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COLLECTIVE 〜一都六県『関東』エリア〜

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47都道府県の ZINE を公募し展示販売するエキシビジョン COLLECTIVE。一都六県『関東』エリアから参加してくださった方たちの ZINE の紹介ならびに、様々な活動の紹… もっと読む
運営しているクリエイター

#写真

星野佑奈 『in a water.』 (東京都杉並区)

一冊の本に綴じられたとき、そこには「一つに綴じられるだけの何かがあった」と感じる。それはコンセプトと呼ばれたりテーマと呼ばれたりして、「私」と「あなた」の接点がない場合には特にそれは重要な意味を持つ。 「私」と「あなた」の間にはなにひとつ共通言語がないから、互いの共通言語となりえるポジションを設定することは大事になるんだと思う。ZINE の場合もそれは同じはずだが、比較的その共通言語が未成熟なものが多く、それが許されているともいえる。 そういうものと触れ合うと、「わかんな

東地 雄一郎 『A=A A≠A(moutain)』(東京都武蔵野市)

繰り返し行われることについて少し考えてみる。毎日寝て起きる。ごはんを食べる。歯を磨く。シャワーを浴びる。息をする。これらはまぁよくも飽きずに毎日毎日という感じではあるけれど、『必要』に駈られているわけで、かつこれらの行為には常に『選択肢』が与えられているのでまぁなかなか飽きない。そして毎日同じようでほんとうは毎日少しずつ違う。逆に言うと昨日とまったく同じというのは不可能。 工場の機械も、永遠に反復活動をするかと言ったらそうはいかない。時々メンテナンスをしてあげなければいけな

佐藤鮎生 『ἀνάμνησις』 (群馬県高崎市)

断ち落とし目一杯、余白なしに写されたディテールの世界が64ページ続いていくのを見ていると、徐々にそれが何であるかわからなくなる眩暈のような陶酔感がやってくる。 『ἀνάμνησις』(アナムネーシス)は、平面のテクスチャーや染み、被写体の表面のディテールを収めたフォト・ジンだ。 原始世界で暗い洞窟のなか、壁の凹凸によって作られた影や染みに生き物の姿を見た人間は、その壁画にしなかった部分においても無数の、無限のイメージを見たはずだ。それは彼にとって洞窟の壁をそれ以前とは全く

増田智泰 『SCRAP』 (東京都調布市)

街中に潜む寂れたり朽ちた風景が、上品で構築的なある美しさをまとって僕らの前に蘇ってくる。むしろそれはフレッシュだとすら感じる。 『SCRAP』は、フリーカメラマン 増田智泰 の2017年の個展「SCRAP」に制作された PHOTO ZINE 。都内のほか、愛知や静岡、長野など日本の各地で撮られたスナップ写真が収録されている。 人の手で操作されたモノたちによる風景が、時間の経過とともにその意図を少しだけ逸れて自立していく姿を、写真は見事に掬い上げている。 写真によって断片

Mayumi Suzuki 『EXIT』 (茨城県城里町)

『EXIT』は、写真家 Mayumi Suzuki が ”EXIT" というテーマで撮影した写真を収録したフォト・ジン。 午前中のまだひんやりとした空気を含んだような、呼吸が楽で心地いい一冊。ふうっとしばらく見つめていたくなる。 鰐(わに)の背中っていいよね。いつ見ても「あれ、こんなだったっけ」と思わせてくれる。そんなに何枚もある訳じゃないんだけど、この <水に浸かっている> って状態が、読後、とても記憶に残る。多用される靄(もや)がかった質感も、幻想的というよりも、この

2.7次元 (でんでん&なっちゅん) 『初めまして。2.7次元です。』(東京都目黒区中目黒)

やっぱりさ、PARK GALLERY が『秋葉原 DEAR STAGE』から近いからか相沢梨紗(でんぱ組inc.)の「2.5次元伝説!」って自己紹介を思い出してしまう。2.5次元ってワードを耳にするようになったのは、いつからだろう? と思って調べてみるといろんなパターンがあるみたいですね。知らなかったなあ。 この ZINE は、2人の女の子がセーラームーン的キラキラ EYE をフェイスペイントした女子高生に扮して街中でポートレートを撮った一冊。2次元的なイメージの3次元への