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映画「アニー(2014)」を見て〜1982年版との比較〜

前回に続き、今回は「アニー」の2014年版を視聴。今作オリジナルの部分と1982年版との比較などを深掘りしていきたいと思う。

【あらすじ】

10歳の少女アニーは、4歳の時に両親にレストランに置き去りにされ、現在は他の子供たちと共に落ちぶれた歌手ハニガンの元で暮らしていた。ある日、アニーは犬を虐める少年たちを追いかけていた際に車に轢かれそうになるが、偶然通りかかったスタックスに助けられる。彼は携帯電話会社の社長で、次期ニューヨーク市長選挙の立候補者だったが、あまりの人気のなさに悩んでいる最中だった。しかし、アニーを助けた場面がインターネットにアップロードされたことで支持率が上昇したことに目を付けた選挙参謀ガイの提案でスタックスとアニーは一緒に暮らすことになった。スタックスは嫌々アニーと暮らし始めるが、一緒に生活するうちに彼女の明るい人柄に癒され心を開くようになり、アニーもスタックスに親近感を抱くようになり…。(参考:wikipediaより抜粋)

【comet的感想(2014年版を見て)】

『メッセージ性が今時』何かを訴えかけるというよりは時代に合わせ「ヒットするだろう」とよく考えられたと思えるストーリーが現代を象徴しているように感じる。ヘリコプターのシーンで今作オリジナルの曲があることでも「頑張ればいくらでものし上がれる」というアメリカンドリームが描かれている。

『SNSが中心になっている』SNSの台頭による社会の一体化を感じる。民衆も政治家もSNSに踊らされたり駆使したりしていて物語の中心にSNSがあるように見えた。スタックスの支持率をめぐって、選挙参謀のガイがSNSの投稿に翻弄されていたり、アニーも宣伝用の写真撮影を逆手にとってスタックス邸に居候することを提案していた。スタックスの好感度アップや偽親に連れて行かれたアニーの捜索に使ったのもSNSだった。今や当たり前のようにSNSが普及しているが、一方でほぼ1日中家の中で呑んだくれているだけのハニガンが一番古典的で我が道を行っていたのかもしれない。

(一見引きこもりがちで悪態ばかりついているように見えるハニガンも、スタックスやルーの言葉で素直さを取り戻しアニーを探し出すことに尽力するのだった…!)

【comet的感想(1982年版との比較)】

『時代背景の変化』1982年版の時代背景は世界恐慌であったが、今回はそこから大きく経済成長した2014年が背景となっている。歌、ダンス、衣装、街などが現代に合わせたものになっていて、歌やダンスはよりポップに、衣装は小綺麗でカラフル、街並みは高層ビルや乗用車が多く見られ、自由の女神すらも誕生している。

『IT技術の進化』上記感想『SNSが中心になっている』でも述べたが、今回はIT技術が進化したことでよりリアリティのある展開となっていた。1982年版はラジオでの情報発信や足を使っての捜索だったのに比べ、今回はSNSやAIを駆使して情報を拡散・収集していく様子に現代社会を感じた。情報発信の仕方はその時代に合わせたものだったにせよ、捜索の仕方に関しては今の時代を生きている我々にとっては、1982年版の見つけ方は少しファンタジックなものに感じられた。

【comet的総括】

・共感しやすいのは2014年版だった。現代背景における衣装・街並みなどのビジュアルだけではなく人々の心情なども作り込まれていて、変な違和感がなくストーリやメッセージが入ってきやすい。

・味があって良いと思ったのは1982年版だった。世界恐慌時という設定での細かい演出は服装・街並み、人々の心情などたまに違和感を感じたが、完璧すぎないところが逆に人間味があって素晴らしいと思った。

『アニー』という作品は、アニーの前向きな姿勢によって「人の心を動かすのはポジティブな人の心」ということを教えてくれ、どちらの作品も素晴らしい映画である。

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