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【コピーは、コーヒー牛乳飲みながら。31】文化放送ラジオCMコンテストグランプリ・奥村明彦さんインタビュー(下)

この日の花見には、奥村さんのグランプリを祝うために今活躍中のコピーライターさんたちが駆けつけてくれました。

フリーのコピーライターが駆け抜けた平成という時代

奥村さん:コピーライターになったのは1社目の読売PRを経て、アヴァンデザインという会社に入ってからでした。当時は糸井重里さんや仲畑貴志さんが活躍していた時代で、レトリックの効いたコピーが話題になっていました。

—————昨年秋の取材ではその辺りのことはあまりお伺いできませんでしたね。

奥村さん:アヴァンデザイン時代は、学研の案件を主に担当していました。当時の仕事はこんな感じです。

—————「シテイ(師弟)は、ニューシ(入試)にあふれてる。」ですか。

奥村さん:「シティーは、ニュースであふれてる」という当時のホンダのキャッチコピーのパロディでした。学研の雑誌に掲載する自社広告ですね。シリーズ物なんですけど、こういうのを自分で考えてクライアントに提案していました。

奥村さん:こちらは学研ゼミのマンガ広告。各学年に出して、脚本・ラフ全て担当していました。企画やアイデアはデザイナーの力は借りず、ほとんど一人で考えてたんです。他には「Clarion」の広告も担当し相当鍛えられました。

—————奥村さんの原点のお仕事だったんですね。

奥村さん:そこで10年勤務してもういいかなと思い、リード広告事務所として独立しました。平成2年。アヴァンの案件を引き続きしながら同僚と二人で仕事していたのですが、彼は大のパチンコ好きで。週2、3日は午前中いませんでしたね(笑)だからほとんど僕だけで仕事をしていて稼いでいたんですよ。報酬は二人で半分半分くらいに分けていたのですが、最終的に嫌気がさして一人で個人事務所「イーブン」を始めることにしました。

—————それが平成6年。バブル崩壊直後ですよね。景気の影響はどうでしたか?

奥村さん:バブルの頃は儲かってはいました。でも僕は広告のメインストリームにいたわけではないので、崩壊した際の影響は大きくはなかったです。なぜかこの頃から、宣伝会議賞やラジオCMなどのコンペからは遠ざかっています。その時作っていたのが、双葉社のマンガ文庫の帯コピーでした。

—————おお、ルパン三世。世界観に合ったエッジの効いたコピーですね!

奥村さん:でもこういうキャッチコピー一本で勝負する機会はほとんどなく。カタログの仕事も多かったです。

奥村さん:コピー=一行で勝負するというイメージで見られることが多いですけど、あれはごくごく一部。現場のコピーライターの仕事ってこういう地道な世界なんですよ。でもそこで如何に読みやすく伝えるか、買わせる言葉を書くか、という挑戦は本当にやりがいがありました。

「人間的な言葉は求められない?」コピーはどこへ向かう

—————では2000年代のインターネットが流行り始めてからはいかがですか?

奥村さん:その頃から個人的に広告全般がつまらなくなったなと思うようになりました。人の心をつかむ工夫のあるレトリックな言葉より、モノ寄りの言葉を求められるようになったと。

—————モノ寄り、ですか。それは機械的な言葉を求められるという意味ですか?

奥村さん:昔のようなコピーを経済が求めていない気がします。でもそれを差し引いてもつまらないなと。

—————人間的な言葉が求められない時代になったんですね。

奥村さん:余裕のない時代を反映してか、制作現場は考えて書くのではなく、作業で書くことが求められるようになりました。書いたヒトもそれを評価するヒトも本当に楽しいのかな。今はやりのクラウドワークスなどでは、値段が安くフリーランスのプロが書いたコピーと素人が書いた言葉がまるで同列に扱われると感じます。面白くないコピーが増えないか、誰でもコピーは書けるものだと思われてプロの価値が下がらないか。不安になりますね。

—————確かに今の現場に求められるのはオペレーションかもしれません。クリエイターもワクワクしにくいかも。

奥村さん:一方で時代の潮目が変わつつあるのも感じます。今のままじゃダメだ、モノ寄りから変わろうと意識のあるクリエイターが少しずつ増えてきているなといろんな方と接して思いますね。

—————現場がワクワクするような時代がまた来るんじゃないか。

奥村さん:昔に戻るわけではないけど、これからの時代は人間性やレトリックのある言葉が求められるように変わって欲しいと僕は期待しています。

こうして取材は終わり、
集まったコピーライター達による奥村さんのお祝い会は夜の部へ。

この時、サプライズゲストとしてお呼びしていたのは合田ピエール陽太郎さん!第9回文化放送グランプリである合田さんから現グランプリの奥村さんへ、あるプレゼントを贈呈させていただきました。

それがこちらのお手製特別トロフィー!


文化放送のラジオCMコンテストは賞金だけでトロフィーや賞状がなく奥村さんはとても残念がっていました。そこで今回、熊本在住のクリエイター・小島功至さんに協力いただいてこのトロフィーを制作、世界唯一のプレゼントを届けさせていただきました。

贈呈後、二人のグランプリは固い握手をされました。
本当にうれしいお祝いの品ももらいました。これはスゴイよ。」と後日SNSで語ってくださった奥村さん。本当にグランプリおめでとうございます! 東京タワーの下で祝福のジンジャー○イボールをぐいぐいっ。


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東京から大阪に召喚された、32歳のコピーライター。 コピーライターにインタビューする企画「コピーは、コーヒー牛乳飲みながら。」をnoteで連載。#コピコヒ また街角のクリエイティブの映画評にも参加しています。#街クリ映画部
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