『作家と編集者の関係』 編集ちゃん その13

編集者の役割ってなんだろう?
ベテラン編集者も定期的に思うことだと思う。
編集者のタイプにも、プロデューサータイプ、ディレクタータイプ、クリエイタータイプがいると思う。
それぞれのタイプを端的に説明すると、
プロデューサータイプは、作品作りの2〜10が得意で、作品を広める、売るのが得意なタイプ。
ディレクタータイプは、作品作りの0〜1で力を発揮し、作品の内容そのものや出来に大きく関わる。
クリエイタータイプも作品作りの0〜1で力を発揮し、企画作りにとどまらず、物語そのものや原作を作ったりするタイプだと思う。
中には複数のタイプをこなせるスーパー編集者もいる。

どのタイプが合うかは作家にもよるし、作家の時期にもよると思う。
企画が得意な作家もいれば、人間の深掘りが得意な作家もいるし、作画が得意な作家もいる。
新人は自分のスタイルが出来上がってないから粗も多いけど、その粗が意外性や新しさを生み出し、フレッシュだったりする。
ベテランは自分のスタイルが出来上がっているから、作るスピードが速いし、完成度が高い。
新人、ベテランの話は、編集者にも同じことが言えると思うから、タイプや経験値を考慮して、お互い補完しあえるといいんじゃないだろうか。

作家と編集者の関係に話を戻すと、個別化と大衆化が一つポイントだと思う。
作家は感情と人物を深掘りして物語を作っていく。最初は、読者にウケるためとか、売れるためとかは考えないほうがいいし、そうじゃないと作品に純度が出ないから、とにかくエゴイスティックに深く作っていくことで、作家個別の感情や思い、気づきが出てくると思う。(深く掘って出てきたものが、案外誰もが思っていたことだったりもするから面白いんだけど) 
そうして出てきた濃厚な物語の原型に、見せ方や味付けというポピュラリティを加えるのが編集者の役割だと思う。
読みやすくなるように体裁を整えたり、最も魅力的になるように演出を話し合ったりする。そして、多くの読者が興味を持てるように、誰でもわかるように物語を大衆化させる。

作品作りの目的はさまざまで、売れるため、意義、エンタメの提供。売れればいいとは思わないけど、売れないと評価されない。目的に対する手段に正解もない。
先が見えない世界だからこそ、作家、編集者、お互い人間同士として、良いものを作っていきたいという気持ちは一致させてやっていきたい。
今日はここまで。

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