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近藤学 『至極のブツブツ。夏。』 (東京都江東区)

東京に上京してくるまでは、東京の西と東でこんなに文化(雰囲気)が違うということ知らなかった。ここでいう西は、新宿・渋谷・恵比寿・代官山・中目黒・下北沢・三軒茶屋・吉祥寺・高円寺などの町、いわゆるカルチャーの中心『東京』というイメージかと思う。世田谷という響きも忘れてはいけない(もっと西の東京もあるのですがそれはまた別の話)。

そして銀座や日本橋(あるいは皇居)あたりを境に『東の東京』が広がり始める。東と西の雰囲気を大きく分けるのは『下町』というキーワードだろう。東京特有のこの『下町』という感覚に時々うっとりすることがある。人情がある。お節介なくらい。職人の息遣いが聞こえて来る。商店街が元気。古い建物や歴史を感じられrるものがたくさんある。いい飲み屋がたくさんある。スナックだってある。ぼくはそんな『下町』に憧れて、2年前に17年住んだ世田谷を捨て、末広町に移住して来た。

PARK GALLERY のある末広町をはじめ、秋葉原・御茶ノ水・神田・神保町あたりはビジネス街とカルチャーが交わる町ということもあってビルが建ち並ぶけれど、それでも『下町』という風情が残る。もともとは馬喰町あたりからはじまった東京下町ものづくりの波は、世代交代をしつつ蔵前・浅草橋・清澄白河あたりにリーチし、かつポートランド的な波(サードウェーブ)を受け、新たなクラフトタウンへ発展。東と西では時間の流れすらちがうのか、ゆったりとした空間でゆったりと自分たちのペースで営業している店が目立つ。清澄白河はもう1つの立派なブランドと言える。ぼくも好きな街だ。

さらに TOKYO いちばんの観光地と言っても過言ではない浅草をはじめ、外国人に人気の谷根千(谷中・根津・・千駄木)も、徐々に若い人が新たな魅力を開拓し、清澄白河周辺に遅れを取らない上質なお店を次々にオープンしている。ただ西と違って、新進気鋭のショップたちは海外訛りの小洒落たカフェーやセレクトショプーではなく、その街の歴史や、地元のひとたちとの交流に比重を置いた(地に足をつけた)店が多いのが特徴的。東京以外のひともたくさん読んでくれているであろうこのレビューを利用して、西より『東』がおもしろいんだぞ!というのを言いたいだけなんです)

東京からの参加者が多ければ、甲子園みたいに東東京と西東京と分ける予定でしたが、今回は大阪・京都や福岡からの参加もとてもたくさんだったので、東京だけ分けるのもナンセンスと判断し、まるっと1つ『東京』とさせていただきました。

いつも通り前置きが長くなりましたが、そんな『東京』からのエントリー

近藤学『至極のブツブツ。夏。』レビューです。

iPhone のメモ機能に日々ブツブツとつぶやくかのように記録してきた 1900 もの『言葉』の中から至極のブツブツを選びハナウタまじりで1冊にまとめた ZINE 。実はこの ZINE はこの COLLECTIVE へのエントリーのために彼がはじめて作った ZINE。デザインやレイアウトのノウハウも製本のノウハウもない彼がハナウタまじりと言いながら、錦糸町(東京の東で比較的重要な街のひとつ)の炎天下で大量の汗を流しながら作った必死の1冊と言える。

まず、この COLLECTIVE をきっかけに ZINE をまとめた、というひとがいるということがすごくうれしい。さらに、普段はただの会社員だというのがまたいい。この日頃のメモがきっかけとなってコピーライティングに興味を持ち、コピーライトの公募コンクール「宣伝会議賞」の一次審査通過まで果たしたのだから。

著者自分・自分編集長・楽しめ自分 ー 近藤 学

誰でもいつでも編集長になれる。
いいとかわるいとかじゃなくて
自分が納得することが大切。

ZINE とはそういう媒体なんです。

というのを再認識させてくれる1冊。

綿密にデザイン・製本された数々の ZINE に囲まれても、涼しげな顔でいるかのような薄い水色は、デザインの概念を溶かす。COLLECTIVE にとって貴重な1冊は COLLECTIVE が終わったらとにかく入手困難な1冊であろうと勝手に想像しています。ぜひ、手にとってみてください。

ー Written by 加藤 淳也( PARK GALLERY )

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エントリー 東京都江東区

近藤 学 / MANABU KONDO

コピーライター

1980年 東京都墨田区生まれ
ただただ会社員 ちょいコピーライター
2018年度「宣伝会議賞」一次審査通過



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