。彼の周囲にはいつも感謝の声が溢れており、エリオットはその評価に満足していた。
しかし、エリオットにはひとつ弱点があった。それは、自分の才能に対する過剰な自信と、自意識の高さだった。彼は時折、何でもできると思い込み、安易に「大丈夫だ、俺が何とかしてみせる」と口にしてしまうことがあった。そんな彼の性格が、ある日大きな事件を引き起こすこととなる。
ある日、エリオットは村の広場で、困り果てた顔をした男性と出会った。彼は村の長老で、村に迫る災害の前兆を感じ取っていた。長老はエリオットに「この村を救って欲しい」と頼み込んだ。エリオットは一瞬ためらったが、自信満々に「もちろんだ。俺に任せておけ」と答えた。
だが実際には、彼にはその災害を完全に防ぐ術はなかった。彼の理解力と知恵は優れていたが、今回はその問題の根本をうわべだけで理解してしまっていたのだ。エリオットは、村を救うための計画を立てたが、その計画は浅はかで、綿密な準備もされていなかった。
数日後、村に大嵐が襲いかかり、エリオットの手配した魔法の防御壁は、あっけなく崩れ去った。村人たちは彼を頼りにしていたが、彼の無計画さが災いし、多くの家屋が壊れ、村は壊滅的な被害を受けた。エリオットは初めて、自分の過信がどれだけ大きな結果を招いたかを痛感した。
エリオットは、自分が犯した過ちの重さに打ちひしがれた。彼は小手先の技術だけでなく、根本的な解決策を見つけ出す必要があることを理解した。彼は村人たちの信頼を裏切ってしまったという思いに苛まれたが、それでも諦めずに再び立ち上がった。
彼はすぐに行動を起こし、村の復興に全力を注ぐことを決意した。エリオットは優れた理解力を生かし、災害の原因を深く調査し、より効果的な魔法を編み出すために、多くの書物を読み漁った。彼はアイディア豊富であったが、それを実際に形にすることに専念し、無計画な行動を改めた。
復興の過程で、エリオットは器用さと手際の良さを発揮し、村人たちと共に新しい家を建て、村を再び活気づけるための創造的な解決策を次々と提案した。彼の新たな魔法は、以前とは比べものにならないほど強力であり、村を再び守るための万全な準備が整えられた。
数ヶ月が過ぎ、村はかつての美しさを取り戻していた。エリオットは、自分の成長を感じながらも、かつての過ちを決して忘れなかった。彼は、人々の信頼を取り戻すために、自分の魔術をさらに研鑽し続けた。エリオットはもう、うわべだけの理解で行動することはなく、常に深い洞察を持って問題に取り組むようになった。
彼は自分自身に言い聞かせた。「もう二度と、無計画で無責任なことはしない。俺には、責任を持って行動し、真に人々を助ける力があるんだ。」と。
エリオットの新たな冒険はまだ続いている。彼は自分の能力をより良い方向へと導き、かつての過信に基づく失敗を乗り越え、真に人々の役に立つ魔術師へと成長していった。
基本情報
大アルカナの一つ目のカードとして、「創造性」を表す。
The Magicianは、魔術師や奇術師を意味しており、原形の一つには詐欺師のほか、アーサー王伝説に登場する魔術師マーリンや、15世紀から16世紀のドイツに実在した錬金術師でもある魔術師ファウストらが上げられている。
彼は知性やスキル、専門技術を「実行する力」としてを持ちます。そしてその力を「意志」によりふるいます。この意志が自分の欲望ではなく、自然界・物質界や人界にとっての「大いなる意志を実行する力」として物質界を制御することが期待されているカードです。
基本的な象徴と色と位置
魔術師のカードは、左右や上下による意味の違いよりは、8のマークや、右手左手が示す霊性の高さや、百合と薔薇が示すような自分の力で行おうとする自信の強さをもった若者の力であるといった意味が強い。
背景がオレンジ色・・・背景色は今後の展望を表しており、オレンジは祝福を意味している。
8のマーク・・・ウェイトは「生命の印である聖霊の神秘的な印」であり、「マルティニスト会では、8はキリストをあらわす数」であるという。
確信の笑み・・・自分自身に対する自信の高さをあらわしている。ウェイトは「神々しいアポロンの表情」とし、ギリシャ神話で予言や医術や音楽などを司るアポロン神かのような表情であることを示した。魔術師という意味の他に、医師の能力など多芸であることを示している。
蛇のベルト・・・永遠の象徴をあらわしている。特に「精神における達成の永遠性」とウェイトは示す。
右手で杖を天に向けて、左手で地を指さしている・・・霊性のとても高い秘術を行っていることを示している。同じ形を示したブッダ誕生にでは、右手で天を、左手で地を指し「天上天下唯我独尊」と言ったという伝説もあり、霊性の高さが共通するポーズを示す。
小アルカナの象徴として、ペンタクルス・カップ・ソード・ワンド・・・これらペンタクルスは土、カップは水、ソードは風、ワンドは木として、自然界の要素を集めたことを示す。錬金術に使うための自然の力を示している。
百合と薔薇・・・庭の木として華やかな植物を手にすることを示すことで、権力や自信があることを示している。
※ ウェイトによる解説の引用はすべて以下を使用
Arthur Edward Waite(1857年 - 1942年)の"The Pictorial Key to the Tarot"(タロット図解)、[1911]
カードの主たる意味
「若さとアイディア」
カードの正位置と逆位置の時の読み解きワード。
正位置
行動。 何かを始める能力。 優れた理解力。 アイディア豊富。 器用さ・手際の良さ。 知恵・能力がある。 創造力の発揮。
逆位置
無計画。 うわべだけの理解。 アイディアだけで形にできない。 小手先の技術。 口先で人を欺く。 ずるさ・裏切り。
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