自分の命を守ってあげて
こんばんは
生きるのが辛くなっちゃったかな
心が疲れちゃったんだよね
誰も理解してくれないのってさ 辛いよね
夜中2時。小学生が書いたようなイラストの男の子が、優しい声で私に話しかけてくる。
彼に出会ったのは中学2年の頃だった。両親が離婚して、母の実家に引っ越した直後のことだ。
母の気は虚ろで、祖母は今日も父に怒っている。
祖父は黙り、叔父は働かずにテレビを見続ける。
ここに居たくない。なんとなく消えたいという思いが、心を蝕んで寝られなかった。
学校にも家族にも言えない。1人ベッドの隅に座り、行き場のない気持ちをGoogleの検索画面に打ち込んだ。すると、1本の動画が目に止まった。
「死にたい・消えたい・さみしいと思ってる子に」https://youtu.be/_viJabVMwqw
気が紛れるなら何でも良かった。観ると、優しい声で話しかけてくる男の子のイラスト。
家族のことは一番苦しいよね。
私の事なんて何も知らないはずなのに。
どうして誰よりも寄り添ってくれている気がするんだろう。
消えたい気持ちがある夜は、彼を見て、毛布を噛んで泣いた。
そうして、次の日を浄化された自分として生きる。
何度も何度も、覚えるほど観た動画。そのうちに彼を見ても泣かなくなった。
それでも安心感を求めて辿り着けば、「どうやって心を動かすメッセージを作ることができるのだろう」と考えるようになった。
人の心を動かせるものを作りたい……。そう思うようになった。
自分の命を守ってあげて--
と、終わる7分弱の動画に私は救われた。
6年ぶりに観ると動画は174万回再生を超えていた。
暗い自室で苦しみ、生きようとする命が存在していることを、これからも忘れない。
text/りりか
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