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【SPY×FAMILY&BUMP OF CHICKEN】「SOUVENIR」の歌詞考察

大好きなアニメ「SPY×FAMILY」の主題歌に大好きなBUMPと知り、ギャーギャー大騒ぎしてから約1ヶ月程経ったと思うが、いつ記事を書こうかと思い悩んでいたもののこの興奮は早いうちに書いた方がいいと思い、今回書くことにした。

(漫画の映像化だと原作があるので、アニメの最終回を終えてから公開するか毎回悩んでる)

「SOUVENIR」歌詞考察

早速考察に入る。

初めに、タイトルの「SOUVENIR(スーベニア)」はお土産という意味である。

心はしまって鍵かけて
そんな風にどうにか生きてきた

 父・ロイドは国を対象とする凄腕スパイ、母・ヨルの天然さと美貌とは裏腹に正体は凄腕の殺し屋、娘・アーニャは人の心が読める超能力者、新入りの犬・ボンドは未来が見える超能力犬。

互いに正体がバレないように”心はしまって鍵かけて”いる。

「正体がバレたら嫌われるのではないか?」という心理的な問題以前に、国と絡んでいるため仕事としてバレてはいけない重さも物語っているように思う。

小さくたっていい 街のどんな灯よりも
ちゃんと見つけられる 目印が欲しかった

アーニャは初回で孤児院を転々としていた過去が明かされているので「家族が欲しい」という気持ちは分かりやすかったが、ロイドやヨルも仕事一直線でそうは見えないだけで、おそらく”家族”というはっきりとした居場所(目印)が心のどこかで欲しかったのだと推測する。

どこからどんな旅をして 見つけ合う事が出来たの
あなたの昨日も明日も知らないまま 帰り道

客観的視点とキャラクター視点の歌詞。

信頼していいはずの人に秘密を隠しながら時間を共有することが出来ないもどかしさ。そしてそれがどれほど苦しいものなのか分からない視聴者のもどかしさ。

こうなるべくしてなったみたい
通り過ぎるばっかの毎日に

フォージャー家が揃う必然。

歩いて歩いて いつの間にか急いで あなたに向かう道を
走って走って 恥ずかしくなって歩いて あなたに向かう道を

歩いて歩いて 転んで平気なふりして あなたに向かう道を
走って走って 胸いっぱいで歩いて あなたに向かう道を

Cメロ(サビ前後)ではこの似たような歌詞が繰り返される。

アーニャがテクテク歩き、ヨルが追いかけ、ロイドが後ろから見守る。フォージャー家の日常の想像が容易い歌詞である。

「SOUVENIR」に於いての「お土産」と「帰り道」

特にサビの歌詞はとても印象に残る。

この目が選んだ景色に ひとつずつリボンかけて
お土産みたいに集めながら続くよ 帰り道

「帰り道」は帰る場所があるから”帰り道”となり、「お土産」は誰かに渡すから”お土産”が生まれる。

「SOUVENIR」に於いて、「お土産」と「帰り道」は下記のように解釈する。

・家族の思い出 = 一緒に帰った帰り道
・お土産 = かけがえのない家族と過ごした思い出
・思い出にリボンをかける = 特別な思い出

これらをまとめると、家族の思い出は全て特別な思い出。

そしてこの特別な思い出は誰かに渡すものではなく、3人と1匹の4人家族が共有するもの。

劇中では”帰り道”が印象的なシーンが多く、1期ではひったくり犯を仕留めた帰り道にロイヨルがイチャイチャ、仕事帰りにロイドとヨルがばったりと、どの”帰る道”もあたたかい空気を纏ってたイメージがある。

そしてBUMPは「SPY×FAMILY」という作品を通して「家族と過ごす毎日が特別で、毎日がお土産のように大切だ」ということに気づかせてくれたのかもしれない。

BUMP OF CHICKENの「リボン」

BUMPファンならご存知だろうが、BUMPの楽曲に「リボン」と言う楽曲がある。

「SOUVENIR」に於いての”リボン”は比喩ではなく、BUMPの楽曲の意味から持ってきていると私は思う。

「嵐の中ここまで来たんだ」ーリボン / BUMP OF CHICKEN

ロイドはスパイとして、ヨルは殺し屋として、アーニャは被験体から、ボンドはテロ組織から、修羅場と孤独を潜ってきた。

「あくびの色した毎日を」-SOUVENIR / BUMP OF CHICKEN
「あくびのユニゾン」-リボン / BUMP OF CHICKEN

フォージャー家に出会うまでの退屈な日々。

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なかでも私はこのフレーズが一番意味を持っていると思う。

「僕らを結ぶリボンは解けないわけじゃない
結んできたんだ」

ーリボン / BUMP OF CHICKEN

大切な家族団欒の時間を抜け出しミッションを遂行するロイド、父のミッションと平和のために小さい身体で奮闘するアーニャ、”母”としてアーニャを守り抜く責任を全うするヨル。

「絆を築く」ことを「リボンを結ぶ」と表現することがどれだけ美しいことか。

幼馴染として家族同然の存在の絆で結ばればBUMPだからこそ、類まれなる才能を持つ藤くんだからこそ書ける言葉だと思う。

継ぎ接ぎの音楽

先ほどは「リボン」のみに注目したが、ここではBUMP以外の主題歌にも注目したい。

まずは、累計再生回数2億回突破した大ヒット曲Official髭男dism「ミックスナッツ」

スパイ要素の強いアップテンポなジャズロックで、考察する必要がないほど「SPY×FAMILY」のストーリーを描いた歌詞が特徴。

「つぎはぎの傘」-リボン / BUMP OF CHICKEN
「継ぎ接ぎだらけのhome」-ミックスナッツ/ Official髭男dism

本来は名門学校受験のためミッションのために集められた即席家族。

「ミックスナッツ」の「継ぎ接ぎだらけのhome」=フォージャー家のこと。

「リボン」の”つぎはぎの傘”は、4人(1匹)揃って傘となれば雨が凌げる。つまり、4人(1匹)ならどんな困難も乗り越えられると解釈したい。

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次に1期ED起用となった星野源「喜劇」

フォージャー家と星野源の夫婦の生活が同時に見えてくるような歌詞に、「SPY×FAMILY」の時代背景に合わせたMVが一層家族のあたたかみを増す。

「お土産みたいに集めながら続くよ 帰り道」 - SOUVENIR / BUMP OF CHICKEN

「手を繋ぎ帰ろうか 今日は何食べようか
さあうちに帰ろうか 今日は何食べようか」 - 喜劇 / 星野源 

単に「SPY×FAMILY」に対しての解釈が星野源と藤くんが同じだっただけだと思うが、シチュレーションは違って聞こえるように思う。

「喜劇」は家族が揃った帰り道を通りすがり眺めてほっこりする気持ちを、「SOUVENIR 」は家族と過ごすありがたみを毎日発見するかのような感受性の高さを、同じ”家族の帰り道”に注目した歌詞でも主観的か客観的かで見える景色が違ってくるように聞こえる。

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そして、今回サプライズ発表となった2期EDはyamaの「色彩」

結成から25年経ったベテランのBUMPに対して活動期間は4年と浅く、曲のテイストも歌詞の視点も斬新で、鋭さが際立った芸術性の高いトラックは極めて異質である。

「喜劇ばかりじゃここには立っていないってこと!」-色彩 / yama

「色彩」はストーリーに注目したスパイ要素の強い髭ダン、ファミリー要素の強い星野源とBUMPとはまた新たな切り口で、時代背景である'60〜’70年代のヨーロッパのお洒落な文化に注目しているようだ。

関連性があると言えば星野源の楽曲「喜劇」というワードが引用されているぐらいで、何かしらの共通項やワードがあった髭ダンからもBUMPからも全く無いと言っていいほど遠い。

BUMPと関連性がないなら書かなくていい話ではあるが、「色彩」という曲は互いの良さを引き立たせている曲だと思っており、バンドとソロ、ベテランと若手、家族のあたたかさと明るさ、時代背景のおしゃれさと戦争の残酷な暗さ、OP曲とED曲が完璧なコントラストを産んでいると思う。

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これまで「SPY×FAMILY」を彩った主題歌を持ち寄ったが、BUMPの曲に限っても繋がっているように思う

「SOUVENIR」は「リボン」を連想させ、「リボン」の歌詞にある「ガラス玉ひとつ」は「カルマ」を連想させる。

過去の曲から紡ぐように作ったとしたら、徐々に家族が集まったフォージャー家と重なり、ロマンティックに思う。それが狙いだとしても、偶然だとしても。

4人のファミリー

一見スタイリッシュで愛らしくても暗い過去や重い任務を背負うロイド、ヨル、アーニャ、一見明るい曲が多いが繊細で暗い歌詞が多いBUMP、そして令和で圧倒的メガヒットを誇る「SPY×FAMILY」に圧倒的指示を誇るBUMP OF CHICKENのタッグは、ファン補正無しでぐうの音も出ないほど適任だと思う。

もちろんこれまで書いたことは全て私の勝手な考察なので、インタビューなど本人の口から明かされればそちらが正しい解釈であり、1ファンの解釈として「こういう考え方もあるのか」と思ってもらえれば有り難い。

この記事を書いている時点ではまだ2期の2話であるが、フォージャー家と一緒に、「SOUVENIR」と言う楽曲と一緒に、「SPY×FAMILY」という作品にたくさんリボンを結びたい。


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