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【総集編】独断で決める2020年リリースの最高な邦楽11選〜アルバム編〜

2020年発売のフルアルバム、ミニアルバム、EPを含めて邦楽まとめ。キリよく10選にしたかったのですが、削れませんでした。順番に特に意味はございません。

1.Between the Black and Gray/MONOEYES

今年は武道館での無観客ライブ配信を堂々と成功させたMONOEYESの優勝。

今作は人と会えないこのご時世の内に秘めた孤独を映し出したかのようなメロディアスさが目立つ曲が多かったが、その孤独と同じ熱量で”もし満員のライブハウスでまたライブが出来たらこんな景色が見たい”という意志を感じる力強くて開放的な曲も多かった。

シンプルなロックながらもまるでライブハウスにいるかのように感じる、彼らの魂がストレートに伝わるエンターテイメント性の高いアルバム。

私のお気に入りはリード曲の「Fall Out」「リザードマン」。「リザードマン」とかモッシュダイブの嵐に決まってるじゃん?

日本武道館リベンジ待ってます!その時は必ず。

2.10(じゅう)/tricot

今年に入って「真っ黒」「10」の2枚のアルバムを発売、特に「10」の方が天才っぷりが激しかったのでピックアップ。

「サマーナイトタウン」はVo&Gtイッキュウ、Gtキダ、Ba.ヒロヒロのフロント3人のトリプルボーカルが聴ける贅沢トラック。サビから始まる「おまえ」は無難に四つ打ちか?と思いきやいきなりの変拍子とドS曲。

通じてtricot節炸裂の存在感あるキレキレのギターに、脳みそがトロトロにとろけるようなアクの抜けた気持ちのいいベース、誠実ながらも遊ぶドラム、tricotでしか見られない色気と殺意を感じる変幻自在な尖ったイッキュウさんの声色にドキドキメロメロ。

変拍子好きは全員tricotの虜になれ!

3.四肢/osterreich

元the cabsの重鎮・高橋國光のソロプロジェクトのミニアルバム。

「動物寓意譚」では歌唱力の高さに定評のあるcinema staffの飯田さんと鎌野愛さんのディズニー風のゴージャスなツインボーカルが魅力。

紺野メイ(あみのず)さんをゲストボーカルに迎えた「きみを連れてゆく」はボーカルとギターとドラムのみのシンプルな曲で、降り始めた雪のように優しくて繊細でふわりと聴き入ってしまう。

私のお気に入りは「Swandivemori」。初ライブの新木場コーストのために作った曲を時が経てようやく音源化。開放的な疾走感と、レギュラーボーカルの飯田さんのメインボーカルと鎌野愛さんのコーラスの美声がたまらなく好き。

4.TBS系 金曜ドラマ「MIU404」オリジナル・サウンドトラック/得田 真裕

バンドや邦楽アーティストが並んでいる中、今年は何年かぶりにドラマにハマったのでサウンドトラックも紹介。

「MIU404」のサウンドトラックを担当した作曲家の得田真裕さんは、他にも「アンナチュラル」「きょう会社休みます」など数々のヒットドラマや映画のサウンドトラックを担当。

「MIU404」のサントラで好きなのはメインテーマの「伊吹藍」と、伊吹(綾野剛)が走るときによく使われたスピード感溢れる「KEEP OUT」がお気に入りで、通勤中によく聴いております。テンション上げたい時は事件の概要を説明するときに使われた「志摩一未」「4機捜」も好き。

「メロンメ〜ロンまるごとメロン♪」が頭から離れない「メロンパンのうた」もしっかり収録。フェスのDJで流して欲しい願望。

今まで映画ドラマを見てこなかったからか、あまりサウンドトラックを聞かなかったのだけど、こう見ると1つのドラマでこんなにも曲が作られていたんだと、新たな発見をしました。

サウンドトラック聴くとドラマの世界に入れたり、主人公になれる感覚も、サントラのいいところだよね。

5.文化的特異点/神はサイコロを振らない

ミュージックビデオがリリックビデオではあのBUMP OF CHICKEN(曲は記念撮影)に続いて歴代2位の再生回数の1500万回再生を突破し話題となった「夜永唄」のバイラルヒットをきっかけに、音楽業界初のリモートでのメジャー契約を果たすなど、制限された音楽活動のなかで革新的に飛躍した福岡出身「神はサイコロを振らない」。

今年は「理」「文化的特異点」のミニアルバムとデジタルEPをリリースし、今回はメジャー初アルバムリリースということで「文化的特異点」にフューチャー。

「パーフェクト・ルーキーズ」「導火線」のパワフルな正真正銘のギターロックと、生きることの力強さを残しつつも「目蓋」ではセンチメンタルなピアノバラードで魅せつけ、確かな表現力で神サイの二面性を確立。

今作には「夜永唄」「泡沫花火」のオリジナルのピアノアレンジであるTHE FIRST TAKEバージョンも収録。特に「夜永唄」は伝説的に感動する。

6.eyes on you/クレナズム

「神はサイコロを振らない」の後輩であるシューゲイザーポップバンド、福岡出身のニューフェイス「クレナズム」。2021年ネクストブレイクアーティストランキングに入ってます。私的には。

今作ではバンド史上最高BPMである「ひとり残らず睨みつけて」では夏の爽やかさが走り抜けるようなアップテンポな曲と、「365」では壮大で感動的な名バラードが誕生。

許されるならずっと聴いていたい、しゅわりしゅわりと浄化されるような音楽。みんな、クレナズムの応援よろしく!(誰だよ)

7.彩脳/TKfrom凛として時雨

spotifyで「unravel」の総再生数がLisaの「紅蓮華」に続き1億回突破したTKfrom凛として時雨。鬼滅の刃の煉獄さんが300億円の男なら、TKは1億回再生の男である。

ジャケットデザインは漫画「東京喰種」作者の石田スイ、既存発表曲はリミックスで再録、ゲストミュージシャンにはちゃんMARI(ゲスの極み乙女。)や片木 希依(jizue)など、豪華メンバーがこぞって参戦の超贅沢アルバム。

「彩脳」でトップに相応しく壮大で華々しく飾り、「凡脳」はアルバム内で突出したスピードと耳から離れない中毒性に支配される目玉トラック。

既存発表曲のリミックスでより深く魅力が増したなと思ったのは、ヨルシカのsuisさんとコラボした「melt」。オリジナルは霧のような儚さで、sainou mixの方は湖に張った氷のように若干しっかりしている気がする。
リミックスは同じ曲でも各パートのバランスが少し変わっただけで全く違う印象になるのが形のない音楽の深いところ。

限界と期待を遥かに超えた才能人が集結した傑作。ゲストミュージシャンが彩るTKの音楽は、7色以上に華やかに輝く。ゲストミュージシャンのそれぞれのファンの方も必聴の1枚。飛ぶぞ。

8.From DROPOUT/秋山黄色

奇才の令和の天才シンガー、秋山黄色。ポップと新鋭が共存した新感覚の近未来的な音楽がたまらない。

秋山くんのことはYouTubeの人気チャンネル「THE FIRST TAKE」で知ったのだけど、鋭い歌唱力と切れ味のあるカッティングのギターテクニックの高さになんだこの人は...!と一発で好きに。しかも私と同い年で驚愕。

「猿上がりシティーポップ」はサビの「誰が待ってんの?〜」のベースラインが神。「Caffeine」のイントロのリフはあまりにも鋭利でハッと目を覚ました。凛として時雨並みに「こういうフレーズ好きだろ?」みたいな感じで私の好きな音の核心をついてくるんだよな。

「From DROPOUT」はファーストアルバムだそうで、ファーストでこのクオリティとは、これからが楽しみで仕方ない。

9.EYES/WONK

ブラックミュージック・ソウル系統では一番好きなWONK。ボーカルの長塚さんはミュージシャンとフレンチシェフの2つの顔を持つ才能溢れるお方。

オシャレで都会が飛び切り似合うWONKの曲は、ピアノのセンスがズバ抜けて良すぎるし、何より重低音が気持ち良すぎる。

似たように感じるブラックミュージック系統だが、青色にもたくさん種類があるように、WONKは少しずつ違ったスパイスを入れてマイルドに味付けを変えており、全体的にまとまっていながらしっかり1曲ずつ個性が出ていて、今作は全22曲とかなりの大ボリュームだけど全く聴き飽きない。

中でもリードトラックの「Orange Mug」「Esc」が特に好き。思わずノッちゃうし、聴き入ってしまう。夜暗いところでお酒飲みながら聴きたい。寝酒にも半身浴しながらもいいかも。

9.You need the Tank-top/ヤバイTシャツ屋さん

バカで、アホで、なのに憎めないバンドNo.1、ヤバイTシャツ屋さん。そして相変わらず老若男女問わず、人間が100%元気が出るアルバム!

最初は日本の恥とも言われていたバンドだったけど、無心で遊べて無心で楽しめるバンドもこの日本にも必要だと思う。

お気に入りは「NO MONEY DANCE」「sweet memories」「Give me the Tank-Top」

たまには意味のない音楽で元気ハツラツ!早くフェスでヤバTでわちゃわちゃ騒ぎ倒したいね。

11.STRAY SHEEP/米津玄師

今年のNo.1は忖度抜きで確実に米津玄師!発売日に書いたアルバムレビューが想像以上の反響を頂きまして、自分でもビックリしております。

この記事のラストで「「STRAY SHEEP」は、日本史に残る最高峰のアルバムになるかもしれない、いや、既に最高峰のアルバムだ。」と書いているのですが、平成男性ソロアーティストで史上初150万枚セールス、ビルボードで3冠達成など、ガチで史上最高記録を次々と残しておりビビっております。私は予言者か。

全曲レビューの記事でヘッダーを何故ジャケットイラストではなくアーティスト写真を選んだのかというと、私は写真展にも行ったことあるぐらいの奥山由之さんのファンでございます。コラボが解禁された瞬間、キタ━━━━ヽ(゚∀゚ )ノ━━━━!!!!←リアルにこのリアクションした
今回米津さんのアー写と「感電」のMVも監督されている奥山さん、写真と映像まで担当しちゃうだなんて、私の中のたくさんのオタクがてんやわんや。密かに胸が熱くなっておりました。

「感電」はポップながらもどこか奇怪なハチ時代の独創っぷりが前面に出てて聴いてて楽しい。ハチ世代なので「マトリョーシカ」「パンダヒーロー」のカラフルで独特な曲ってかなり刺さるんですよね。
「Lemon」はいつどんなタイミングで聴いても名曲ですし、アルバムの流れも秀悦。

今作の中では「迷える羊」が一番好きで、米津さんの歌声や歌い方がグッと来る。不協和音を不協和音ではなく「耳に残る独特なコード」にしてしまう音楽的センスはまさに音とメロディを操る天才でしかない。米津さんの持つ奇怪なポップと綺麗で透明なメロディが美味しく融合した曲だと思ってる。

今までは「米津玄師」とすらりと予測変換で出てこなくて、わざわざ「米津 玄米 師匠」で”米”と”匠”を消して検索かけることは今では無くなったし、メディアもついに「インターネット発アーティスト」と言われなくなったほどの米津玄師の飛躍っぷりにこれまた驚いています。

余談だけど、今はやりませんが一昔前はツイキャス配信をよくやってて、お酒飲みながら弾き語りで「カントリーロード」とかファンのリクエストに答えてJ-POPをギター1本でカバーしたりしてたんだよね。当時こそ今以上に謎めいていた米津さんが、ツイキャスでは画面越しでもリスナーとの距離が唯一フラットになる場所で、今でもあのゆるさと距離感がいいなと思い出す。米津さんの弾き語りの「カントリーロード」もよかったな。

ボカロ界のカリスマは、今や日本の音楽シーンのカリスマ的存在に。

もともと次元の違う方だし遠くに行って寂しいとかいう感情は一切ないけど、米津さんが作った曲をミクやGUMIが歌ってくれないと思うと、ちょっと寂しいかな。

2020年も日本の音楽は豊作

以上、2020年邦楽アルバムまとめでした。

今年はライブが軒並み無くなり、その期間方向転換して曲の制作期間に当てて、今まで曲作るのが遅かったバンドたちが一気に曲を出してくれるようになりました。

それと円盤に出すよりデジタルリリースするバンドが多く、サブスクの普及とともに”スピード感”を感じましたね。CDの重みと同じくらいに、このスピード感が大事な時代だね。出来たら、すぐ届ける、出来立てホクホクの曲。

今年はライブ補正が無いからか、かなりニュートラルな状態で曲を聴けたかなと思う。今年も音楽豊作だったね。



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