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1.伝える力

コミュニケーションズ・ラボのyaddyです。前回は対人関係がラクになる3つの力を紹介しましたが、今回はその一つ目の「伝える力」についてお話ししたいと思います。

その前に。。。私は23歳から今(50歳)に至るまでずっと職業は営業がメインです。さらに、スポーツのNPO法人では約10年間スポーツディレクターやプロデューサー兼ファシリテーターを務めてきました。中学、高校と部活動では主将、社会人になると自らラグビーチームを立ち上げ運営してきました。常に発信する立場にいることが多かったせいもありますが、実は伝える力に気づいたのは全然違う場面だったのです。

伝える力が全くなかった高校一年生のある日、何となく仲良くなった友人7人で話をしていた時でした。どうしてそんな話になったのかは覚えていませんが、話題は「将来何になりたいか?」でした。

小学校の卒業文集に当時の男の子としてはお決まりのような将来の夢「プロ野球選手」。ところが中学で親の申し付けによってテニス部に入ることになりその夢は瞬時に消え去りました。それから将来のことなど考えずに中学校生活を終えていた私には全くピントこなかったのです。当然皆んなもそうだろうなぁと思っていたら、「俺、寿司職人になる」、「俺、プロのサーファーになる」、「俺、設計士になる」、「俺、プロのバイクレーサーになる」という具合に具体的かつ堂々と話していました。私は衝撃を受けました。今までの友人にはない感覚でした。これだけハッキリと自分の意志を他人に伝えることができるなんて凄えーー。と思うと同時に自分の思いを伝えるということの素晴らしさに気付かされたのです。自分の考えを伝えることってカッコいいし、素敵なんだなって。そうなんです。自分の考えや価値観を伝えるのはかっこよく素敵なことなのです。そして相手の反応を見ることで自分にとってその人がどの程度必要な人なのかがわかります。ですから、まだ誰にも話したことのない自分の夢や目標を誰かに話してみてください。それができれば伝える力となるのです。重要なのは、【まだ誰にも話したことのない話】です。それを誰かに伝えることです。一番話しやすいことは夢や目標かもしれません。あとは自分の弱い部分やずるい部分を話してみるということでも良いでしょう。相手の反応は様々だと思います。そこについてはまた別の回で話しますが、まずは伝えてみてください。

もう一つエピソードがあります。大学4年間私はラグビーのクラブチームに属していました。この4年間だけが、主将というリーダー職とは無縁の期間でした。それは、クラブの体質があまり自分に合わなかったからでした。それでも自分を騙し騙し4年間続けました。同じような境遇の友人達と卒業したらチームを作ろうなんて計画も立てていたほどでした。このチームには社会人のチームもあり、チームに馴染んでいるメンバーはこぞって社会人チームに入りました。私は当然その選択肢はなかったのですが、たまたま選ばれた社会人、大学生の合同チームで試合に出た際に、社会人チームの先輩方のレベルの高さに驚きました。それは私に錯覚を起こさせるほどの出来事でした。おまけにその試合でマンオブザマッチに選ばれたことも拍車をかけました。卒業したらチームを作ろうと言っていた連中へ事情をは話して、私は社会人チームへ入部したのです。一年目東京都優勝、東日本大会準優勝。二年目東京都優勝、東日本三位。私のラグビー人生で一番の好成績です。三年目のシーズンに入るときに副主将に抜擢。完全にチームの中心的存在となっていたのです。春先膝の怪我で休んでいた私は練習試合を見に行きました。結果は大敗。原因は明らかでした。試合後、コメントを求められた私ははっきりしている原因と、まだ手にしていない東日本大会の優勝に関して、この課題を克服すべきだとコメントしました。その途端空気が変わりました。レギュラーで最年長、そして一年目から私を可愛がってくれた先輩からの一言。「お前何もわかってねえな」

ハッと目が覚めました。私の居場所はここではなかったんだと。

その後のやり取りはどんどん私の錯覚を確実なものにしていく会話となりました。私はその日に退部しました。

チームとのコミュニケーションは全く取れていなかったのです。それなのに私を副主将に抜擢したチームも見る目がないなとも思いますが、自分の考えをしっかりと伝えたことで、間違った方向性に気付かされたのです。これこそが伝える力によって人間関係をラクにするという出来事だったのです。翌日学生時代の友人に声を掛け、その年の夏に新しいチームを立ち上げました。そこは自分たちのやりたいラグビーをやるという信念を軸に作られたチームでした。もしあの場面で私がチームに気を遣い当たり障りのないことやお決まりのセリフを言っていたら今の私はないと思います。【伝える力】は居場所を気づかせてくれるし、自分に相応しい場所を見つけてくれる心強いアイテムなのです。まだ誰にも話していない自分だけの思いや考え、価値観を話してみてください。きっと新たな気づきがあり、人間関係がラクになると思います。

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