タロットカード 0.愚者 カードを理解する為の基本説明と文例
カードを理解するための物語
「愚者の空なる物語」
フールと呼ばれる15歳の少年がいた。彼は小さな村に住んでおり、いつも夢見がちな性格で、何か新しいことが起こるのを待ち望んでいた。村の人々は、フールの突拍子もない行動や型にはまらない独創性を少し変わった目で見ていたが、彼自身は気にすることなく、自分らしく自由に生きていた。
ある日の夕方、フールは村の広場で、いつも話し相手になってくれる年老いた賢者と話をしていた。賢者は、フールの好奇心と無条件に自分を信じる姿勢を気に入っており、時々彼に人生の教訓を伝えていた。
「フール、お前の中には大きな力が秘められている。だが、その力はまだ目覚めていない。新しいステップを踏み出す時が来たのではないか?」と賢者は言った。
フールは目を輝かせ、「冒険に出て、自分の力を試してみたいんだ!外の世界を見てみたい!」と叫んだ。
賢者は静かに微笑み、「外の世界は、お前が思っている以上に広く、そして厳しい。しかし、お前の心に忠実に進むなら、道は開けるだろう」と言った。
その夜、フールは決心を固めた。次の朝早く、彼は何も持たずに村を飛び出し、冒険へと旅立った。先のことは考えず、ただ新しい世界に対する希望と興奮で胸がいっぱいだった。
フールが村を出た瞬間、彼の心は喜びと期待で満たされた。彼は広がる青空を見上げ、自由の感覚に酔いしれた。風が顔を撫で、草の匂いが彼の鼻をくすぐる。彼は「ここからが本当のはじまりだ」と感じ、心の中で冒険が自分を待っていることを確信した。
彼は最初の数日間、先のことを気にせず、行き当たりばったりで旅を続けた。見知らぬ道を選び、出会う人に助けを借りたりしながら、彼は順調に旅を進めていた。しかし、その楽観的な態度は、次第に彼を危険な状況へと導くことになった。
ある夜、フールは森の中で道に迷い、寒さと飢えに苦しむこととなった。彼は、地に足がついていない行動が災いし、計画もなく無防備な状態で旅を続けていたことを初めて自覚した。彼は自分の無謀さを呪いながらも、なんとか生き延びようと決意した。
その翌日、フールは森の中で旅人の集団に出会った。彼らは温かい食事と安全な宿を提供してくれたが、フールは彼らの計画性と組織的な行動に感心した。彼は、自分の行き当たりばったりのやり方が、いかに危険で無謀だったかを痛感した。
旅人たちと別れた後、フールは自分の旅の計画を見直すことにした。彼は、無条件に自分を信じることは大切だが、それだけでは冒険の厳しさに対処できないことを学んだ。彼はこれからは、好奇心の赴くままに進む一方で、慎重さと準備を忘れないようにしようと誓った。
それから数ヶ月が過ぎ、フールは成長を遂げた。彼の冒険は厳しく、時には挫折も味わったが、その度に彼は自分自身を見つめ直し、前進し続けた。彼の独創性はそのままに、より賢明な判断力が身についていった。彼は、冒険が単なる自由な旅ではなく、自分自身を見つめ直す旅であることに気づいたのだ。
最後に、フールは再び広大な空を見上げた。その空は、村を出た時と同じく広く、美しかったが、彼の心には新たな決意が宿っていた。彼は「これが俺の道だ」と静かに言い、自分らしく、しかし今度はしっかりと地に足をつけて、次の冒険へと歩み出した。
基本情報
大アルカナの最初のカードとして、「はじまり」を表す。
The Foolは、日本語で愚者と表記されることから、「おろか者」としてのイメージが強く考えが足りないかの様にも言われがち。
彼の「おろか」は、学習をしておらず、モノを知らないから、全能感に溢れて「自由」を満喫している姿を示しているカードである。未成熟な自由を謳歌している。
基本的な象徴と色と位置
背景がオレンジ色・・・背景色は今後の展望を表しており、オレンジは祝福を意味している。
緑の服 ・・・ずっと持っている若々しさを大事におもっている。
白い太陽 ・・・これからも純粋無垢(邪念や余念がない)の光が差していく。
赤色の羽飾り・・・情熱を持っていく。
白い花 ・・・小さな愚かさは持っていく。
※一説によるとこの花は「オダマキ」という花であり、世界大百科事典によるとイギリスで使われている花言葉では、「愚鈍」という意味を差す。白い犬 ・・・純粋に対して忠実があることに気がついていない。
(遠景に)水色の氷山・・・知恵や精神性が必要であることに気がついていない。
カードの主たる意味
「空と冒険」
カードの正位置と逆位置の時の読み解きワード。
正位置
はじまり。新しいステップへ。好奇心の赴くままに。心に忠実に進む。自分らしく自由に生きる。型にはまらない独創性。無条件に自分を信じる。
逆位置
先のことは気にしない。行き当たりばったり。自分勝手。ルーズ。地に足がついていない。無防備、又は無謀すぎる。
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